Live2Dの元データがなくても修正できる?

Live2Dの元データがなくても、修正内容によっては直せます。

ただし、元データなしでできるのは主に「今あるモデルの動かし方を調整する」範囲です。

顔の形そのものを作り直す、可動域を広げる、新しいパーツを追加するなど、Live2Dモデル内部を変更する修正には、基本的に編集用データであるcmo3が必要になります。

cmo3がなくても、パーツ分けされたPSDが残っていれば、新しくLive2Dモデルを作り直す方法はあります。

そのため、「元データがない=何もできない」ではなく、何を直したいのかで判断することが重要です。

まず「元データがない」の意味を確認する

Live2Dでは、普段VTuberとして使っているモデルと、モデルを制作・編集するときのデータが別です。

特に間違えやすいのがmoc3とcmo3です。

moc3は、完成したLive2DモデルをVTube Studioなどのアプリで動かすためのデータです。

cmo3は、Live2D Cubism Editorでモデルそのものを制作・編集するときに使うデータです。

簡単にいえば、

moc3は「動かすための完成データ」。

cmo3は「中身を直すための作業データ」です。

VTube Studioで現在モデルが動いていても、cmo3まで持っているとは限りません。

元データがなくてもVTube Studio側で直せるものがある

「修正したい」と感じていても、実際にはLive2Dモデル本体を変更しなくても解決できる場合があります。

たとえば、

顔を少し動かしただけでモデルが動きすぎる

口が開きすぎる

顔の左右への動きを抑えたい

動きが細かく震えるので滑らかにしたい

髪や服の揺れを少し弱くしたい

といった問題です。

VTube Studioでは、カメラなどから読み取った顔の動きを、Live2Dモデルのどの動きへどの程度反映するか調整できます。

動く範囲や滑らかさも設定できます。

すでにモデル内に物理演算が設定されていれば、VTube Studio側から揺れの強さなどを調整できる項目もあります。

このような「既存の動きをどう使うか」という調整なら、cmo3がなくても対応できる場合があります。

口の動きがおかしい場合も原因によって違う

たとえば「口の動きを直したい」という場合です。

自分はあまり口を開けていないのにモデルだけ大きく開くのであれば、VTube Studio側の入力と出力の範囲を調整して改善できる可能性があります。

一方、

横から見たときの口の形がおかしい

大きく開いたときに口が崩れる

笑ったときの形そのものを変更したい

という場合は、Live2Dモデル内部に作られた形を直す必要があります。

こちらはVTube Studioの設定だけでは作り直せません。

同じ「口を直したい」でも、現在ある形の使い方を直すのか、形そのものを直すのかで必要なデータが変わります。

既存パラメータを使った表情なら追加できる場合がある

cmo3がなくても、すでにモデル内に必要な動きが入っていれば、VTube Studio側で表情を作れる場合があります。

たとえば、すでにモデル内に、

目を細める

頬を赤くする

アクセサリーを表示する

衣装を切り替える

といったパラメータが用意されている場合です。

VTube Studioでは、既存のLive2Dパラメータを特定の値に固定する「表情」を作り、ホットキーで呼び出せます。

つまり、元データがなくても「すでに仕込まれている機能を新しい組み合わせで使う」ことは可能な場合があります。

反対に、モデルに存在しないハート目を新しく作る、描かれていない上着を追加するといった作業は別です。

新しい画像やLive2D側の設定が必要になります。

顔や体の形そのものを直すならcmo3が必要になる

元データなしで難しくなるのは、Live2Dモデルそのものの構造へ手を入れる修正です。

たとえば、

横を向いたときの顔を作り直す

顔の可動域を広げる

体のひねりを追加する

目を閉じた形を作り直す

髪の変形を修正する

腕の動きを追加する

といった内容です。

こうした作業では、Live2D Cubism Editor上でメッシュ、変形させるための仕組み、動きの基準となるパラメータなどを編集します。

その編集に使うモデルデータがcmo3です。

普段使っているmoc3だけでは、Cubism Editorで元の制作画面を開いて続きを編集することはできません。

髪や服の揺れも「弱くする」と「作り直す」は違う

揺れについても境界があります。

すでに設定されている物理演算について、VTube Studioで全体的な強さを弱めたり強めたりするだけなら、元データなしでも調整できる場合があります。

しかし、

髪が不自然な方向へ揺れる

揺れる位置を変更したい

髪の一部分だけ別の動きを付けたい

袖に新しく揺れを追加したい

という場合は、モデル内部の設定変更になります。

こちらはcmo3を使ってCubism Editor側で直す作業になります。

「揺れを直したい」だけでは、元データが必要か判断できません。

今ある揺れの強さを調整したいのか、揺れの作りそのものを変更したいのかを分けます。

moc3からcmo3へ戻して修正することは前提にできない

手元にmoc3があるなら、

「これをcmo3に戻せば修正できるのでは?」

と思うかもしれません。

しかしLive2D公式の制作手順では、cmo3からアプリ用のmoc3を書き出す流れになっています。

Cubism Editorで通常の編集用モデルとして扱うのはcmo3です。

Live2D公式サポートも、Cubism Editorではmoc3を開けないと案内しています。

また、Live2D公式クリエイターズフォーラムでは、moc3からcmo3への変換について、moc3にはcmo3のすべての情報が残っておらず、公式の変換ツールも提供されていないとの説明があります。

