VTuberの3Dモデルを自分で作ろうと調べると、VRoid Studio、Blender、Unityなど、いくつものソフトが出てきます。
最初に整理すると、全部が同じ役割のソフトではありません。
VRoid Studioは、人型キャラクターの土台を使って、顔・体・髪・服などを調整しながら3Dアバターを作るソフトです。
Blenderは、キャラクターの形そのものから作れる汎用の3D制作ソフトです。
Unityは、基本的にはキャラクターの形を一から作るためというより、作った3Dモデルをアプリや特定の環境で使えるよう設定するときに登場します。
初めて3Dモデルを作るなら、まず考えるのは「VRoidかBlenderか」です。
判断基準は難易度ではありません。
自分が作りたいキャラクターが、用意された人型の土台を調整すれば作れるのか。それとも、形そのものを一から作る必要があるのかです。
VRoid Studioは「人型の土台から作る」ソフト
VRoid Studioでは、何もない3D空間から頭や体を一つずつ作る必要はありません。
最初から人型のキャラクターが用意されています。
そこから、
顔の形。
目。
鼻。
口。
体型。
髪。
服。
色や模様。
などを調整してキャラクターを作ります。
ゲームのキャラクターメイクに近いところから始められるため、3Dモデリングをしたことがない人でも完成まで進みやすいのが特徴です。
髪は用意された髪型を選ぶだけでなく、毛束を描くように作れます。
服もテンプレートを組み合わせたり、表面の絵柄を自分で描いたりできます。
「VRoidは既製キャラの色を変えるだけ」というわけではありません。
VRoidが向いているのは「人型の範囲で作れるキャラクター」
例えば、
人間型。
アニメ調の顔。
通常の二本腕・二本脚。
髪型を中心に個性を出したい。
一般的なシャツ、スカート、ズボンなどを基礎に衣装を作れる。
このようなキャラクターなら、まずVRoid Studioを試す意味があります。
顔や体のパラメータを変え、髪を作り、服の色や模様を描けば、かなり印象を変えられます。
3D制作を始める前から「Blenderを覚えないとオリジナルにはならない」と考える必要はありません。
まずVRoid上で、自分のデザインをどこまで再現できるか確認できます。
VRoidで困るのは「形そのもの」が用意された範囲から外れるとき
VRoid Studioで重要なのは、プリセットがあることではなく、土台が人型キャラクター向けに用意されていることです。
そのため、色や模様を変えるだけでは再現できない特徴が増えると、工夫が必要になります。
例えば、
非常に特殊な体型。
通常の人体から大きく違う頭身。
独特な形の帽子。
大きな機械装備。
特殊な形状の靴。
複雑な立体装飾。
通常の衣装テンプレートとは全く違う服。
といったものです。
テクスチャ、つまり表面の絵を変えるだけでは、3Dの形自体は変わりません。
「ここに模様を描きたい」ならVRoidで対応しやすくても、「ここから大きな立体物を飛び出させたい」となるとBlenderを使う理由が出てきます。
Blenderは3Dの形そのものを作れる
BlenderはVTuber専用のキャラクターメーカーではありません。
人、物、建物、背景、映像など、幅広い3D制作に使うソフトです。
キャラクター制作では、
立体の形を作る。
服を作る。
髪を作る。
表面へ絵を貼る。
骨組みを入れる。
骨を動かしたときに体のどこが動くか設定する。
表情を作る。
といったところまで扱えます。
つまり、VRoidでは「用意された人型を調整する」のに対して、Blenderでは「何をどういう形で作るか」から決められます。
自由度が高い代わりに、決めなければならないことも増えます。
Blenderでは「モデルを作っただけ」ではVTuberとして動かない
3Dキャラクターの見た目を作っただけでは、まだVTuber用モデルとして完成ではありません。
体を動かすには骨組みが必要です。
3Dでは、この骨組みを「ボーン」と呼びます。
頭、腕、脚などへ骨を入れ、その骨が動いたときに体表面のどこまで一緒に動くかを設定します。
