Live2Dモデルを作り始めると、イラストが完成しているのに「ここを描き足してください」と言われることがあります。
前髪に隠れていた額、髪の裏側、白目、顔の輪郭、首、口の中などです。
この描き足しは、必ず元のイラストレーターへ戻さなければならないわけではありません。
加筆まで対応しているLive2Dモデラーなら、そのまま直してもらえる場合があります。
ただし、新しい髪型や衣装、大きな顔の描き直しなど、キャラクターの絵柄そのものに関わる追加なら、元絵師へ頼む方が自然です。
判断するときは「誰がLive2Dに詳しいか」だけでなく、「今回何を描くのか」を見ます。
まず「描き足し」がなぜ必要なのかを知る
普通の一枚絵では、見えない部分まで描く必要はありません。
例えば前髪で額が隠れていれば、その下を描かなくてもイラストとして完成します。
ところがLive2Dでは髪を揺らします。
前髪が動いた瞬間、それまで隠れていた部分が見えます。
同じように、瞳を動かせば白目の隠れていた部分、顔を横へ向ければ髪の下の輪郭、頭を動かせば首の隠れていた部分が現れます。
Live2D化でいう「描き足し」は、単純に絵を豪華にする作業ではありません。
動かしたときに穴が開いたり、途中で絵が切れたりしないようにするための作業でもあります。
最初に元絵師へ連絡するより、モデラーに不足部分を確認してもらう
ここは依頼順序が重要です。
まだLive2Dモデラーが決まっていない状態で元絵師へ、
「Live2D用に描き足してください」
とだけ頼んでも、何をどこまで描けばよいのか判断しにくいことがあります。
必要な描き足しは、モデルをどこまで動かすかで変わるからです。
顔を少し左右へ動かすだけなのか。
大きく横を向かせたいのか。
髪を大きく揺らすのか。
腕まで動かすのか。
同じイラストでも、必要になるパーツは変わります。
そのため、まずモデラーへPSDを見せ、
「この動きを作るには、どの部分の描き足しが必要ですか」
と確認するのが分かりやすい順番です。
必要な部分が決まってから、モデラー自身が加筆するのか、元絵師へ戻すのかを決めます。
小さな描き足しならモデラーへ頼める場合がある
Live2Dモデラーの中には、モデリングだけでなく、パーツ分けや簡単な描き足しまで対応する人がいます。
例えば、
前髪の下の肌を延長する。
白目を少し広げる。
首を上まで描き足す。
口の中を広げる。
髪の裏を補う。
パーツ同士の境目を塗り足す。
といった作業です。
これらは「新しいキャラクターを描く」というより、モデルを動かしたときに破綻しないよう素材を整える意味が強い作業です。
加筆までできるモデラーなら、実際にどう動かすかを理解したうえで必要な量だけ補えます。
描いて、モデリングして、足りなければまた直すという作業を1人の中で進められる点もあります。
ただし「モデラーなら絵も描ける」とは限らない
ここは注意が必要です。
Live2Dモデラーは、イラストレーターと同じ仕事ではありません。
パーツ分け済みのPSDを受け取り、動きを付けることだけを専門にしている人もいます。
実際に依頼受付を見ると、
「加筆・パーツ分けにも対応」
というモデラーがいる一方、
「イラスト修正・加筆は対応しない」
というモデラーもいます。
したがって、モデラーへ依頼する前に、
「不足パーツが出た場合、加筆までお願いできますか」
と確認します。
Live2Dを扱えることと、元絵に合わせて絵を描けることは別の能力です。
元絵師へ戻した方がよいのは「絵柄」が重要な描き足し
例えば、髪の裏へ少し色を足すだけなら、元絵師でなくても違和感が出にくい場合があります。
しかし、
新しい横顔を描く。
目を大きく描き直す。
新しい髪型を作る。
衣装の見えていなかった部分を大きく追加する。
腕や手を新しく描く。
表情そのものを新しく描く。
といった作業になると話が変わります。
線の太さ、塗り、目の形、髪の描き方、服のしわなど、元絵師の絵柄が強く出るからです。
キャラクターの見た目を維持することを優先するなら、元絵師へ依頼する方が合わせやすくなります。
