Live2Dモデルを依頼するとき、「元データは別料金です」と書かれていることがあります。
この元データは、配信でモデルを動かすための完成データとは別です。
Live2Dで後から顔の動きや髪の揺れなどを編集できる制作データがあり、主に「cmo3」という形式で保存されています。
料金は制作者によって違います。
基本料金に含む人もいれば、1万円、3万円、5万円などの追加料金を設定する人もいます。制作料金の一定割合を求めるケースや、法人にしか渡さない、そもそも渡さないというケースもあります。
そのため、元データは「普通は無料でもらえるもの」とも「必ず別料金」とも言えません。
重要なのは、後から誰がモデルを修正する予定なのかです。
配信用データと編集用の元データは別
まず、納品されるファイルを分けて考えます。
Live2Dには、配信ソフトなどでモデルを動かすための「moc3」というデータがあります。
VTube Studioなどで使う場合は、このmoc3とテクスチャ、設定ファイルなどが納品されます。
一方、「cmo3」はLive2D Cubism Editorでモデルを編集するためのデータです。
顔の向き。
目や口。
髪の揺れ。
体の動き。
パーツ構造。
などを後から変更するときに使います。
名前は似ていますが役割が違います。
moc3があるからといって、そのモデルをLive2D Cubismで自由に作り直せるわけではありません。
「元データ」という言葉だけでは何をもらえるか分からない
依頼先によっては、
元データ。
編集データ。
プロジェクトデータ。
オリジナルデータ。
という呼び方をします。
ここで確認したいのはファイル名です。
Live2Dのモデリングを後から編集したいなら、主に必要なのはcmo3です。
しかし、イラストそのものも変更したいなら、それだけでは足りない場合があります。
髪型を描き直したい。
服を描き替えたい。
アクセサリーを追加したい。
新しいパーツを描き足したい。
という場合は、元のパーツ分けイラストであるPSDも必要になることがあります。
「元データをください」だけではなく、
「cmo3は含まれますか」
「パーツ分けPSDも含まれますか」
と分けて確認します。
cmo3は別料金にしている制作者が多い
公開されている依頼ページを見ると、通常納品は配信に必要なデータだけとし、cmo3を別料金にしている例があります。
実際に、
編集元データ +1万円。
cmo3 +3万円。
cmo3 +5万円。
制作費の50%。
一律8万8,000円。
など、料金設定はかなり違います。
この金額を平均して「cmo3の相場は○万円」と考えるのは適切ではありません。
モデル制作費そのものが違いますし、著作権譲渡や第三者改変許可まで含むかどうかも違うからです。
cmo3を無料で含む依頼先もある
一方、すべてが別料金ではありません。
キャラクターデザインからLive2Dまで一括制作するサービスの中には、PSDやcmo3を納品物に含める例があります。
そのため、依頼価格だけを比較するときは注意が必要です。
例えば、
Aさん モデル15万円、cmo3は別3万円。
Bさん モデル18万円、cmo3込み。
なら、「基本料金15万円対18万円」だけを比べても最終費用は同じになります。
将来元データが必要なら、cmo3込みの総額で比較します。
cmo3を渡さない制作者もいる
お金を払えば必ず買えるとも限りません。
編集可能なcmo3は基本的に渡さない、としているモデラーもいます。
また、
法人のみ相談可能。
著作権譲渡とセット。
利用目的を審査してから譲渡。
第三者への受け渡し禁止。
といった条件を設けるケースがあります。
将来必要になってから「追加料金を払えばもらえるだろう」と考えるのは危険です。
cmo3を渡さない方針なら、後から希望しても購入できない可能性があります。
同じモデラーへ直してもらうならcmo3を持たなくてもよい場合がある
ここが、元データを買うか判断するときの大きな分かれ目です。
今後も初期モデルを作ったモデラーへ、
表情を追加したい。
髪の揺れを直したい。
可動域を広げたい。
新衣装を追加したい。
