一枚絵を別の人にLive2D化してもらえる?|元絵師への確認

すでに持っている一枚絵を、描いた人とは別のクリエイターに渡してLive2D化してもらうことはできます。

実際に、一枚絵の持ち込みからパーツ分け・描き足し・Live2Dモデリングまで受け付けている制作者もいます。

ただし、「自分がお金を払って描いてもらった絵だから、別の人へ自由に渡して加工できる」とは限りません。

まず確認したいのは、元の依頼条件や利用規約に、

第三者へのデータ共有。

パーツ分けや描き足しなどの加工。

Live2Dモデルとしての利用。

が含まれているかです。

すでに明確に許可されていれば、その範囲で進められる場合があります。

書かれていない、または意味がはっきりしない場合は、元絵師へ確認してから別の制作者へ依頼する方が安全です。

別の人がLive2D化すること自体は珍しくない

VTuberモデルでは、

キャラクターの絵を描く人。

Live2D用に絵をパーツへ分ける人。

分けた絵に動きを付ける人。

が別々になることがあります。

イラストレーターとLive2Dモデラーが別という制作方法自体は珍しいものではありません。

問題になるのは「別の人が作業すること」ではなく、その人が元のイラストをどこまで加工してよいのかです。

一枚絵からLive2Dモデルを作る場合は、単に画像ファイルをLive2Dのソフトへ入れれば完成するわけではありません。

目、口、髪、輪郭などを分け、動いたときに不足する部分を描き足す作業が必要になります。

そこで元絵師の作品そのものに手を加えることになります。

「配信で使っていい」と「別の人が加工していい」は同じではない

元絵を依頼したときに、

「VTuber活動で使ってOK」

「商用利用OK」

と言われている場合があります。

それでも、別のLive2D制作者へそのまま渡してよいとは限りません。

配信で完成イラストを表示することと、そのデータを第三者へ渡し、絵を切り分けたり描き足したりすることは別の利用だからです。

特にLive2D化では、

前髪を分離する。

目や口を分離する。

隠れていた額や輪郭を描き足す。

閉じた口に口内を追加する。

髪や服を動かせるよう形を補う。

といった加工が行われる場合があります。

そのため、「商用利用できますか」だけではなく、「第三者がLive2D用に加工してよいか」まで確認します。

元絵師への確認は5つに分ける

元絵師へ確認するときは、「Live2Dにしていいですか」だけより、実際に行う作業を伝えた方が認識のずれを防ぎやすくなります。

  1. この一枚絵を別のLive2D制作者へ渡してよいか
  2. 目・口・髪などをパーツに切り分けてよいか
  3. 隠れている部分の描き足し、塗り足し、必要な修正をしてよいか
  4. 完成したLive2Dモデルを配信・動画などで利用してよいか
  5. 元絵師の名前をどのように表示すればよいか

グッズ販売なども予定しているなら、それも別に確認します。

「VTuberに使います」という一言で、将来考えている用途すべてが含まれているとは考えない方がよいでしょう。

元絵師への確認文は具体的に書く

確認するときは、難しい法律用語を使う必要はありません。

たとえば次のように、誰が何をするのかをそのまま伝えます。

以前制作していただいた立ち絵を、別のLive2D制作者へ依頼してVTuberモデルにしたいと考えています。

制作の際に、元データをLive2D制作者へ共有し、目・口・髪などのパーツ分け、隠れている部分の描き足し・塗り足し、必要な範囲の修正が行われる可能性があります。

これらの加工を別の制作者が行うこと、および完成したLive2Dモデルを配信・動画で使用することに問題がないか確認させてください。

あわせて、クレジット表記について指定があれば教えてください。

元絵師が、

「パーツ分けは自分が行いたい」

「描き足しだけはこちらで対応したい」

「加工はよいが絵柄を変更する修正は不可」

などの条件を出すこともあります。

その条件をLive2D制作者へ伝えてから依頼します。

すでに規約で許可されているなら、まずその範囲を確認する

すべてのケースで、改めて元絵師へ連絡しなければならないとは限りません。

依頼時の契約や利用規約に、

Live2D化可。

パーツ分け可。

第三者による加工可。

モデラーへのPSD共有可。

と明記されている場合があります。

その場合は、まず書かれている条件を確認します。

ただし、「Live2D化可」だけでは、第三者による描き足しまで含むのか分からないことがあります。

分からない部分が残るなら、その部分だけ確認すれば十分です。

逆に、

「第三者による改変は禁止」

「Live2D化は制作者本人への依頼に限る」

という規約なら、別の人へそのまま依頼しない方がよいでしょう。

制作費を払っただけでは著作権を買ったとは限らない

イラストを依頼して料金を支払うと、「この絵は自分のもの」と感じるかもしれません。

しかし、イラストのデータを受け取ることと、著作権そのものが依頼者へ移ることは同じではありません。

著作権を誰が持つか、どこまで利用できるかは契約や利用条件によります。

さらに、契約に「著作権譲渡」と書かれている場合でも、それだけでLive2D化について何も確認しなくてよいとは限りません。

文化庁は、著作権を譲渡する契約でも、二次的な作品を作ったり利用したりする権利については、著作権法第27条・第28条の権利を含むことが明記されていなければ、元の権利者に残ると推定されると説明しています。