そのため、

「cmo3はなくしたけれどmoc3があるから、必要になったら元に戻せる」

とは考えない方がよいでしょう。

cmo3が自分にないだけなら元モデラーへ確認する

手元にcmo3が見つからなくても、すぐに「元データ消失」と判断する必要はありません。

VTuberモデル制作では、

依頼者には配信用データだけ納品する

cmo3はモデラー側で保管する

という形もあります。

実際にcmo3を標準納品せず、必要な人だけ追加料金で渡すサービスもあります。

そのため、まず元モデラーへ、

cmo3が残っているか

現在のモデルを修正してもらえるか

cmo3を追加で受け取れるか

を確認します。

元モデラーが持っていれば、その人に修正してもらえる可能性があります。

cmo3がなくてもPSDが残っていれば作り直せる可能性がある

cmo3が誰の手元にも残っていない場合でも、パーツ分けされたPSDが残っていれば次の選択肢があります。

PSDは、目、口、髪、服、腕など、Live2Dで動かすために画像を分けたイラストデータです。

Live2D Cubism Editorでは、PSDから新しいモデルを作成できます。

そのため、別のモデラーへPSDを渡し、新しくLive2Dモデリングをしてもらうことは可能な場合があります。

ただし、これは現在のLive2Dモデルを修正することとは違います。

PSDには、以前のモデラーが作った顔の変形、体の動き、揺れなどのモデリング内容がそのまま保存されているわけではありません。

新しいモデラーが、もう一度動きを作ることになります。

「前と同じ動きで一部分だけ直す」は難しくなる

cmo3がなくPSDから作り直す場合、現在のモデルをそのまま引き継ぐわけではありません。

そのため、

今の顔の動きは全部残したい

髪の揺れも以前と同じにしたい

口だけ直したい

という希望でも、以前の設定をそのまま編集することはできません。

新しいモデラーが現在のモデルを見ながら似た動きを作ることは考えられますが、元の制作データを開いて一部分だけ変更する作業とは別です。

元データがない場合に重要なのは、

「修正できるか」

だけではなく、

「今のモデリングをそのまま引き継いで直せるか」

です。

PSDもない場合はさらに前から作ることになる

cmo3もなく、パーツ分けされたPSDもない場合があります。

手元にあるのが、

VTube Studioで動くモデル一式

完成した立ち絵

だけというケースです。

この場合、現在のLive2Dモデル内部を編集する方法ではなく、イラスト側から新しく制作する方向を検討することになります。

完成した一枚絵しかないなら、Live2D用にパーツを分けたり、動いたときに見える部分を描き足したりする必要が出る場合があります。

モデル全体を大幅に直したいのであれば、新規制作に近くなります。

新しいパーツを追加したいなら画像データも必要になる

元データの有無とは別に、修正内容によって新しいイラストも必要です。

たとえば、

新衣装

新しい髪型

別の腕ポーズ

新しいアクセサリー

を追加したい場合です。

cmo3が残っていても、描かれていないものをLive2Dだけで作れるわけではありません。

新しい画像パーツを用意し、それを既存モデルへ追加してモデリングします。

Live2D公式にも、開いているモデルへPSDを追加・差し替えする機能があります。

つまり、

cmo3=今あるLive2Dモデルを編集するデータ

PSD=モデルに使う元の画像を用意するデータ

と役割を分けて考えると分かりやすくなります。

元データがなくてもテクスチャだけ直せる場合はある

配信用モデルには、キャラクターの表面に表示する画像であるテクスチャも含まれています。

VTube Studioには、外部で変更したモデルのテクスチャ画像を再読み込みする機能があります。

そのため、契約上の改変が認められており、画像構造を壊さない範囲なら、色など見た目側の変更が可能な場合はあります。

ただし、これはLive2Dの動きや変形を修正するものではありません。

また、元制作者の作品を勝手に色変更・加工してよいとは限らないため、技術的にできることと利用条件は分けて確認します。