Blenderでは、この骨組みを作ってキャラクターを動かせるようにする作業もできます。
さらに顔については、笑顔、口の形、まばたきなどを作る必要があります。
Blenderには、3Dモデルの形を別の形へ変化させる「シェイプキー」という機能があり、顔の表情や口形状などに利用できます。
つまりBlenderで一から作る場合は、
見た目を作る。
骨を作る。
体を骨へ対応させる。
表情を作る。
VTuberで使える形式へ整える。
ところまで考えます。
VRoidより難しく見えるのは、この一連の工程を自分で決められる代わりに、自分で設定する部分も増えるためです。
「VRoidかBlenderか」は二者択一ではない
実際には、この2つを組み合わせる方法があります。
まずVRoid Studioで、
顔。
体。
基本の髪型。
基本衣装。
などを作ります。
そこからVRM形式で書き出し、Blenderへ読み込みます。
Blender側で、
VRoidでは作りにくかった装飾を追加する。
服の形を直す。
独自の小物を追加する。
メッシュの形を調整する。
表情を追加・修正する。
といった加工を行います。
この方法なら、人間の体や基本的な骨組みをゼロから作る必要がありません。
「全部VRoid」か「全部Blender」ではなく、「普通の部分はVRoid、特殊な部分だけBlender」という作り方ができます。
VRoid+Blenderが向いているのは「一部分だけ特殊」なキャラクター
例えば、キャラクターの顔や体型は普通の人型。
しかし、
大きな専用帽子がある。
特殊な首飾りがある。
独自形状の武器を持たせたい。
服の一部分だけVRoidでは再現しにくい。
といったケースです。
この場合、頭から足までBlenderで作り直さなくても、VRoidを土台として利用できます。
自分のキャラクターを見て、
「普通の人型部分」と「このキャラクター特有の立体物」
を分けてみると判断しやすくなります。
特殊部分が少なければ併用。
ほぼ全身が特殊ならBlenderから作る意味が大きくなります。
VRoidからBlenderへ移すときは編集用データを残しておく
VRoid Studioで制作中のモデルは.vroidという編集用データで管理されます。
配信アプリなどで使うときはVRM形式へ書き出します。
ここで注意したいのが、一度書き出したVRMファイルをVRoid Studioへ戻し、再びVRoid用モデルとして編集することはできない点です。
例えば、
VRoidでモデルを作る。
VRMへ書き出す。
Blenderで加工する。
その後「やっぱりVRoidで顔を変更しよう」と思う。
このとき、Blender側で変更したVRMをVRoid Studioへ戻すことはできません。
VRoid Studioでの修正用に、元の.vroidデータを残しておきます。
「VRoid版」と「Blenderで加工した完成版」を別に管理するイメージです。
BlenderでVRMを扱うには対応機能を追加する
Blenderは汎用3Dソフトなので、VTuber用のVRMだけを扱うために作られているわけではありません。
VRMを直接扱いたい場合は、VRM Add-on for Blenderなどを利用できます。
この追加機能を入れると、BlenderでVRMの読み込み・編集・書き出しができます。
つまり、VRoidからVRMとして書き出し、Blenderで加工し、再びVRMとして使う流れを作れます。
ここでいうVRMはソフト名ではありません。
人型の3Dアバターを複数の対応アプリで扱いやすくするためのファイル形式です。
VRMは「3Dモデルを作るソフト」ではない
初心者が混乱しやすいのが、
VRoid。
VRM。
という似た名前です。
VRoid Studioはモデルを作るソフトです。
VRMは完成した人型3Dアバターを保存・受け渡すためのファイル形式です。
例えば文章でいえば、
文章を作るソフト。
保存された文書ファイル。
くらい役割が違います。
VRMには、人型モデルの骨格や表情、視線などを対応アプリ間で扱うための仕組みがあります。
そのため、VRM対応の配信ソフトへ同じモデルを読み込んで使えます。
Unityはどこで出てくる?