と依頼するつもりなら、自分の手元にcmo3がなくても対応してもらえる場合があります。
制作者側が編集データを保管しているからです。
実際に、cmo3を標準では納品しない一方、制作データを一定期間保管してアフターサポートや追加修正を行う制作サービスがあります。
この場合、将来同じ制作者へ頼むことを前提にするなら、高額な元データを最初から買う必要性は下がります。
ただし制作者が永久にデータを保管するとは限らない
問題はここです。
モデルを作った人が、何年後でもcmo3を持っている保証はありません。
制作サービスによっては、
納品後1年間保管。
保管期間を保証しない。
将来保管期間を設ける可能性がある。
といった案内があります。
さらに、制作者本人が活動を休止・引退する可能性もあります。
5年、10年と同じモデルを使いたいなら、「同じ人へ頼めばいい」だけではリスクが残ります。
依頼前に、
制作データを何年間保管するか。
後から追加依頼を受けるか。
受付終了した場合はcmo3を渡してもらえるか。
を確認しておくと安心です。
別のモデラーへ修正を頼むならcmo3の重要性が上がる
最初のモデラーが受付停止した。
納期が長くなった。
新衣装だけ別の得意な人へ頼みたい。
もっと高可動域にできるモデラーへ変更したい。
ということがあります。
この場合はcmo3が重要になります。
別のモデラーが既存モデルの続きを編集するには、完成した配信用データだけではなく、編集できるプロジェクトデータを求められる場合があります。
moc3だけ渡して「この続きから直してください」と依頼できるとは限りません。
将来モデラーを変更できる状態にしたい人は、cmo3を受け取れる契約にしておく意味があります。
cmo3を受け取れば誰でも自由に改変できるわけではない
ここは特に注意が必要です。
cmo3というファイルを持っていることと、そのモデルを自由に改変する権利を持っていることは別です。
制作者によって、
第三者による改変禁止。
事前許可が必要。
著作権譲渡時のみcmo3を渡す。
第三者へcmo3を渡してはいけない。
など条件が違います。
そのため、
「cmo3を買えますか」
だけでは不十分です。
将来別のモデラーへ依頼したいなら、
「第三者へcmo3を渡して修正してもらえますか」
まで確認します。
自分で直したい場合もcmo3が必要になる
Live2D Cubismを覚えて、自分でモデルを修正したい人もいます。
この場合もcmo3が必要です。
例えば、
髪の揺れを弱くする。
顔の角度を調整する。
パラメータを直す。
パーツの動きを変更する。
といったモデリング側の変更をするには、編集できるモデルデータが必要になります。
配信用のmoc3だけを持っていても、元の制作画面に戻って自由に調整する用途には向きません。
cmo3があっても無料版だけで直せるとは限らない
「元データさえもらえば、自分で無料で直せる」とも限りません。
Live2D Cubismには無料版と有料のPRO版があります。
PRO版で制作されたモデルでも無料版で開くこと自体はできます。
しかし、無料版には使えるパーツ数、アートメッシュ数、パラメータ数、変形器数などに制限があります。
その制限を超えているモデルは、そのまま無料版で保存できません。
依頼した高品質モデルを自分で修正したい場合は、
自分が使うLive2D Cubismで編集・保存できるモデルなのか。
PRO版が必要なのか。
も確認します。
元データ代だけで判断しない方がよいでしょう。
イラストを直すならPSDも必要になる
例えば、
髪色を変更したい。
衣装の模様を変えたい。
アクセサリーを描き足したい。
新しい髪パーツを追加したい。
という変更があります。
これはモデリングの数値を直すだけでは済みません。
元の絵を修正する必要があります。
Live2D公式でも、既存の絵を直したり新しいパーツを追加したりするときは、PSDを修正してモデルへ再読み込みする方法が案内されています。
つまり、長期的にモデルを自由に更新したいなら、
cmo3。
パーツ分けPSD。
の両方を確認する必要があります。
cmo3だけ買っても新衣装を自由に作れるとは限らない