「面積」ではなくキャラクターらしさへ影響するかで分ける
描き足す部分が小さいからモデラー、大きいから元絵師、と単純に分ける必要はありません。
小さい部分でも、目や口など顔の印象を大きく変える場所なら、元絵師へ確認した方がよい場合があります。
逆に首や髪の裏など、広めに描き足しても最終的にはほとんど見えない部分なら、加筆対応できるモデラーで済むことがあります。
見るべきなのは面積ではありません。
その描き足しによって「キャラクターの顔やデザインが変わるか」です。
パーツ分け不足も同じ考え方で判断する
モデラーから、
「この髪をもう1つに分けたい」
「腕を別パーツにしたい」
「目のパーツが足りない」
と言われる場合があります。
これも、単純なパーツ分けだけならモデラーが対応できる場合があります。
しかし、一枚に結合された部分を切り離した結果、裏側を新たに描かなければならないことがあります。
例えば腕を胴体から分けると、腕に隠れていた服の部分がありません。
その場合は「パーツを分ける」と「絵を描く」が同時に発生します。
依頼するときは、
「パーツ分けできますか」
だけでなく、
「不足部分の描き足しまでできますか」
まで確認します。
元絵師がLive2Dに詳しくなくても問題とは限らない
元絵師へ戻したいものの、「その人はLive2Dを作ったことがない」という場合もあります。
この場合、元絵師だけに判断を任せる必要はありません。
モデラーから、
「前髪の下はここまで額を描いてほしい」
「首はこの位置まで伸ばしてほしい」
「白目はこの範囲まで必要」
といった指示を出してもらい、その内容を元絵師に描いてもらう方法があります。
つまり、
何が必要かを決める人=モデラー。
実際に絵を描く人=元絵師。
と役割を分けることができます。
むしろ、絵師とモデラーが別なら、この形が分かりやすい場合があります。
元絵師とモデラーで直接連携できるとは限らない
依頼者としては、
「二人で話して決めてもらえばいい」
と思うかもしれません。
しかし、すべてのクリエイターが第三者との直接連絡や監修まで引き受けているわけではありません。
実際に、元絵師からの指示があるならPSD内へ書いてほしいとするモデラーや、イラストレーターへの個別連絡を行わないモデラーもいます。
その場合、依頼者が間に入ります。
モデラーから必要な修正内容を聞く。
それを元絵師へ伝える。
修正PSDを受け取る。
モデラーへ戻す。
という流れです。
依頼前に「モデラーと絵師で直接やり取りしてもらえる」と思い込まない方がよいでしょう。
描き足し前に元絵師の改変許可を確認する
自分で描いたイラストなら、自分でモデラーへ加筆を依頼できます。
他のイラストレーターへ描いてもらった絵では、別の人が自由に書き足してよいとは限りません。
実際にLive2Dモデリングの受付条件を見ると、
「イラストレーターの加筆・改変許可が必要」
としているモデラーが複数います。
モデラーへ渡す前に、
Live2D化してよいか。
パーツ分けしてよいか。
不足部分をモデラーが描き足してよいか。
PSDをモデラーへ渡してよいか。
を確認します。
特に「Live2D化OK」と「第三者が元絵へ加筆してOK」は、同じ意味とは限りません。
許可を取るなら、
「Live2Dモデラーが、動作に必要な範囲で元PSDへ描き足し・パーツ追加を行ってもよいですか」
と具体的に聞く方が分かりやすくなります。
著作権を買い取っていなくても依頼できる場合はある
描き足してもらうために、必ず著作権そのものを買い取らなければならないわけではありません。
重要なのは、必要な使い方について許可されていることです。
例えば、元絵師が、
Live2D化。
パーツ分け。
モデラーによる必要範囲の加筆。
収益化配信での利用。
を認めていれば、その条件の中で制作できます。
一方で、元絵師が第三者による変更を認めていないなら、モデラー側に絵を直してもらうのではなく、描き足しが必要になるたびに元絵師へ戻す方法になります。
誰に描いてもらうかを決める前に、契約や利用条件を見る必要があります。
元絵師に頼めない場合はどうする?
