購入したVTuberモデルの髪色を変えたり、別の衣装を着せたりしたくなることがあります。
ただし、「少しくらいなら大丈夫」「商用利用できるモデルだから変更もできる」とは限りません。
同じ色変更でも、モデルに最初から用意された変更機能を使う場合と、元の画像データを自分で塗り替える場合では扱いが違うことがあります。
判断するときは「何を変えるか」だけでなく、どのデータを、どの方法で、誰が変えるのかまで確認します。
「改変可」かどうかだけでは判断できない
VTuberモデルの利用規約を見ると、「改変可」「改変不可」と書かれていることがあります。
まずはここを確認しますが、それだけでは足りないことがあります。
実際には、
「色変更は可能だが髪型変更は要相談」
「配信ソフト上の色変更だけ可能」
「元の画像を直接編集するのは禁止」
「原形を残す範囲なら編集可能」
「新衣装は制作者への追加依頼のみ」
といったモデルがあります。
反対に、色・衣装・髪型まで自由に変更できるモデルもあります。
つまり、「VTuberモデルはここまでなら一般的に改変できる」という共通の線引きがあるわけではありません。
そのモデルに設定された利用条件が基準になります。
色を変えたいなら「色」より変更方法を見る
髪色、瞳の色、服の色を変える程度なら、髪型や衣装そのものを作り直すより軽い変更に見えます。
しかし、色変更なら必ず許可されるわけではありません。
実際の利用規約を見ると、同じ色変更でも扱いが分かれています。
| やりたい変更 | 確認すること |
|---|---|
| モデルに用意された色を選ぶ | 用意されたカスタム機能の範囲か |
| 配信ソフトで一時的に色を変える | ソフト上の色調整が許可されているか |
| 画像編集ソフトで髪色を塗り替える | テクスチャ編集が許可されているか |
| 常に別の髪色になるよう変更する | 恒常的な色変更まで許可されているか |
| キャラクター全体の配色を変更する | 原形を損なう改変に該当しないか |
ここでいう「テクスチャ」とは、モデルの髪や顔、服などに貼られている画像のことです。
たとえば、配信ソフトの機能で一時的に髪を青くすることは認める一方、元の髪画像を青く塗り直すことは禁止する制作者もいます。
逆に、テクスチャファイルそのものを変更して髪色や服色を変えることまで許可しているモデルもあります。
そのため、「髪色変更OKか」ではなく、
「配信ソフトで色を変えていいか」
「画像ファイルを塗り替えていいか」
まで分けて確認します。
髪型変更は髪色変更より確認範囲が広がる
髪型を変える場合は、単なる色変更よりキャラクターデザインそのものに近い変更になります。
前髪を短くする、ロングヘアをショートヘアにする、ツインテールを追加するといった変更では、新しい絵を描くだけでなく、動かすための設定も必要になる場合があります。
ここで確認したいのは、自分で変更できるかだけではありません。
「元の制作者以外が新しい髪型を描いてよいか」
「別のLive2D制作者がモデルへ組み込んでよいか」
まで確認します。
利用規約によっては、別のイラストレーターに髪型違いの一枚絵を描いてもらうことは許可していても、その髪型を元のLive2Dモデルへ追加することは禁止している場合があります。
反対に、衣装やパーツ追加のためであれば、別の制作者へ編集用データを渡すことまで認めているケースもあります。
「新しい髪型を作っていい」と「元モデルにその髪型を組み込んでいい」は、同じ許可とは限りません。
衣装変更は「上から着せる」のか「モデルを書き換える」のかで変わる
衣装も同じです。
配信ソフトで帽子や眼鏡などのアイテムを重ねるだけなら、元のモデルデータそのものを変更しません。
利用規約で外部アイテムの追加を許可しているなら、その範囲で使える可能性があります。
一方、新しい服を描いてモデルの一部として動かしたい場合は話が変わります。
新衣装用の絵を用意し、モデルに新しいパーツとして組み込み、必要に応じて動きを設定することになるためです。
元の制作者が、
「他の制作者による新衣装追加OK」
としている場合もあれば、
「新衣装は当方への追加依頼のみ」
としている場合もあります。
季節衣装を増やす予定があるなら、モデル購入時に商用利用の可否だけを見るのではなく、将来の衣装追加についても確認しておいた方が使い方を制限されにくくなります。
最初から用意されたカスタム機能は「勝手な改変」とは別に考える
汎用VTuberモデルには、髪型、瞳、服、アクセサリーなどを切り替えられる商品があります。
この場合、制作者自身がその変更方法をモデルの機能として提供しています。
その範囲で髪型を選んだり色を変えたりするのであれば、「モデルデータを自分で改造する」こととは分けて考えられます。
実際に、利用規約では「モデルの改変は禁止」としながら、モデルに最初から組み込まれている髪・衣装・色のカスタマイズは認めている商品があります。
ここは特に間違えやすいところです。
「髪色を変更できる商品だった」
からといって、
「自分で画像ファイルを編集して好きな髪色を追加していい」
とは限りません。
許可されているのが「用意された機能を使った変更」だけなのか、「データそのものの編集」まで含むのかを見ます。
編集できるデータを持っていても改変してよいとは限らない
Live2Dモデルでは、納品されるデータの種類によって、できる作業が違います。
Live2D Cubismでモデルを制作・編集するための元データは「cmo3」という形式です。
一方、「moc3」は配信アプリなどでモデルを動かすために書き出されたデータです。
そのため、編集用の元データが渡されているかどうかで、技術的にできる変更は変わります。
