VTuberの2DモデルというとLive2Dがよく使われますが、方法はそれだけではありません。
Live2Dに近い仕組みで2Dイラストを変形させるInochi2D、AdobeのCharacter Animator、数枚の画像を切り替えるPNGTuberなどがあります。
さらに、IRIAMのように一枚絵をアップロードするとサービス側が自動的に動かしてくれる方法もあります。
どれを選ぶかは、「一番高機能なもの」ではなく、キャラクターにどんな動きをさせたいかで決まります。
顔の向きや表情を滑らかに動かしたいならLive2Dなどのモデル制作が必要です。
しゃべっていることが分かれば十分なら、数枚の画像だけでもVTuber活動はできます。
そもそも「2Dモデル」は全部同じ仕組みではない
2DのVTuberは、画面上ではどれもイラストが動いているように見えます。
しかし、中で行っていることは同じではありません。
大きく分けると、
イラストを部品に分け、絵そのものを変形させる。
イラストの部品に役割を与え、パペットとして動かす。
複数の完成画像を切り替える。
一枚絵をサービス側の機能で動かす。
という方法があります。
「2Dモデルを作りたい」と思ったら、まず自分がこのどこまで必要としているかを決めます。
Live2Dはイラストの雰囲気を残して細かく動かしたい人向け
Live2D Cubismは、2Dイラストを立体モデルへ作り直すのではなく、元のイラストを変形させて動かす仕組みです。
目、口、眉、前髪、後ろ髪、顔、首、身体などを別々の部品に分けます。
その部品へ、
口を開けたときの形。
目を閉じたときの形。
顔を左右へ向けたときの形。
身体を傾けたときの形。
髪や衣装が揺れたときの形。
などを設定します。
そのため、元のイラストの絵柄をかなり残したまま、顔や身体に細かな動きを付けられます。
「このイラストレーターの絵のままVTuberになりたい」
「顔を左右へ向けたい」
「目や口だけでなく髪や衣装も自然に動かしたい」
という場合は、Live2Dを検討しやすくなります。
一方、その分だけイラストのパーツ分けとモデリング作業が必要です。
普通の完成した一枚絵を読み込んだだけでは、すぐVTuberモデルになるわけではありません。
Live2Dは「作るソフト」と「配信で動かすソフト」が別になる
初心者にはここが少し分かりにくいところです。
Live2D Cubismは、主にモデルを作るためのソフトです。
完成したモデルを配信時に自分の顔へ連動させるには、別途、顔の動きを読み取ってLive2Dモデルへ伝えるソフトを使います。
つまり、
イラストを作る。
Live2D Cubismでモデルにする。
配信用のソフトで自分の顔に連動させる。
という段階があります。
「Live2Dだけ入れればVTuber配信が全部完結する」という仕組みではありません。
その代わり、制作と実際の利用を分けて考えられるのが特徴です。
Inochi2DならLive2Dとは別規格で似た方向のモデルを作れる
Live2D以外にも、イラストそのものを変形させる2Dモデル方式があります。
その一つがInochi2Dです。
「イノチツーディー」と読みます。
Inochi Creatorという制作ソフトへレイヤー分けされたイラストを読み込み、部品に変形や物理的な揺れなどを設定して2Dモデルを作ります。
そのモデルをVTuberとして使うための公式ソフトがInochi Sessionです。
仕組みの考え方としては、
レイヤー分けされた2D絵を使う。
部品へ変形を設定する。
パラメーターによってリアルタイムに動かす。
という点でLive2Dと似ています。
「Live2D以外で、本格的に自分で2Dモデルを組みたい」
という人には選択肢になります。
Inochi2Dを選ぶなら「Live2Dの代わりのファイル」だとは考えない
注意したいのは、Inochi2DとLive2Dが別の規格だという点です。
Inochi2Dで作ったモデルはInochi2D Puppetという独自形式になります。
そのため、
「まずInochi2Dで作って、後でそのままLive2Dへ移す」
という考え方ではありません。
元のイラストデータは活用できても、モデルとして設定した変形や動きまでそのまま別規格へ移せるとは考えない方がよいでしょう。
