VTuberモデルを使って配信し、広告収入や投げ銭を受け取ることが認められていても、そのモデルでアクリルスタンドや缶バッジなどのグッズを作って販売してよいとは限りません。
確認するポイントは、「商用利用できるか」だけではありません。
依頼時の規約やメッセージに「グッズ制作・販売」が含まれているかを見る必要があります。
グッズ販売まで明確に許可されていれば、その条件内で制作できます。
反対に、「配信での収益化可」「VTuber活動での商用利用可」としか書かれておらず、グッズについて何も書かれていない場合は、制作前に確認した方が安全です。
配信で稼ぐこととグッズを売ることは同じではない
どちらもお金が発生するため、「商用利用」という一つの扱いに見えます。
しかし、著作権では利用方法によって関係する権利が違います。
YouTubeなどの配信でモデルを表示することと、イラストをコピーして商品を作り、その商品を販売することは同じ利用方法ではありません。
そのため制作者側の規約でも、
「配信・投げ銭は可」
「グッズ販売は別途相談」
と分けられていることがあります。
実際にVTuberモデルの制作規約を見ると、配信や広告収入、投げ銭は通常の利用範囲に含める一方、グッズ制作には別料金や別の許可を必要とする例があります。
「すでに収益化しているからグッズも大丈夫」とは判断しない方がよいでしょう。
まず「グッズ」という言葉が書かれているかを見る
依頼時の利用規約、見積書、契約書、商品ページ、メールやメッセージを確認します。
最も分かりやすいのは、
「グッズ制作・販売可」
「キャラクターを使用したグッズ販売可」
「アクリルスタンド、缶バッジ等への利用可」
などと書かれている場合です。
この場合でも、販売できるグッズの種類、利用期間、販売数、個人のみか法人利用も可能かなどの条件が付いていないか確認します。
一方、
「商用利用可」
とだけ書いてある場合は判断が難しくなります。
商用利用という言葉が、その制作者の規約では配信収益だけを意味する場合もあれば、グッズ販売まで含めている場合もあるからです。
言葉だけから広く解釈せず、グッズ販売を含むか分からなければ制作者に確認します。
立ち絵をそのままグッズにするなら元のイラストの条件を確認する
たとえば、VTuber活動に使っている立ち絵をそのままアクリルスタンドや缶バッジにしたい場合です。
確認したいのは、Live2Dモデルを動かす許可だけではありません。
その商品の表面に使うイラストについて、グッズ制作・販売が認められている必要があります。
イラストレーターとLive2Dモデラーが同じ人なら、一つの規約でまとめて定められている場合があります。
しかし、
イラストはAさん
Live2DモデリングはBさん
という依頼なら、事情が変わります。
モデラーから「VTuber活動で商用利用可能」と言われていても、元の立ち絵を描いたイラストレーターがグッズ利用まで認めているとは限りません。
誰が何を作ったのかを分けて確認します。
モデルのスクリーンショットを使う場合も自動的にOKにはならない
配信画面からモデルの姿を撮影して、その画像をグッズに使いたい場合もあります。
「自分で撮ったスクリーンショットだから自分の画像」と考えたくなりますが、画像の中には制作者が作ったキャラクターやイラストの表現が含まれています。
そのため、スクリーンショットを使えば元の権利関係を気にしなくてよくなるわけではありません。
グッズ利用の許可があるかを確認します。
別の絵師にグッズ用イラストを描いてもらう場合は確認が一つ増える
VTuberのグッズでは、配信用の立ち絵をそのまま使わず、
デフォルメされた小さなキャラクター
新しいポーズ
新しい衣装
グッズ専用の描き下ろし
などを別のイラストレーターへ依頼することもあります。
この場合、「グッズ販売できるか」だけでは足りないことがあります。
元のキャラクターデザインを使って別の作品を作ることや、第三者のクリエイターに制作を依頼することまで認められているかを確認します。
著作権では、元作品を変更して別の作品を作ることに関する権利もあります。
たとえば、文化庁はイラストのキャラクターを立体化してフィギュアにすることを、別の作品を作る利用の例として挙げています。
したがって、
「グッズ販売はOK」
でも、
「別の絵師が自由に描き直してOK」
まで当然に含まれるとは限りません。
新衣装や別ポーズ、デフォルメ絵を使いたい場合は、「第三者へのイラスト依頼や改変も可能か」を確認しておくと判断しやすくなります。
自分で描き直せば自由になるわけでもない
自分でVTuberキャラクターのグッズ用イラストを描けば問題ない、とも限りません。
元のキャラクターデザインを別の人が制作し、その著作権が制作者に残っている場合があります。
自分で描いたか、別のイラストレーターに描いてもらったかだけで判断するのではなく、元のキャラクターを別の形で使うことが認められているかを確認します。
「著作権を買い取らないとグッズは作れない」わけではない
ここも間違えやすいところです。
グッズを作りたいからといって、必ずVTuberモデルの著作権すべてを譲ってもらう必要があるわけではありません。
著作権を制作者に残したまま、
