一枚絵でVTuberを始めると、「笑顔や怒り顔を増やしていけば十分なのか、それともそろそろLive2Dにした方がいいのか」と迷うことがあります。
判断基準は、表情差分の枚数ではありません。
通常顔、笑顔、怒り、泣き顔などを自分で切り替えれば十分なら、一枚絵の表情差分を増やす方法で続けられます。
一方、自分が少し笑ったらキャラクターも少し笑う、口の開き方や顔の傾きまでその場で反映したいなら、Live2Dへ進む意味が出てきます。
「差分が増えたからLive2D」ではなく、「完成した顔を切り替えるだけでは足りなくなったか」で考えると分かりやすくなります。
表情差分とLive2Dは、そもそも表現方法が違う
一枚絵の表情差分では、あらかじめ複数の完成した画像を用意します。
例えば、
通常。
笑顔。
怒り。
泣き。
驚き。
といった状態です。
配信中は必要になった表情へ切り替えます。
一方のLive2Dでは、目、口、眉、顔、髪などを別々のパーツとして用意し、それぞれに動きを設定します。
カメラなどで自分の顔を読み取れば、口の開き方、まばたき、眉、顔の角度などをモデルへ反映できます。
つまり、一枚絵は「Aの顔からBの顔へ切り替える」。
Live2Dは「AとBの間も動く」。
この違いがあります。
表情差分は何枚になったらLive2Dにした方がいい?
「5種類を超えたらLive2D」といった枚数だけの基準はありません。
10種類の表情差分があっても、それぞれを必要な場面で切り替えるだけで困っていないなら、一枚絵のままでも使えます。
逆に、通常顔と笑顔の2種類しか必要なくても、
話している間ずっと口を自然に動かしたい。
笑い方の強弱まで出したい。
顔を傾けた動きを見せたい。
目線やまばたきを反映したい。
という場合は、Live2Dを検討する意味があります。
問題は表情が何種類あるかではなく、「一つの表情の中をどこまで動かしたいか」です。
「笑顔を増やしたい」なら、まず何が不満なのかを見る
例えば、今は通常顔と笑顔の2枚を使っているとします。
配信をしていて、
「もっと大きく笑った顔が欲しい」
と思っただけなら、大笑いの表情差分を1枚追加すれば解決するかもしれません。
ところが不満が、
普通に話しているときから口が動いてほしい。
笑い始めから大笑いまで自然につながってほしい。
首を傾けたリアクションも見せたい。
というものなら、表情画像を追加し続けても解決しにくくなります。
完成状態を増やしたいのか。
動いている途中を見せたいのか。
ここを分けます。
一枚絵でも口パク・まばたき・複数表情は作れる
一枚絵とLive2Dの間にも方法があります。
例えば、PNGTuber(ピングチューバー)と呼ばれる方法では、音声に合わせて画像を切り替えられます。
最低限なら、一枚の画像だけでも使えます。
口を閉じた画像と開いた画像を用意すれば、話しているときだけ口を開けることもできます。
さらに目を閉じた画像を加えれば、まばたきも表現できます。
「笑顔」「怒り」「困り顔」といった別の状態を作り、ショートカットで切り替えることもできます。
そのため、
一枚絵では物足りない。
でも自分の顔を細かく追跡するほどではない。
という段階なら、いきなりLive2Dへ進まず、差分と簡単な動きを増やす方法があります。
一枚絵のままで十分なのは「反応を選んで出したい」場合
例えばゲーム配信で、
失敗したら泣き顔。
勝ったら笑顔。
驚いたら驚き顔。
というように、自分でタイミングを決めて表情を出すのであれば、表情差分との相性がよいでしょう。
リアクションが分かりやすく、視聴者にも「今はこの感情」と伝えやすくなります。
配信画面でキャラクターが小さく表示される場合も、細かな顔の動きより、大きく違う表情へ切り替わる方が見やすい場合があります。
また、動画編集が中心なら、撮影中にリアルタイムで顔を追跡する必要がないケースもあります。
必要な場面へ必要な表情を置けば済むからです。
Live2Dへ変える意味が出るのは「普段の顔を動かしたい」とき
Live2Dが特に効くのは、怒り顔や泣き顔のような特殊な表情より、何もしていない普通の時間です。
話しながら口が動く。
少し笑う。
まばたきする。
首を傾ける。
視線が変わる。
こうした小さな動きが続きます。
雑談配信などでキャラクターを比較的大きく表示するなら、この違いが見えやすくなります。
「特別なリアクションを増やしたい」というより、「普通に話している時間を動かしたい」と感じたら、Live2Dを検討する地点です。
表情を自分で切り替えるのが忙しくなったときも境界になる
表情差分を増やせば増やすほど、配信中に自分で選ぶものも増えます。
ゲームを操作しながら、
驚き。
怒り。
笑顔。
困り顔。
泣き顔。
をショートカットで切り替える。
それで困っていないなら問題ありません。
しかし、ゲーム操作やコメント対応をしながら表情ボタンまで頻繁に押すのが負担になってきた場合、自分の顔に合わせて通常の反応を動かしてくれるLive2Dの意味が大きくなります。
ここでも「差分が何枚あるか」ではなく、「手動操作が活動の邪魔になっているか」が判断材料になります。