別のモデラーへ頼む場合は元データだけでは決まらない

cmo3やPSDが手元にあっても、別のモデラーへ自由に渡してよいとは限りません。

現在のモデルを制作したモデラーやイラストレーターに著作権が残っている場合があります。

契約で、

第三者による改変禁止

データの第三者提供禁止

改変には事前許可が必要

といった条件が定められていることもあります。

実際に他者制作モデルを改修するモデラーでも、cmo3やPSDだけでなく、作者による編集・利用許可まで確認するサービスがあります。

したがって別の人へ修正を頼む場合は、

データがあるか

だけではなく、

そのデータを別の人が修正してよいか

も確認します。

「元データなしでも修正できます」と言われたら何をするのか確認する

新しいモデラーへ問い合わせたところ、

「元データがなくても対応できます」

と言われることもあるでしょう。

この場合は、何をする意味なのか確認します。

VTube Studio側の設定を直すだけなのか。

既存のPSDから再モデリングするのか。

現在の一枚絵をパーツ分けし直すのか。

新しいイラストからモデルを作り直すのか。

これらはすべて結果や作業内容が違います。

「修正できます」という言葉だけで判断せず、

「現在のmoc3を直接編集するのですか。それとも新しくモデリングし直すのですか」

という違いを確認すると分かりやすくなります。

自分の場合は「どこを直したいか」から判断する

元データがない状態で困ったら、ファイル名から考えるより、まず直したい内容を整理します。

現在ある動きの反応を弱くしたい、滑らかにしたいという程度なら、VTube Studio側で解決できる可能性があります。

顔や体の形、可動域、メッシュ、パーツの動きそのものを変更したいなら、cmo3を探します。

cmo3がなければ元モデラーが保管していないか確認します。

cmo3が誰の手元にもなく、PSDが残っているなら、そのPSDから再モデリングする方法を検討します。

PSDもないなら、イラスト制作やパーツ分けからやり直す範囲まで考えます。

この順番なら、「元データがないから全部作り直し」と早く決めすぎることも、「moc3があるから何でも直せる」と誤解することも避けられます。

元データなしで直せる境界は「既存機能の調整」まで

Live2Dの元データがなくても、すべての修正が不可能になるわけではありません。

VTube Studio側で、

トラッキングの反応範囲を変える

動きを滑らかにする

既存の物理演算の強さを調整する

すでにあるパラメータから表情を設定する

といった調整はできる場合があります。

しかし、

顔の形を作り直す

可動域を増やす

新しい変形を作る

髪や服の動きを作り直す

新しい画像パーツをモデルへ組み込む

という段階になると、Live2Dモデルそのものを編集する必要があります。

その境界で必要になるのがcmo3です。

cmo3が失われていてもPSDがあれば、新しくモデルを作り直す道は残ります。

つまり、元データがなくても「少しも直せない」わけではありません。

判断するポイントは、今あるモデルの設定を調整すれば済むのか、それともモデル内部を作り直す必要があるのかです。

出典

株式会社Live2D|ファイルの種類と拡張子

株式会社Live2D|組み込み用データ

株式会社Live2D|PSDのインポート

株式会社Live2D|PSDの再インポート

Live2D Creators Forum|Possible to convert moc3 file back to cmo3 file?

DenchiSoft|VTube Studio Wiki「VTS Model Settings」

DenchiSoft|VTube Studio Wiki「Expressions」

Illustration & Live2D Creation|FAQ

つなぐ|他製作者様Live2Dモデルの改修・リメイク

文化庁|誰でもできる著作権契約マニュアル

文化庁|文化芸術活動に関する法的問題についてよくあるご質問