Live2Dは見えない部分まで描く必要がある?|描き足す場所

Live2D用のイラストでは、一枚絵では見えない部分まで描き足すことがあります。

ただし、服の下や髪の奥など「隠れているところを全部描く」という意味ではありません。

描く必要があるのは、Live2Dでパーツを動かしたときに見える可能性がある範囲です。

前髪を揺らすなら、その下にある額や輪郭。

瞳を動かすなら、今は瞳に隠れている白目。

口を開くなら、一枚絵では見えていない口の中。

顔を動かすなら、髪やあごに隠れている首。

このように、完成モデルで予定している動きから逆算します。

見えない場所を全部描く必要はない

一枚絵では、見えない場所を描かなくても問題ありません。

前髪で額が隠れていれば、その下の額がなくても完成した絵としては成立します。

ところがLive2Dでは、その前髪を揺らします。

髪が元の位置から動けば、それまで隠れていた場所が画面に現れます。

その場所に何も描かれていなければ、透明な穴が見えたり、顔が途中で切れたりします。

このため「見えないところも描く」と言われます。

ただし、動かしても絶対に見えない場所まで作る必要はありません。

判断するのは、

「今隠れているか」

ではなく、

「モデルを動かしたときに見えるか」

です。

描き足しの量は「可動域」で変わる

同じキャラクターでも、モデルの動かし方によって必要な描き足しは変わります。

例えば前髪をほんの少し揺らすだけなら、髪の下を少し広げておけば足りることがあります。

前髪が大きく左右へ動くモデルなら、額や輪郭をもっと広く用意しておかなければ、途中で下地がなくなります。

顔も同じです。

正面を中心に少し傾ける程度と、大きく左右へ向けるモデルでは必要になる輪郭や首の範囲が違います。

つまり、描き足しには「Live2Dならここまで」という一律の長さがあるわけではありません。

そのパーツを実際にどこまで動かすかで決まります。

描き足しが必要になりやすい場所

代表的な場所を整理すると、次のようになります。

場所元絵では隠れやすい部分何を動かすと見える?
前髪の下額・頭部・輪郭前髪を揺らす
横髪・後ろ髪毛束の付け根・奥の髪毛束を個別に揺らす
目瞳の裏側の白目視線を左右上下へ動かす
瞳まつ毛に隠れた上部瞳を動かす・目を変形する
口口内口を大きく開ける
顔の輪郭髪に隠れた頭部・頬顔や髪を動かす
耳横髪に隠れた部分髪を動かす
首あご・髪・服に隠れた部分顔や体を傾ける
腕関節や重なった部分腕を曲げ伸ばしする
服腕・髪・装飾の裏側体や装飾を動かす
スカートなど裏地大きく揺らす