ただし、ここで重要なのは、編集できるファイルを持っていることと、自由に編集する許可を得ていることは別だという点です。
元データが納品されていても、契約や利用規約で改変範囲が限定されているなら、その条件に従います。
反対に、「改変可」とされていても、編集可能な元データが納品されていなければ、自分でできる変更には技術的な限界があります。
「権利上できるか」と「データ上できるか」を分けて確認します。
商用利用可でも改変できるとは限らない
「商用利用可」と「改変可」は別の条件です。
実際にVTuberモデルの販売・制作サービスでは、
「商用利用可」
「グッズ制作可」
「改変不可」
という条件が同時に設定されているケースがあります。
つまり、そのモデルで広告収入や投げ銭を得たり、許可された範囲でグッズを販売したりできても、自分で髪や服を書き換えてよいとは限りません。
モデルを買った金額が高いか安いかも、改変できるかどうかを直接決めるものではありません。
オーダーメイドで自分専用に作ってもらったモデルでも、著作権や改変条件が別に設定されることがあります。
著作権を譲渡してもらえば何でも変えられるとは限らない
改変について調べていると「著作権譲渡」という言葉が出てくることがあります。
著作権を譲渡する契約によって、利用できる範囲を広げるケースはあります。
ただし、日本の著作権法には、著作権とは別に「著作者人格権」があります。
これは、作者の意に反して作品を変更されないための権利などで、著作権そのものとは扱いが違います。
文化庁も、イラストや写真について、色調変更や一部切除などでも同一性保持権の問題が生じる可能性があると説明しています。
そのため、
「著作権譲渡済みだから何をしてもよい」
と単純には判断しません。
契約に改変について何が書かれているか、著作者人格権についてどのような取り決めがあるかまで確認します。
他のイラストレーターやモデラーに頼むなら「第三者への提供」を確認する
自分でLive2Dを編集できなくても、別の制作者に衣装や髪型を追加してもらうことはできます。
ただし、元のモデルデータを第三者へ渡す必要がある場合は注意が必要です。
多くのVTuberモデルでは、モデルデータの再配布や第三者への譲渡を禁止しています。
その中でも、
「衣装追加の制作依頼に必要な場合だけ、別のLive2D制作者へのデータ提供を認める」
という規約もあれば、
「元の制作者以外による編集そのものを認めない」
という規約もあります。
そのため外注するときは、
「第三者へモデルデータを渡せるか」
「その第三者がデータを編集できるか」
の両方を確認します。
モデルの再配布が禁止されているからといって、制作依頼のための受け渡しまですべて禁止されているとは限りません。
逆に、「改変可」と書かれていても第三者へのデータ提供まで認められているとは限らないため、規約に記載がなければ制作者へ確認します。
規約に「原形を留める範囲」としか書かれていない場合
難しいのが、
「原形を留める範囲なら改変可」
「大幅な改変は禁止」
といった規約です。
髪を黒から茶色に変える程度なら問題なさそうでも、髪、瞳、衣装、装飾をすべて変更していけば、元のキャラクターとは大きく違って見える可能性があります。
しかし、「何か所変更したら大幅な改変」という共通基準があるわけではありません。
この場合は、自分で境界を作らないことが重要です。
特に、
髪型そのものを変更する
顔や体型を変更する
衣装全体を新しくする
全体の配色を変更する
別のキャラクターに見えるほど変更する
といった変更を予定しているなら、制作者へ具体的な完成イメージを伝えて確認する方が確実です。
規約に書かれていない場合は変更内容を具体的に聞く
利用規約を読んでも分からない場合、「改変してもいいですか」とだけ聞くと、質問の範囲が広すぎます。
実際にやりたいことを書いて確認します。
たとえば、
「VTube Studioの色変更機能を使って髪を茶色にして配信してもよいですか」
「テクスチャ画像を編集して髪色を変更してもよいですか」
「別のイラストレーターに新衣装を描いてもらい、別のLive2Dモデラーに現在のモデルへ追加してもらってよいですか」
という聞き方なら、許可範囲をはっきりさせやすくなります。
許可を受けた場合は、そのやり取りも利用規約と一緒に保存しておくと、後から確認できます。
VTuberモデルを変える前は「何を・どうやって・誰が」を確認する
VTuberモデルの改変範囲は、色、髪、衣装という部位だけでは判断できません。
まず、そのモデルの利用規約で改変について確認します。
そのうえで、
「モデルに最初から用意された変更機能を使うだけなのか」
「配信ソフト上で一時的に見た目を変えるのか」
「髪や服の画像データそのものを書き換えるのか」
「新しい髪型や衣装をモデルへ追加するのか」
「別の制作者へデータを渡して作業してもらうのか」
を分けます。
同じ髪色変更でも、この方法の違いで許可範囲が変わるモデルがあります。
「少し変えるだけだから大丈夫」ではなく、自分が行う変更方法まで利用規約に当てはめることが、最も判断しやすい方法です。
出典
Live2D|nizima 作品購入ガイド
文化庁|文化芸術活動に関する法的問題についてよくあるご質問
文化庁|著作権契約書作成支援システム・著作者人格権
Live2D|Live2D Cubism サンプルデータ利用条件
Live2D|ファイルの種類と拡張子
VRoid|キャラクターの「利用条件」について
TANUKINOTERA|自分だけのモデルにカスタム可能!ゲーマージャージ女子 Vtuber model.custom collar
兼屋Studio|Live2D 汎用カスタムモデル ファンタジー制服風カスタムモデル
鳥卵|鳥卵制作のLive2Dモデル利用規約