Live2Dモデルを自分で作る場合、現在はスマホだけで最後まで完成させることはできません。
Live2Dモデルの動きを作る「Live2D Cubism Editor」が、Windows・macOS向けのパソコン用ソフトだからです。
ただし、最初からすべての作業にPCが必要なわけではありません。
キャラクターを描く。
目・口・髪などをパーツ分けする。
レイヤーを残したPSD形式で保存する。
ここまでは、対応するお絵描きアプリを使えばスマホでも進められます。
PCが必要になる境界は、用意したイラストをCubism Editorへ読み込み、「実際に動くLive2Dモデルへする」ところです。
スマホで「Live2Dを作る」と「Live2Dを動かす」は別
最初に分けておきたいのが、この2つです。
スマホでは完成したLive2Dモデルを動かせます。
例えばVTube StudioにはiPhone・iPad版とAndroid版があり、完成したLive2Dモデルを読み込んで、スマホのカメラで顔を読み取り、キャラクターを動かせます。
しかし、VTube StudioはイラストからLive2Dモデルを作るソフトではありません。
目や口の動きを作る。
顔を左右へ向けられるようにする。
髪を揺らす。
こうしたモデル制作はCubism Editorで行います。
「スマホでLive2Dが動いている動画を見たから、スマホだけでモデルも作れる」とは限らない点に注意します。
スマホだけでできるのはイラスト準備まで
Live2Dモデルは、まずキャラクターのイラストを用意します。
ここはスマホでもできます。
例えばスマホ版のお絵描きアプリを使い、
顔。
前髪。
後ろ髪。
右目。
左目。
眉。
口。
首。
体。
などを別々のレイヤーへ分けて描きます。
この「動かしたい部品ごとに絵を分ける」作業を、パーツ分けや素材分けと呼びます。
Live2D公式でも、モデリング前にイラストをまつ毛、目玉、輪郭などの部品へ分ける工程が必要とされています。
パーツ分けもスマホでできる
パーツ分け自体はCubism Editorで行う作業ではありません。
お絵描きソフト側で行います。
そのため、スマホのお絵描きアプリでレイヤーを扱えるなら、スマホ上でパーツ分けすることもできます。
例えば一枚絵から、
前髪だけを切り分ける。
髪に隠れていた額を描き足す。
瞳と白目を分ける。
口内を描き足す。
といった加工をスマホで進めることができます。
ただし、部品数が多くなるとレイヤーも増えます。
小さなスマホ画面で何十ものレイヤーを整理するのが大変なら、タブレットやPCの方が作業しやすいことはあります。
これは「スマホではできない」という意味ではなく、操作性の問題です。
スマホからPSDで書き出せればPCへ渡せる
パーツ分けしたイラストは、Live2D Cubism Editorへ読み込むためにPSD形式へまとめます。
PSDは、複数のレイヤーを残したまま保存できる画像ファイルです。
スマホ版のCLIP STUDIO PAINTではPSD形式で書き出せます。
ibisPaintでも、レイヤーを維持した状態でPSDを書き出せます。
つまり、
スマホで絵を描く。
スマホでパーツ分けする。
PSDとして保存する。
クラウドストレージなどでPCへ送る。
というところまではスマホ中心で進められます。
ここで初めてPCへ移っても構いません。
PCが必要になるのはPSDをCubism Editorへ入れるところ
スマホだけでは進められなくなるのが、Live2D Cubism Editorを使う段階です。
Cubism Editorは現在、Windows・macOS用のソフトです。
公式サイトでもパソコンで利用するよう案内されています。
つまり、
「絵をLive2D用に準備する」
ところまではスマホでできても、
「その絵をLive2Dモデルにする」
工程にはPCが必要です。
ここが一番分かりやすい境目です。
アートメッシュを作る作業はPC
PSDをCubism Editorへ読み込むと、目、口、髪などの画像部品が配置されます。
次に、それぞれを変形させるための網目状の構造を設定します。
これを「アートメッシュ」と呼びます。
例えば口なら、口の周囲へ網目状の点を作り、その点を動かすことで口を開いたり閉じたりできるようにします。
この作業はCubism Editor上で行うためPCが必要です。
スマホで描いた口の画像を用意しただけでは、まだ「動く口」にはなっていません。
デフォーマを作る作業もPC
顔全体を左右へ動かすとき、目、鼻、口、輪郭を全部一つずつ動かすのは大変です。
そこでLive2Dでは、複数の部品をまとめて変形させる「デフォーマ」という仕組みを使います。
例えば、
目をまとめる。
顔全体をまとめる。
髪の毛束をまとめる。
体をまとめる。
といった構造を作ります。
これもCubism Editorで設定するため、PCが必要です。
Live2D制作でよく言う「モデリング」に入ると、基本的にPC作業になると考えると分かりやすいでしょう。
目・口・顔の動きを付けるのもPC
Live2Dでは、目を閉じた状態と開いた状態、口を閉じた状態と開いた状態などを作ります。
顔なら、
左向き。
正面。
右向き。
などを設定します。
Live2Dでは、こうした動きを「パラメータ」という数値で管理します。
スマホでパーツ分けした目を作っただけでは、まばたきはしません。
Cubism Editor上で、
この形が目を開いた状態。
この形が目を閉じた状態。
と設定して初めて動くモデルになります。
この工程もPCです。
髪揺れや物理演算もPC
顔を動かしたあと、髪が少し遅れて揺れる。
リボンがふわっと付いてくる。
こうした動きを作るのが物理演算です。
物理演算もCubism Editorで設定します。
そのため、スマホだけでイラストを完成させても、自然な髪揺れまで作るところにはPCが必要です。
ただし、最初のモデルで必ず物理演算を作る必要はありません。
目・口・顔だけを動かす簡単なモデルから始めることもできます。
配信用モデルへ書き出すところまでPCで行う