また、著作者には著作者人格権があり、これは著作権とは別に扱われます。

そのため、「著作権を買い取ったはずだから大丈夫」と自己判断するより、手元の契約書や規約で改変・第三者利用の範囲まで確認します。

PSDを持っていても自由に別の人へ渡せるとは限らない

元絵師から、レイヤーが残ったPSDデータを納品してもらっている場合もあります。

PSDが手元にあると、技術的には別の制作者がパーツ分けしやすくなります。

しかし、

「ファイルを持っている」

ことと、

「そのファイルを別の制作者へ渡して加工してよい」

ことは同じではありません。

依頼条件に第三者へのデータ共有に関する決まりがあれば、それに従います。

Live2D制作者へ渡す必要があるなら、「このPSDをモデラーへ共有してよいか」まで確認すると分かりやすくなります。

元絵師が「パーツ分けは自分で」と言う場合もある

一枚絵をLive2D化するとき、必ず別の人がパーツ分けを担当しなければならないわけではありません。

元絵師へ相談したところ、

「Live2D用のパーツ分けPSDはこちらで作れます」

と対応してもらえる場合があります。

この形なら、元の絵柄を描いた本人が隠れている部分を描き足せます。

その完成したパーツ分けPSDをLive2Dモデラーへ渡し、動きだけ付けてもらいます。

元絵師とモデラーが別の場合は、できれば制作前に、

どこまで顔を向けるのか。

髪をどこまで動かすのか。

腕や手を動かすのか。

必要な表情差分は何か。

などをモデラー側から確認してもらうと、パーツ不足による描き直しを減らしやすくなります。

元絵師と連絡が取れない場合は「許可された」とは考えない

数年前に依頼したイラストで、元絵師が活動をやめている場合もあります。

連絡しても返事がないこともあるでしょう。

しかし、「返事がないから別の人へ頼んでよい」とは判断しない方がよいです。

最初の契約や利用規約ですでにLive2D化・第三者加工まで許可されているなら、その条件を確認できます。

そうした記録がなく、元絵そのものを第三者が大きく加工しなければならない場合は、許可を確認できない状態のまま進めるリスクが残ります。

実際のLive2D制作者でも、元制作者の許可が確認できないモデルの改変を受けないと明示している例があります。

この場合は、

元絵を無断加工することを前提に依頼先を探す

より、

自分が権利を持つキャラクター設定を基に、新しいイラストを作れる条件なのかを確認する

など、元作品を直接加工しない方法を検討します。

ただし、キャラクターデザイン自体を誰が作ったのかによっても条件が変わるため、元絵とキャラクターデザインの権利を一緒に考えないようにします。

「キャラクターは自分で考えた」場合も元絵の加工許可は別

自分で髪型、服、名前、設定などを考え、イラストレーターへ描いてもらったケースもあります。

この場合でも、

「キャラクターの案は自分が考えた」

ことと、

「完成したイラストを第三者が自由に加工できる」

ことは別の問題です。

新しいイラストレーターに、自分が権利を持つ設定をもとに新しく描いてもらえる場合と、元の完成イラストそのものを切り分け・加筆する場合では扱いが違います。

別の人にLive2D化を頼みたいときは、

キャラクター設定を利用するのか。

元の一枚絵そのものを加工するのか。

を分けて考えます。

別の人に頼めるかは「3つの許可」で判断する

最終的には、「元絵師と別の人だからダメ」と考える必要はありません。

見るべきなのは、誰が制作するかではなく、何を許可されているかです。

状況判断
第三者加工・Live2D化まで規約で明確に許可許可された範囲で依頼を検討
Live2D化可だが第三者加工について不明元絵師へ確認
商用利用可だけ書かれている加工・第三者共有について確認
別モデラーによる加工を元絵師が了承条件をモデラーへ共有して依頼
元絵師がパーツ分けを希望元絵師にPSDを作ってもらい、モデラーへ渡す
第三者加工禁止別の人による元絵の加工は避ける
規約も許可記録もなく元絵師と連絡不能許可されたとは判断しない

一枚絵を別の人にLive2D化してもらうこと自体は可能です。

ただし、「Live2Dに使っていいですか」とだけ確認して終わらせないことが大切です。

別の制作者へ画像やPSDを渡すこと。

パーツを切り分けること。

隠れた部分を描き足すこと。

必要な修正をすること。

完成したLive2Dモデルを配信などに利用すること。

ここまでを元の契約・規約で確認し、不明なところだけ元絵師へ確認します。

「元絵を使ってよい」と「別の人が元絵を加工してよい」を分けて考えることが、別のモデラーへ安心して依頼するための境界です。

出典

文化庁|著作権契約書作成支援システム「イラストの作成」

文化庁|誰でもできる著作権契約マニュアル 第2章4(2)

文化庁|文化芸術活動に関する法的問題についてよくあるご質問

Live2D|素材分けについて

Live2D|イラストの加工

nizima|オリジナルイラストやLive2Dモデルを販売してみよう

ココナラ|LIVE2D用パーツ分けいたします

ココナラ|Live2D向けイラストパーツ分け承ります