VTuber活動を始めてから、「照れ顔が欲しい」「怒り顔を増やしたい」「ハート目も使いたい」と思うことがあります。
Live2Dモデルの表情は、完成・納品後でも追加できる場合があります。
ただし、追加したい表情によって作業内容が違います。
まず確認したいのは、その表情が「今のモデルにすでにある動きを組み合わせれば作れるもの」なのか、「新しい絵やパーツを追加しなければ作れないもの」なのかです。
この違いによって、元の制作者へ頼む方がよいのか、別の人でも対応できるのか、編集用データが必要なのかが変わります。
表情は納品後でも追加できる場合がある
Live2Dモデルは、最初に作った状態で完成して終わりとは限りません。
実際のLive2D制作サービスでも、表情差分、新しい衣装、髪型、モーションなどを後から追加する依頼が扱われています。
そのため、
「納品済みだから表情はもう増やせない」
とは限りません。
問題は、どんな表情を追加したいのかです。
ここを分けずに「表情1個追加したい」と考えると、必要な作業や依頼先を判断しにくくなります。
今ある目・眉・口を変えるだけなら元データなしで作れる場合がある
たとえば、
少し目を細くする
眉を下げて困り顔にする
頬を赤くする
口の形を変える
目を大きく見開く
といった表情です。
現在のLive2Dモデルに、それらを表現できる動きがすでに用意されていれば、その数値を組み合わせることで表情を作れる場合があります。
VTube Studioにも、モデルにすでにあるLive2Dの動きを選んで新しい表情を作る機能があります。
作った表情は「exp3.json」という表情用のファイルとしてモデルフォルダへ保存され、キー操作などで呼び出せます。
ここで重要なのは、モデルそのものへ新しい絵を追加しているわけではないことです。
すでに存在する目、眉、口などの動きを「この状態にする」と指定しているだけなら、Live2Dの編集用元データがなくても対応できる場合があります。
「ハート目を追加したい」はモデルによって答えが変わる
同じ「ハート目が欲しい」でも二通りあります。
すでにモデルの瞳にハート形のパーツが入っていて、普段は非表示になっているなら、それを表示する表情設定を作れば済む可能性があります。
一方、ハート形の瞳そのものがモデルデータに存在しないなら、新しい絵を用意しなければなりません。
涙も同じです。
モデル内に涙パーツがあれば表示設定だけで済む可能性がありますが、何も描かれていなければ涙の絵を追加するところから始まります。
つまり、
「ハート目」
「涙」
「青ざめ」
「怒り」
という表情名だけでは作業量は判断できません。
今のモデルに、その表情を作るためのパーツと動きが存在するかを見ます。
新しい絵が必要なら「表情設定」だけでは終わらない
元モデルに存在しないものを追加する場合は話が変わります。
たとえば、
新しい形の瞳
涙
汗
怒りマーク
青ざめ線
新しい口
舌
頬の記号
などです。
これらを新しいパーツとしてLive2Dモデルへ組み込む場合、絵を用意し、そのパーツをモデルへ追加し、必要に応じて表示・非表示や動きを設定します。
この作業では、元のモデルを編集することになる場合があります。
そこで問題になるのが「cmo3」という編集用データです。
cmo3があるか確認する
Live2Dには、名前がよく似た「cmo3」と「moc3」というファイルがあります。
cmo3は、Live2D Cubismでモデルを制作・編集するための元データです。
moc3は、VTube Studioなどのアプリで使用するために書き出されたモデルデータです。
普段VTuber活動で使うために納品されたフォルダにmoc3が入っていても、cmo3まで入っているとは限りません。
実際のLive2D制作でも、通常料金にはcmo3を含めず、希望者だけ追加料金で渡すという制作者がいます。