Live2DかInochi2Dか迷ったら、制作ソフトだけを見るのではなく、完成後にどの配信環境で使うつもりなのかまで確認します。
将来使いたいアプリやサービスが決まっているなら、先に対応モデルを調べてから制作方式を選ぶ方がやり直しを防げます。
Adobe Character Animatorは「イラストをパペットとして動かす」方法
Live2Dとは違う方向の2Dキャラクター制作方法が、Adobe Character Animatorです。
キャラクターを「パペット」として作ります。
パペットは、人形という意味です。
PhotoshopやIllustratorで作ったキャラクターのレイヤーに、
右目。
左目。
口。
眉。
頭。
腕。
といった役割を持たせます。
Character Animatorがその構造を読み取り、Webカメラで取得した顔や身体の動き、マイクから取得した声などに合わせてキャラクターを動かします。
自動的に口を動かす機能もあります。
Character Animatorは決めた表情や動作を使いたい人にも向く
Character Animatorには、キーボードなどを押したときに特定の動きを行わせる「トリガー」という仕組みがあります。
たとえば、
笑顔にする。
手を振る。
考えるポーズをする。
特定の表情へ変える。
といった動きをあらかじめ登録して呼び出せます。
VTuber配信だけでなく、キャラクターを使った動画制作にも使える方法です。
Adobe公式でも、作ったパペットをリアルタイムで外部へ出力し、OBSなどを利用してライブ配信する方法が案内されています。
すでにPhotoshopやIllustratorを使ってキャラクターを描いている人なら、元データとのつながりを保ちながら制作できます。
Live2DとCharacter Animatorは「どちらが上」ではない
どちらも2Dイラストを動かしますが、考え方が違います。
Live2Dは、絵そのものを細かく変形させるモデルを作る方向です。
Character Animatorは、キャラクターを構成するレイヤーへ役割を与え、顔や声、トリガーに反応するパペットを作る方向です。
そのため、
イラストを滑らかに変形させ、VTuberらしい顔の動きを細かく作りたい。
ならLive2D。
PhotoshopやIllustratorで作ったキャラクターに、決めた表情や動作、身体追跡を組み合わせたい。
ならCharacter Animator。
という分け方ができます。
見た目が2Dだからといって、同じモデル方式ではありません。
口が動けば十分ならPNGTuberという方法もある
もっと簡単な方法があります。
PNGTuberです。
「ピングチューバー」などと呼ばれます。
これは、Live2Dのように1枚のイラストを細かく変形させる方法ではありません。
たとえば、
口を閉じた画像。
口を開けた画像。
の2枚を用意します。
マイクから声が入力されていないときは口を閉じた画像。
しゃべったときは口を開けた画像。
というように切り替えます。
veadotube miniでは、このような2枚の画像から始められます。
さらに、
目を閉じた画像。
笑顔。
怒った顔。
驚いた顔。
GIFなどの動く画像。
を追加することもできます。
PNGTuberは「簡易Live2D」ではない
PNGTuberを「Live2Dの安い版」と考えると少し違います。
そもそも動かし方が違うからです。
Live2Dでは、一つのモデルの顔や目、髪などが連続的に変形します。
PNGTuberは、作っておいた画像を状態によって切り替えます。
そのため、顔を滑らかに右から左へ向けるような表現には向きません。
一方、
しゃべっているか分かればよい。
ゲーム実況が中心でキャラクターは小さく表示する。
表情はボタンで変えれば十分。
まずVTuber配信を試したい。
という場合は、細かなモデル制作をしなくても成立します。
必要な表現が数枚の絵で足りるなら、Live2Dモデルを作ること自体が必須ではありません。
IRIAMなら一枚絵のまま動かす方法もある
さらに、「自分で2Dモデルを作らない」という方法もあります。
IRIAMでは、一枚のイラストをアップロードすると、サービス側が目や口を認識して自動的にアニメーションを付けます。