新衣装を例にすると分かりやすくなります。
既存モデルの顔・髪を使いながら服だけ変える場合でも、まず新しい衣装のイラストが必要です。
そのイラストをLive2Dモデルへ追加し、動くように設定します。
cmo3があるからといって、服の絵まで自動的に作れるわけではありません。
また、元のイラストレーターが第三者による描き足しを認めているかも確認が必要です。
モデルのモデリング権限と、イラストの改変権限は別に存在する場合があります。
「後から修正」の内容によって必要なデータを分ける
後から何をしたいかで整理すると分かりやすくなります。
顔の可動域を直したい。
髪の物理演算を直したい。
体の動きを追加したい。
ならcmo3が中心になります。
髪色を変更したい。
服を描き替えたい。
パーツを描き足したい。
ならPSDも重要です。
別のモデラーへ引き継ぎたい。
ならcmo3に加え、第三者による編集許可が必要です。
自分で編集したい。
ならcmo3に加え、自分のCubism環境でそのモデルを保存できるかも確認します。
「後で直すかもしれない」という一言だけでは、必要な元データを決められません。
軽微な修正だけなら元データを買わない方が安い場合もある
例えば、初回依頼時にcmo3が5万円だったとします。
今後必要になりそうなのが、
表情を1個追加。
髪の揺れを少し調整。
程度なら、毎回元のモデラーへ数千円・数万円で修正を依頼した方が、総額では安くなる場合があります。
元データは「持っていれば得」という商品ではありません。
実際に、
自分で編集する。
他人へ引き継ぐ。
長期間、自分でデータを管理する。
という必要があるかで判断します。
長期間使うキャラクターなら元データの価値は上がる
逆に、
何年も活動する予定。
衣装を何度も追加する予定。
モデラーを将来変更する可能性がある。
企業活動にも使う。
担当者が変わっても制作を継続したい。
というモデルでは、元データを手元に置く価値が高くなります。
モデルそのものより、数年間の運用を考えるからです。
この場合は初期費用だけでなく、「将来このモデルを誰が修正できるのか」を契約時に決めた方がよいでしょう。
依頼前に確認するのは「元データはいくら?」だけではない
見積もり時には、次を確認します。
通常納品にcmo3は含まれるか。
含まれない場合はいくらか。
パーツ分けPSDは納品されるか。
cmo3を後から購入できるか。
購入できる期限はあるか。
第三者のモデラーへ渡してよいか。
自分で改変してよいか。
新衣装を別の人へ依頼してよいか。
制作者は元データを何年間保管するか。
納品後の追加修正を受けているか。
著作権譲渡とcmo3譲渡は同じ契約なのか。
ここまで確認すれば、「元データを買わなかったから何も直せない」という状況を避けやすくなります。
結局、Live2Dの元データは買った方がいい?
同じモデラーへ今後も修正や新衣装を頼むつもりで、制作者が長期間データを保管し、追加依頼も受けているなら、必ずしも最初にcmo3を買う必要はありません。
特に元データ料金が高い場合、将来本当に必要になるか分からない段階で購入すると、使わないまま終わる可能性があります。
一方、
自分でLive2Dを編集したい。
別のモデラーへ引き継げるようにしたい。
制作者が活動停止してもモデルを維持したい。
企業やチームで長期間管理したい。
という場合は、cmo3を受け取れる条件を最初に確認しておく意味があります。
さらにイラストまで変更する可能性があるなら、パーツ分けPSDについても確認します。
判断基準は「元データが別料金か」ではありません。
「将来、誰が何を直すのか」です。
そこが決まれば、追加料金を払ってcmo3を受け取るべきか、元のモデラーに保管してもらえば十分なのかを判断できます。
出典
Live2D|File Types and Extensions
Live2D|Data for Embedded Use
Live2D|Re-import PSDs
Live2D|Compare Features – FREE vs PRO
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