そのため、別のモデラーへ「このモデルに新しい表情パーツを追加してください」と頼みたい場合は、まずcmo3を持っているか確認します。
cmo3がないなら最初に元の制作者へ相談する
編集用のcmo3を持っていないなら、元の制作者への相談が最初の候補になります。
元の制作者自身がモデルの編集データを持っている可能性があるからです。
「新しい泣き顔を追加したい」
「ハート目を作りたい」
「舌出し表情を増やしたい」
など、希望を具体的に伝えます。
元の制作者が対応できるなら、新たに編集データを購入して他の人へ渡す必要はありません。
モデルの作り方やパラメータ構成も把握しているため、既存モデルとの整合を取りやすいという利点もあります。
ただし、元の制作者だから必ず追加依頼を受けてくれるわけではありません。
受付を終了していたり、長期間予約が埋まっていたり、その種類の表情制作を扱っていなかったりすることもあります。
元の制作者が受けられないなら別のモデラーという選択肢がある
元のモデラーにしか追加できない、と決まっているわけでもありません。
実際に、他のモデラーが制作したモデルの修正・アップデートを受け付けているLive2D制作者がいます。
元制作者側も、
「自分が対応できない場合は、cmo3を渡して別のモデラーへ依頼できる」
という条件を用意しているケースがあります。
したがって、
元の制作者が活動終了している
予約が長期間埋まっている
希望する表情制作を扱っていない
別のモデラーへ今後のアップデートをまとめたい
といった場合は、別の人への依頼も選択肢になります。
ただし、ここでは「技術的に編集できるか」と「編集してよいか」の二つを確認します。
別の人へ頼むならcmo3だけでなく「改変してよいか」も確認する
cmo3を持っていれば、誰にでも自由に渡して改変してもらえるとは限りません。
モデルの利用規約に、
「改変不可」
「第三者へのデータ共有禁止」
「他のモデラーへ依頼する場合は連絡が必要」
といった条件が設定されていることがあります。
反対に、
「他のモデラーへの編集依頼可」
「衣装・パーツ追加依頼に限りcmo3の共有可」
と明示しているモデルもあります。
つまり、確認するのは、
「cmo3を持っているか」
だけではありません。
「別のモデラーへ渡して編集してもらうことが許可されているか」
まで見ます。
規約で判断できなければ、元の制作者へ確認します。
イラストを描いた人とモデリングした人が別なら両方確認することがある
VTuberモデルでは、
キャラクターの絵を描いたイラストレーター
Live2Dで動くようにしたモデラー
が別の人ということがあります。
この場合、別のモデラーへ依頼する許可だけ取れば必ず足りるとは限りません。
たとえば、元のイラストへ新しい涙や目、口などを描き足すのであれば、イラスト自体の改変にも関係します。
実際のLive2D制作者でも、持ち込みイラストへ新しいパーツを追加する場合は、元のイラストレーターから編集許可を得るよう求める例があります。
そのため、
既存のLive2D設定だけを変更するのか
元イラストにも描き足すのか
を分けます。
元の絵そのものに手を加えるなら、イラストレーター側の利用条件も確認します。
cmo3を持っていても「表情用の絵」がなければ完成しないことがある
cmo3があれば何でも追加できるわけでもありません。
cmo3はLive2Dの編集データですが、存在しない絵を自動的に作ってくれるものではないからです。
新しい涙を追加するなら涙のイラストが必要です。
新しい口の形を追加するなら、その口を描く必要があります。
腕のポーズを変える差分なら、新しい腕パーツが必要になる場合があります。
別のモデラーがイラスト制作もできる人なら一人で対応できる場合があります。
モデリング専門なら、まず元のイラストレーターや別のイラストレーターに追加パーツを描いてもらい、その後モデラーへ渡す流れになることがあります。
元の制作者に頼む方がよいのはどんな場合?