ただしLive2Dにしても表情差分はなくならない
ここは間違えやすいところです。
Live2Dにすれば、すべての表情をカメラが自動的に作ってくれるわけではありません。
目や口、眉、顔の角度などは、自分の顔の動きから連続して動かせます。
一方、
涙を出す。
ハート目にする。
顔を青ざめさせる。
頬を強く赤くする。
特別な小物を出す。
衣装を切り替える。
といった演出は、Live2Dでも別の表情設定や切り替えとして用意することがあります。
VTube Studioでは、こうした表情をキーボードなどのショートカットへ登録して出すことができます。
つまり、Live2Dは「表情差分の上位互換」というより、
普段の細かな動きは顔追跡。
特別なリアクションは表情切り替え。
という組み合わせで使えます。
泣き顔や怒り顔を増やしたいだけならLive2D化は必須ではない
例えば現在、
通常。
笑顔。
の2枚があり、
泣き顔。
怒り顔。
照れ顔。
を追加したいとします。
目的が「使える感情の種類を増やしたい」だけなら、まず表情差分を追加する方法があります。
Live2Dにするには、絵を目、口、髪、顔などへ分け、隠れた部分を描き足し、さらに動きを設定する必要があります。
単に怒り顔を1枚増やしたいだけなら、そこまでの制作を必要としない場合があります。
Live2D化する理由は、感情の種類を増やしたいからではなく、キャラクターの動き方そのものを変えたいかどうかです。
「笑顔10種類」を作る前にはLive2Dも考えたい
一方、表情差分を追加し続けて、
少し笑った顔。
普通の笑顔。
大笑い。
目を閉じた笑顔。
口を少し開けた笑顔。
口を大きく開けた笑顔。
というように、同じ感情の途中段階を何枚も作ろうとしているなら、一度考え直す余地があります。
その目的が「笑い方を滑らかに変化させたい」のであれば、完成画像を何枚も切り替えるより、Live2Dで目や口などを連続的に動かす方が目的に近いからです。
ただし、「10枚になったらLive2D」という意味ではありません。
違う感情を10種類用意することと、一つの感情を10段階に分けることでは意味が違います。
後者になってきたときが、Live2Dを考える一つの境界です。
今ある表情差分はLive2Dにすればそのまま使える?
必ずしもそのままLive2Dの表情になるわけではありません。
一枚絵の表情差分は、それぞれ完成した別画像です。
Live2Dでは、一つのパーツ構造を使い、目、眉、口などの値を変えて表情を作る方法があります。
そのため、今持っている笑顔・怒り顔・泣き顔などは、「新しいLive2Dモデルでどんな顔を作りたいか」という見本として使える場合があります。
一方、涙やハート目など別の絵そのものが必要な演出は、Live2D用の追加パーツとして描き直すことがあります。
今ある差分画像をフォルダごと渡せば、自動的にLive2Dモデルへ変換されるというものではありません。
Live2D化を依頼するなら、今使っている表情差分も制作者へ見せ、「この表情は残したい」と伝えると仕様を決めやすくなります。
まず差分を増やして、後からLive2Dにしてもいい
今すぐどちらかを最終決定する必要もありません。
現在の一枚絵で配信を始め、
よく使う表情だけ追加する。
実際に配信する。
どのリアクションを頻繁に使うか確認する。
そのうえでLive2D化する。
という順番でも構いません。
むしろ活動前に「笑顔、怒り、泣き、照れ、驚きの全部が必要」と想像して作っても、実際には使わない表情が出る可能性があります。
配信してから「普通にしゃべっている時間をもっと自然に動かしたい」と感じたのであれば、それがLive2Dへ移る理由になります。
結局、表情差分を増やす?Live2Dにする?
判断するときは、増やしたいものが「表情の種類」なのか「表情の動き」なのかを見ます。
笑顔、怒り、泣き顔など、使える完成表情を増やしたい。
この場合は、一枚絵の表情差分を追加する方法があります。
口パクやまばたき程度も欲しい。
この場合は、複数画像を音声などで切り替える簡易的な方法もあります。
自分の口、目、眉、顔の傾きなどを、その場でキャラクターへ反映したい。
この段階ならLive2Dを検討する意味があります。
そしてLive2Dにしても、涙やハート目などの特殊表情は別途追加できます。
そのため、「表情差分かLive2Dか」を完全な二択として考える必要はありません。
通常の動きをLive2Dに任せ、特別な表情だけ切り替える方法もあります。
表情差分を何枚作ったかではなく、
「完成した顔を選ぶだけで足りるのか」
「自分が表情を変えている途中まで見せたいのか」
ここが切り替えの境目です。
出典
Live2D|Production Flow(1枚のイラストからLive2Dモデルを制作する公式工程)
DenchiSoft|VTube Studio Expressions (a.k.a. Stickers or Emotes)(Live2D表情切り替えの公式マニュアル)