昔依頼した絵で、元絵師と連絡が取れない場合もあります。
このとき、すぐ別の人へ描き足してもらえばよいとは限りません。
まず、当時の依頼条件や利用規約を確認します。
第三者による改変が認められているなら、Live2D用パーツ分けや加筆までできるイラストレーター・モデラーを探せます。
一方、改変条件が分からない場合や認められていない場合は、元イラストをそのまま加工するのではなく、別途VTuber用イラストを新しく用意する方が整理しやすいこともあります。
「元絵師がいない=必ずLive2D化できない」でも、「連絡できないから自由に変更してよい」でもありません。
手元の契約・規約から確認します。
元絵師とモデラーの絵柄が少し違っても問題ない部分はある
Live2Dの描き足しには、完成状態ではほとんど見えない部分もあります。
例えば前髪の裏にある額や、動いた瞬間だけ見える髪の下などです。
こうした部分なら、多少筆致が違っても画面上では気にならない場合があります。
一方、横を向いたときに大きく見える輪郭や、新しい表情の目・口などは、わずかな絵柄の違いでも印象が変わります。
「元絵師と全く同じ絵が描けるか」ではなく、「完成モデルでその場所がどれだけ見えるか」も判断材料になります。
モデラーから「描き足してください」と言われたら、そのまま絵師へ送らない
モデリング途中で、
「この部分を描き足してください」
と言われたら、もう一歩確認します。
どこからどこまで必要なのか。
別パーツにする必要があるのか。
今の絵を延長するだけでよいのか。
新しく線画から描く必要があるのか。
モデルをどの角度まで動かすための修正なのか。
ここまで聞いておけば、元絵師へ頼む場合も説明しやすくなります。
可能なら、モデラーに修正箇所を書き込んだ画像を作ってもらうと、さらに伝わりやすくなります。
「Live2D用にいい感じに描き足してください」とだけ元絵師へ伝えるより、手戻りを減らせます。
モデラーをまだ決めていないなら、先に候補を決める
手元の一枚絵をLive2D化するため、先に元絵師へパーツ分けと描き足しを全部お願いしようと考えるかもしれません。
しかし、モデラーによってパーツ構成や希望する作り方が違う場合があります。
そのため、可能なら先にモデラー候補を決めて、
どの程度動かしたいか。
どんなパーツ分けが必要か。
誰が描き足しを担当するか。
を確認してから元絵を加工する方が進めやすくなります。
せっかく元絵師に修正してもらったのに、モデラーから「このパーツをさらに分けてください」と言われれば、もう一度戻すことになるからです。
結局、Live2Dの描き足しは誰に頼む?
まずモデラーに、必要な描き足しを特定してもらいます。
その内容が、
「髪の裏を少し塗り足す」
「白目を広げる」
「首を延長する」
「パーツ境界を補う」
など、Live2Dで動かすための補完であり、そのモデラーが加筆にも対応しているなら、モデラーへまとめて頼む方法があります。
一方、
新しい横顔。
大きな衣装部分。
新しい髪型。
顔の印象を左右する目や口。
新しい表情そのもの。
など、キャラクターの絵柄やデザインが大きく関係するなら、元絵師へ戻す方が合わせやすくなります。
そして第三者が描いた元絵なら、誰に頼む場合でも改変や加筆が許可されているか確認します。
「元絵師かモデラーか」を最初に決めるのではありません。
先に、
「何を動かすために、どこを描き足す必要があるのか」
をモデラーに確認する。
その描き足しが「モデルを動かすための補完」なのか「新しい絵を描く作業」なのかを見て、担当を決めるのが分かりやすい順番です。
出典
Live2D|1.イラストの加工
Live2D「1.イラストの加工」
Live2D|PSDの再インポート
Live2D「PSDの再インポート」
文化庁|文化芸術活動に関する法的問題についてよくあるご質問
文化庁「文化芸術活動に関する法的問題についてよくあるご質問」
Norah’s Pot|Live2Dモデリングのみ
Norah’s Pot「Live2Dモデリングのみ」
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