Cubism Editorでモデリングが終わったら、VTube Studioなどで使える形式へモデルを書き出します。
この書き出しもCubism Editorから行います。
したがって、自作する場合は、
PSDを読み込む。
モデルを動かす設定をする。
完成モデルを書き出す。
という一連の工程でPCが必要になります。
一度書き出した完成モデルをスマホへ移せば、その後はスマホ版VTube Studioで動かせます。
完成後は再びスマホだけで動かせる
少しややこしいのはここです。
制作ではPCが必要ですが、完成モデルを使う段階では、再びスマホだけでできることがあります。
VTube Studioのスマホ版は、完成したLive2Dモデルをスマホ上に表示し、スマホカメラで顔を読み取って動かせます。
つまり工程を並べると、
スマホで絵を作る。
スマホでパーツ分けする。
PCでLive2Dモデルを作る。
完成モデルをスマホへ入れる。
スマホで顔追跡して動かす。
という使い方もできます。
「PCを毎回使わなければLive2Dモデルを動かせない」という意味ではありません。
PCを持っていないならモデリングだけ依頼する方法もある
ここまでを見ると、
「PCを買わなければLive2Dは無理なのか」
と思うかもしれません。
自分でモデリングするのでなければ、PCを買わずに進める方法があります。
例えばスマホで、
イラストを描く。
パーツ分けする。
PSDを書き出す。
ところまで自分で行います。
そのPSDをLive2Dモデラーへ渡し、Cubism Editorでのモデリングだけ依頼します。
完成したモデルデータを受け取り、スマホ版のVTube Studioなどへ入れて動かします。
この方法なら、自分の手元にPCがなくてもLive2Dモデルを持つことはできます。
重要なのは、
「Live2Dモデルを持つのにPCが必要」
なのではなく、
「Cubism Editorを自分で操作してモデルを作るならPCが必要」
という違いです。
イラストまで依頼するならスマホだけでも準備できる
さらに、イラストも自分で描かない場合があります。
イラストレーターにLive2D用のパーツ分け済みPSDを依頼する。
モデラーへモデリングを依頼する。
完成データを受け取る。
スマホでモデルを動かす。
この流れなら、依頼者自身がCubism Editorを使う必要はありません。
連絡やデータの受け取りがスマホでできるなら、PCを持っていなくても完成モデルを用意できます。
「スマホだけで自作」と「スマホだけでLive2Dモデルを用意する」は別の話です。
後者なら外注を組み合わせる方法があります。
スマホしかないなら、PCを買う前にどこまで作る?
PCを持っていなくても、先にできることがあります。
まずキャラクターデザインを決めます。
次にスマホでイラストを描きます。
その段階で、
どの髪を揺らすのか。
目をどこまで動かすのか。
腕は動かすのか。
表情を何種類作るのか。
を決めながらパーツ分けします。
PSDまで完成させた時点で、
自分でモデリングもやってみたいならPCを用意する。
モデリングには興味がないなら依頼する。
という判断ができます。
Live2Dを始めたいからといって、最初にPCを買う必要がある人ばかりではありません。
PCを用意するならCubism Editorの動作環境を確認する
自分でモデリングすると決めたら、Cubism Editorが動くPCを確認します。
現在の公式動作環境では、Windowsなら64ビット版のWindows 10・11、macOSも対応バージョンが指定されています。
また、モデルが大きくなり、画像サイズ、頂点数、パラメータ数などが増えるほど、より高いCPU・GPU性能や多くのメモリが必要になります。
中古PCや手持ちの古いPCを使うなら、購入前・有料版契約前にCubism EditorのFREE版などで実際に動作を確認する方が確実です。
「Windowsが入っていれば何でもよい」とは考えない方がよいでしょう。
スマホだけにこだわるならLive2D以外もある
目的が「Live2Dモデルを自分で作ること」ではなく、「キャラクターになって配信すること」なら選択肢は変わります。
一枚絵を表示する。
表情差分を切り替える。
スマホ配信アプリ内のアバターを使う。
といった方法なら、PCを使わず始められる場合があります。
まだ配信そのものを続けられるか分からないなら、最初からLive2D自作を完成させなくても構いません。
まずスマホだけで活動を試し、「自分の絵をもっと自然に動かしたい」と分かってからPCやLive2Dへ進む方法もあります。
結局、Live2Dはスマホだけで作れる?
Live2D Cubismを使ったモデルを自分だけで最後まで作るなら、現在はPCが必要です。
ただし、PCが必要になるのは最初からではありません。
スマホでは、
イラスト制作。
パーツ分け。
描き足し。
PSDの書き出し。
まで進められます。
PCが必要になるのは、PSDをCubism Editorへ読み込み、アートメッシュ、デフォーマ、パラメータ、物理演算などを設定して「動くモデル」にする段階です。
そして完成後は、対応するスマホアプリでLive2Dモデルを表示し、顔追跡して動かすこともできます。
つまり境界は、
「絵を作るところまで」ならスマホ。
「絵そのものへ動きを設定する」ところからPC。
です。
PCを持っていないなら、スマホでPSDまで作ってモデリングだけ依頼する方法もあります。
先に決めるべきなのは「PCを買うか」ではなく、自分がLive2Dのモデリングまでやりたいのかどうかです。
出典
Live2D|Live2D Cubism Editor ダウンロード
Live2D|Live2D Cubism Editor 動作環境
Live2D|素材分けについて
ibisPaint|Photoshopファイル(PSD)の読み込みと書き出し
CLIP STUDIO|タブレット/スマートフォンで画像を書き出す方法
DenchiSoft|VTube Studio Introduction & Requirements