そのため、
一枚絵は持っている。
パーツ分けはしていない。
Live2Dモデリングもできない。
という人でも、対応する一枚絵なら動くキャラクターで配信できます。
ただし、これはLive2Dモデルを自分で制作しているわけではありません。
IRIAMのイラスト配信機能を利用して、一枚絵を動かしているという考え方です。
「IRIAMで活動できればよい」のであれば合理的です。
反対に、
YouTubeでも使いたい。
別の配信ソフトへモデルを読み込みたい。
自分で動きを細かく作りたい。
という目的なら、自分で扱えるモデルを制作する方式との違いを理解しておきます。
「モデルが欲しい」のか「キャラクターが動けばいい」のかで選択肢が変わる
ここまでを見ると、最初の質問自体を少し変えた方が選びやすくなります。
「2Dモデルを何で作るか」
ではなく、
「自分は本当にモデルファイルが必要なのか」
です。
キャラクターが話しているように見えれば十分なら、PNGTuberや一枚絵を動かすサービスでも目的を達成できます。
一方、
顔の向きや表情を細かく作りたい。
あとから新しい表情や動きを追加したい。
完成モデルを自分で管理したい。
対応する複数の配信環境で使いたい。
という場合は、Live2DやInochi2D、Character Animatorのようにモデルやパペットそのものを作る意味が出てきます。
何を動かしたいかで選ぶ
2DだからLive2D、と最初から決める必要はありません。
目的を並べると違いが見えます。
| やりたいこと | 考えやすい方法 |
|---|---|
| イラストの絵柄を残して顔を滑らかに動かしたい | Live2D |
| Live2Dとは別の2D変形モデルを自分で作りたい | Inochi2D |
| Photoshop・Illustratorの絵をパペットとして動かしたい | Character Animator |
| 顔・身体追跡と決めた動作を一つの制作環境で扱いたい | Character Animator |
| 声に合わせて口が開閉すれば十分 | PNGTuber |
| 数枚の表情をボタンで切り替えたい | PNGTuber |
| IRIAMだけで一枚絵を動かして配信したい | IRIAMのイラスト配信 |
| 将来も細かな動きを追加したい | モデルを作る方式を検討 |
ここで注意したいのは、方式を後から簡単に乗り換えられるとは限らないことです。
Live2D、Inochi2D、Character Animatorは、それぞれモデルの仕組みが違います。
そのため、制作を始める前に「どこで動かすのか」を確認しておきます。
最初にソフトではなく完成形を決める
VTuberの2Dモデルを調べると、まずLive2Dという名前が出てきます。
細かく動くイラスト型VTuberを作りたいなら、有力な選択肢です。
ただし、必要なのが口パクと数種類の表情だけなら、PNGTuberでも成立します。
Adobe製品を使って動画やアニメーションまで制作したいならCharacter Animatorという方法があります。
別の2Dモデル規格を自分で扱いたいならInochi2Dもあります。
一枚絵を用意してIRIAMだけで活動するなら、自分でモデル自体を作る必要もありません。
先に決めるのはソフト名ではありません。
「自分のキャラクターに、何をさせたいのか」です。
そのうえで、
滑らかに顔を追従させたいのか。
決めた表情や動作を呼び出したいのか。
しゃべったときに絵が変わればよいのか。
特定の配信サービスだけで使えればよいのか。
を分けると、自分に必要な2Dの作り方を判断しやすくなります。
出典
Live2D|Live2D Cubism
Live2D|Production Flow
Inochi2D Project|Inochi2D
Inochi2D Project|Download Inochi2D
Adobe|Character Animator
Adobe|Create puppets from artwork
Adobe|シーンライブのストリーミング
olmewe・bella!|veadotube mini
※英語資料。マイク入力によるPNG画像切り替え型VTuberアプリの公式説明。
IRIAM|IRIAMの配信方法