元の制作者へ頼みやすいのは、
cmo3を持っていない
利用規約で他人の改変が禁止されている
元の絵への描き足しも必要
既存表情との雰囲気を揃えたい
今後も衣装・髪型などを継続して追加したい
という場合です。
特にcmo3が手元にないなら、元制作者へ相談する意味が大きくなります。
また、そのモデルをどのように作ったかを把握しているため、既存の構造を確認する手間も少なくなります。
ただし、「元の人の方が必ず安い」「必ず早い」とは限りません。
追加料金や受付時期は制作者ごとに違います。
別の人へ頼んでもよいのはどんな場合?
別のモデラーを検討しやすいのは、
元制作者が依頼を受けていない
連絡が取れない
完成まで長期間待つ必要がある
別のモデラーへモデル管理をまとめたい
利用規約で第三者による改変が認められている
必要なcmo3を用意できる
という場合です。
このとき依頼先には、
「自分が制作したモデルではない」
ことを最初に伝えます。
そのうえで、
元制作者の利用規約
改変許可を得た記録
cmo3
必要ならパーツ分けイラスト
など、作業に必要な情報を確認してもらいます。
別のモデラー自身が「元制作者から改変許可を取ってください」と条件にしていることもあります。
cmo3を買う前に本当に必要か確認する
ここは今回の判断で特に重要です。
「表情を増やしたい=cmo3を買わなければならない」
とは限りません。
VTube Studioでは、モデルにすでに存在するLive2Dのパラメータを使って新しい表情を作ることができます。
そのため、
眉を少し下げる
目を細くする
既存の頬赤らめをONにする
など、すでにモデル内にある動きだけで希望を実現できるなら、モデル本体の再編集をしなくても済む可能性があります。
逆に、
新しい涙パーツを入れる
元にない特殊な目を描く
新しい口を追加する
なら、モデル編集が必要になる可能性が高くなります。
まず依頼候補の制作者へ、
「今のモデルデータだけでこの表情を作れますか。それともcmo3の編集が必要ですか」
と確認してから、編集データを購入する方が無駄を避けやすくなります。
表情を追加したいなら最初に「何を新しく作るのか」を決める
表情追加を頼むときは、
「笑顔を追加したいです」
だけではなく、完成状態を具体的にします。
たとえば、
「目を細めて、眉を少し下げ、今ある赤面パーツを表示した照れ顔」
なら、既存の動きだけで作れる可能性があります。
一方、
「瞳をハート形にして、頬に新しいハートマークを表示したい」
なら、新しいイラストパーツが必要かもしれません。
この違いが分かれば、
VTube Studioの設定だけで済む
元モデラーへ追加依頼する
イラストレーターにも追加パーツを頼む
cmo3を用意して別モデラーへ引き継ぐ
のどれになるかが見えてきます。
元の制作者か別の人かは「表情の種類・データ・許可」で決める
VTuberモデルの表情は、納品後でも追加できる場合があります。
ただし、「後から追加できる」というだけでは、元の制作者と別の制作者のどちらへ頼めばよいかは決まりません。
まず、追加したい表情に必要なものが、現在のモデルにすでに入っているか確認します。
既存の目・眉・口などを組み合わせるだけなら、VTube Studioの表情設定だけで対応できる場合があります。
新しい涙、目、口、装飾などを追加するなら、モデルやイラストの編集が必要になる可能性があります。
そこで初めて、
cmo3があるか
第三者へ渡してよいか
モデル改変が許可されているか
元イラストへ加筆してよいか
を確認します。
cmo3がなく、元の制作者が対応できるなら、まず元の制作者へ相談するのが分かりやすい方法です。
別の人へ依頼する場合は、「編集できるデータを持っている」ことと「その人に編集してもらう許可がある」ことの両方を確認してから進めます。
出典
Live2D|ファイルの種類と拡張子
Live2D|表情の設定と書き出し
VTube Studio|Expressions (a.k.a. Stickers or Emotes)
Illustration & Live2D Creation|FAQ
925|Live2D Commission
文化庁|イラストの作成・著作権契約書作成支援システム
文化庁|誰でもできる著作権契約マニュアル
鳥卵|鳥卵制作のLive2Dモデル利用規約
うるま|Live2D依頼