「このキャラクターを使ってグッズを制作・販売してよい」
という利用許諾を受ける方法があります。
実際のVTuber制作サービスにも、著作権を完全に譲渡するプランとは別に、指定したグッズだけを制作・販売できる利用許諾を用意している例があります。
目的がアクリルスタンドや缶バッジの販売だけなら、「著作権全部をください」と交渉するより、必要な利用範囲について許可を得る方が合っている場合があります。
グッズ利用可でも「何をしてもいい」とは限らない
「グッズ販売可」と確認できたら、次に利用条件を見ます。
たとえば、
販売できる商品が指定されている
販売期間が決まっている
販売数量に上限がある
個人活動だけ認められている
クレジット表記が必要
色変更やトリミングに制限がある
別のイラストレーターへの依頼は禁止されている
といった条件が付いていることがあります。
著作物の利用許諾では、「どのように使うか」「どの期間使うか」「どの範囲で使うか」などを限定できます。
「グッズ可」という一語だけを見るのではなく、その後に書かれている条件まで確認します。
印刷会社へデータを渡していいかも確認する
自分でグッズを印刷する人は少なく、多くの場合は印刷会社やグッズ制作サービスへ画像データを送ります。
ここでも規約を確認します。
モデルやイラストのデータを第三者へ渡すこと自体を禁止している制作者もいるからです。
一方、グッズ制作のための印刷会社への提供まで認めている場合もあります。
「グッズ制作OKなのだから印刷会社へのデータ送付も当然OK」と決めつけず、不明な場合は合わせて確認しておく方が確実です。
Live2Dが商用利用できてもキャラクターのグッズ権利とは別
Live2Dは、2Dイラストを動かすために使われる制作ソフトです。
Live2D側の利用条件上、制作した作品を商用利用できる場合があります。
しかし、これは「依頼したイラストレーターやモデラーの作品を自由にグッズ化できる」という意味ではありません。
ソフトを使える条件と、キャラクターやイラストを使える条件は別です。
Live2D側で販売利用が認められていても、依頼したVTuberモデルについては、そのモデルやイラストの制作者との契約を確認します。
「無料で配るだけ」でも規約確認は必要
販売せず、イベントや購入特典として無料配布するグッズなら問題ない、と考えることもあります。
しかし、著作権は利益が出る場合だけに関係するものではありません。
イラストを複製して物にすること自体について利用条件が付いている場合があります。
そのため、「販売しないから商用利用ではない」で終わらせず、配布用グッズも利用規約の対象になっていないか確認します。
すでにモデルを持っている人はここを見れば判断しやすい
今使っているVTuberモデルでグッズを作りたいなら、まず依頼時の規約ややり取りを確認します。
「グッズ制作・販売可」と明記され、作りたい商品の種類や使い方がその範囲に入っているなら、基本的にはその条件に従って進めます。
「配信収益化可」しか書かれていなければ、グッズまで含むとは決めつけず確認します。
「商用利用可」だけで具体的な利用範囲が分からない場合も同じです。
さらに別の絵師へ新しいイラストを依頼するなら、第三者による描き下ろしや改変まで可能かを確認します。
イラストレーターとモデラーが別なら、それぞれが担当した制作物について誰の許可が必要なのかを分けます。
依頼前なら「商用利用できますか」だけで聞かない
これからVTuberモデルを依頼する場合は、
「商用利用できますか」
だけでは、後で同じ問題が起こります。
「YouTube等で収益化して配信し、将来はアクリルスタンド・缶バッジ等のグッズを販売する可能性があります。グッズ用に別のイラストレーターへ描き下ろしを依頼する可能性もあります」
というように、予定している使い方まで伝えた方が明確です。
そして、許可された内容は規約、契約書、見積書、メールなど後から確認できる形で残しておきます。
グッズを作れるかは「収益化しているか」ではなく「何を許可されたか」で決まる
VTuberモデルを使った配信で広告収入や投げ銭を得ることが認められていても、グッズ販売まで自動的に認められるわけではありません。
判断するときに見るべきなのは、
「配信で稼いでいるか」
ではなく、
「そのモデルやイラストについて、グッズという使い方まで許可されているか」
です。
さらに、元の立ち絵をそのまま使うのか、別の絵師に描いてもらうのか、立体物にするのかによって確認する範囲も変わります。
グッズ制作が明記されていれば、その条件を確認する。
配信収益化しか書かれていなければ、制作前にグッズ利用を確認する。
別のクリエイターによる描き直しを伴うなら、その利用まで認められているか確認する。
ここまで分ければ、自分のVTuberモデルでグッズを作れるかを判断しやすくなります。
出典
文化庁|誰でもできる著作権契約マニュアル
文化庁|文化芸術活動に関する法的問題についてよくあるご質問
e-Gov法令検索|著作権法
株式会社Live2D|作ったモデルファイルや作品を販売することはできる?
株式会社インフルール|VTuberイラスト制作
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