3D VTuberについて調べていると、Unityという名前もよく出てきます。
Unityは、VRoidやBlenderと同じ意味での「キャラクターの形を作るソフト」と考えない方が分かりやすくなります。
VRoidやBlenderで作ったモデルを、
特定のアプリ向けに設定する。
VRMとして読み書きする。
シェーダーや動作設定を調整する。
といった段階で使われます。
UnityにはUniVRMというVRM対応の仕組みがあり、VRMファイルの読み込み・書き出しができます。
ただし現在はBlender側にもVRMを扱う追加機能があるため、「VTuberの3Dモデルを作るなら必ずUnityも覚えなければならない」ということではありません。
使う配信環境や最終的な出力先で必要になったときに考えればよいでしょう。
VSeeFaceやWarudoはモデルを作るソフトではない
同じように混同しやすいのが、3D VTuberを動かすソフトです。
例えばVRM対応の配信ソフトでは、完成したキャラクターモデルを読み込み、ウェブカメラやスマートフォンなどで読み取った自分の顔・体の動きをモデルへ反映します。
これは「モデル制作」ではなく「完成モデルを動かす」段階です。
流れとしては、
VRoidやBlenderでモデルを作る。
VRMなどの使用可能な形式にする。
配信・トラッキングソフトへ読み込む。
自分の動きをモデルへ反映する。
となります。
検索中に出てくるソフトを全部覚える必要はありません。
まず「作るソフト」と「完成したモデルを動かすソフト」を分けます。
最初からBlenderを選んだ方がいいのはどんなキャラクター?
判断しやすいのは、デザイン画を見てVRoidの人型ベースを使えるか考えることです。
例えば、
ロボットそのもの。
人間とは大きく違う体格。
極端なデフォルメ体型。
身体構造そのものが人型から外れている。
服が通常の衣服ではなく、キャラクター本体と一体化した特殊形状。
独自の立体装備がモデルの大部分を占める。
こうしたデザインなら、VRoidへ無理に合わせるより、Blenderなどで形そのものから作る方が目的に合う場合があります。
一方、髪型や色、顔つきが個性的でも、体の基本構造が普通の人型なら、まずVRoidでどこまで作れるか試すことができます。
VRoidらしい見た目になるのが気になる場合は?
VRoidでは共通の人型ベースやプリセットを使えるため、初期設定のまま組み合わせるだけでは似た印象になることがあります。
しかし、
顔の各パラメータを変える。
瞳や肌のテクスチャを自分で描く。
髪型を自作する。
衣装のテクスチャを作る。
といった加工もできます。
そのため「VRoidを使った時点で同じ見た目になる」とは限りません。
それでも欲しいシルエットが作れない場合に、Blenderでの加工を考えます。
見た目がVRoid製かどうかではなく、「自分のデザインで変更したい部分が、VRoid内の調整項目なのか、3D形状そのものなのか」で考えます。
最初の3DならVRoidで作ってから判断してもいい
3D制作を経験したことがないなら、いきなりBlenderで一から人間を作る必要はありません。
VRoid Studioは無料で利用でき、人型キャラクターを作ってVRMへ書き出せます。
まず一体作ると、
3Dモデルの顔とはどういうものか。
テクスチャとは何か。
髪はどう作られているか。
骨が入ったモデルはどう動くか。
VRMを配信ソフトへ入れるとどうなるか。
を実際に確認できます。
そのモデルで満足できれば、そのまま使えます。
「この帽子だけ作れない」と分かれば、その部分だけBlenderを学ぶ理由ができます。
「全身が思った形にならない」と分かれば、Blenderで一から作るか、3Dモデラーへ依頼する判断もできます。
最初からソフト名で進路を決めるより、一度VRoidで形にして「何が足りないか」を確認する方法もあります。
結局、VTuberの3Dモデルは何で作ればいい?
作りたいキャラクターが、一般的な人型を基礎にしているなら、まずVRoid Studioが候補です。
顔、体型、髪、服などを調整し、3Dモデルを一から構築せずに作れます。
VRoidでは作れない特殊な形がキャラクターの一部にあるなら、VRoidで土台を作ってBlenderで追加加工する方法があります。
体型、衣装、装備などモデル全体の形そのものが特殊なら、Blenderなどで一から作る意味が大きくなります。
そして、Unityや配信ソフトは別の段階で登場します。
判断するときは、
「初心者だからVRoid」
「本格的だからBlender」
と分ける必要はありません。
見るべきなのは、自分のキャラクターデザインです。
用意された人型を調整すれば作れる。
それならVRoid。
人型は使えるが、一部分だけ独自の形が必要。
それならVRoid+Blender。
土台から独自の形にしたい。
それならBlender。
この順番で考えると、自分に必要なソフトを決めやすくなります。