この表を全部実行する必要はありません。

自分のモデルで動かす場所だけ考えます。

前髪の下は「額だけ」では足りないことがある

前髪は、描き足しが必要になりやすい代表的な場所です。

一枚絵では、前髪に隠れた額や頭部を描く必要がありません。

しかしLive2Dでは前髪を揺らしたり、顔を傾けたりします。

すると前髪の下が見えます。

そのため、顔の肌色部分だけでなく、髪に隠れていた輪郭まで自然につながるように描きます。

前髪の影を顔へ直接描き込んでいる場合も注意が必要です。

髪だけが動いて影が顔に残ると、不自然に見えることがあります。

前髪の動きに合わせて影も動かしたいなら、影を別パーツとして扱う方法があります。

髪は「手前の毛」より奥側の毛に描き足しが必要

毛束が重なっている場合、すべての毛束へ同じ量の描き足しが必要なわけではありません。

一番手前にあり、その毛束の裏が見えないなら、描き足しが不要なこともあります。

問題になるのは、その後ろにある毛束です。

手前の髪が揺れれば、後ろ側の毛束の今まで隠れていた部分が露出します。

そこで、後ろ側の毛束を少し長めに描いたり、根元までつなげたりします。

単純に「髪は全部大きめに描く」のではなく、

「この毛束が動いたら、その下から何が出てくるか」

という重なりで考えます。

白目は瞳の裏まで作っておく

普通のイラストでは、瞳で隠れている白目を描かなくても見た目には影響しません。

Live2Dでは瞳を左右上下へ動かすことがあります。

瞳が移動すれば、今まで瞳の裏だった部分が見えます。

そこまで白目が作られていなければ、視線を動かしたときに欠けて見えます。

そのため、白目は完成状態で見えている範囲だけではなく、瞳が動く範囲を考えて広めに用意します。

瞳自体も、上側がまつ毛に隠れている場合は、動いたときに必要になる部分まで描く方法があります。

口は「見えている口内」より広く作る

閉じた口や少し開いた口の一枚絵では、口内はほとんど見えません。

Live2Dでは口を大きく開くため、元絵の見えている範囲だけでは足りなくなります。

そのため、口内は完成イラストより広めに用意します。

口の上下を変形させたときに、口内の端が途中でなくならないためです。

一方で、口内をむやみに巨大に作ればよいということでもありません。

口をどの程度開かせるモデルなのかによって必要範囲は変わります。

普通に会話する程度の口と、大きな「あ」の形や歌唱表現まで作る口では、必要な材料も変わります。

輪郭は「髪を外した顔」を考える

髪で顔の横側が隠れているキャラクターも多いでしょう。

一枚絵なら、髪の下の頬や頭部は描かなくても完成します。

Live2Dでは髪を揺らし、さらに顔自体も動かします。

そのため髪を外しても、ある程度一つの顔として成立するよう輪郭を補います。

Live2D公式の基本チュートリアルでも、輪郭は髪に隠れている部分まで描き足し、頭部を丸く作る例が示されています。

ただし、これは「完全な頭部をリアルに描く」という意味ではありません。

モデルで必要になる変形範囲を確保するためです。

首は顔より上まで入り込ませる

首も一枚絵では短く描かれやすい部分です。

正面の完成絵では、首はあごの下から見えている部分だけあれば成立します。

しかし顔を左右・上下へ動かすと、あごと首の位置関係が変わります。

首が見えている位置で終わっていると、顔を動かした瞬間に首が切れてしまいます。

そのため、顔の裏へ入り込むように長めに描きます。

Live2D公式の基本作例では、口付近まで首を描き足す例が示されています。

ただし、これはあらゆるモデルの絶対値ではありません。

顔をどの程度動かすのかによって必要量は変わります。

腕は「伸ばすなら肘の裏」が必要になる

腕も、ポーズによって隠れ部分が生まれます。

例えば一枚絵で肘を曲げていると、肘の裏側の一部は見えません。

その腕をLive2Dで伸ばすなら、今まで隠れていた部分が必要です。

逆に、最初のポーズのまま腕をほとんど動かさないなら、大きな描き足しをしても使わない可能性があります。

手を振るモデルなら、腕をどこから動かすのかも先に決めます。

肩から動かす。

肘から動かす。

手首だけ動かす。

これによって、必要なパーツ分けと描き足す関節部分が変わります。

服の下を全部描く必要はない

「見えない部分も描く」と聞くと、上着の下のシャツや、服の内側まで全部描く必要があるように感じるかもしれません。

必要なのは、実際の動きで露出する場所です。

例えばジャケットを脱ぐ機能がないなら、その下を完全な衣装として作る必要はありません。

一方、腕を上げたときに袖と胴体の間が開くなら、その隙間から見える部分は必要になります。

リボンを大きく揺らすなら、その裏に隠れていた服も作ります。

「現実なら存在するはずだから描く」ではなく、「モデル上で見えるから描く」と考えます。

スカートやマントは裏側が必要になる場合がある

平面の布でも、動かすと表と裏の両方が見えることがあります。

例えばスカートの裾を大きく揺らしたり、マントをめくったりする表現です。

この場合、表面だけの一枚絵として作ると、変形したときに裏側が不自然になることがあります。

CLIP STUDIO公式のLive2D用データ制作でも、スカートの表と裏を分ける例が紹介されています。

ただし、布をほとんどめくらないなら同じ作り込みが必要とは限りません。

ここでも完成予定の動きが基準です。

描き足しは「見えるギリギリ」より少し余裕を持たせる

動かしたときに1ミリでも足りなければ、透明な隙間が見える可能性があります。

そのため、動かしたときに見える最大位置ぴったりではなく、ある程度重なるように描きます。

例えば上下に重なる毛束なら、上の毛束が動いても下の毛束が途切れないよう、重なる範囲を持たせます。

Live2D公式も、大きく動く部分や他のパーツが動いたときに見える部分は、あらかじめ多めに描き足すよう案内しています。

「ぴったりつなぐ」のではなく、「少し重ねておく」という考え方です。

ただし大きく描けば描くほど良いわけではない

余裕を持たせることと、全パーツを必要以上に大きく描くことは別です。

描き足す量が増えれば、作画の手間も増えます。

細かく分けるほど、その後のモデリング作業も増えます。

例えば動かさない足の裏まで丁寧に作っても、胸から上しか表示しない配信では使いません。

高可動域のモデルと、シンプルな雑談用モデルでは必要な素材が違います。

先に「何をどこまで動かすのか」を決める方が、不要な作画を減らせます。

一枚絵からLive2D化するなら、まずパーツを一度外してみる

すでに完成した一枚絵をLive2D化する場合は、隠れている部分が分かりにくいことがあります。

そこで、動かす予定のパーツを一つずつ切り離して考えます。

前髪を消す。

横髪を消す。

目と口を外す。

腕を動かす位置へずらす。

そうすると、何も描かれていない場所が見えてきます。

そこが描き足し候補です。

さらに、

「このパーツを最大まで右へ動かしたら?」

「顔を最大まで傾けたら?」

と考えると、必要な範囲を判断しやすくなります。

最初から全部描き切らなくても、後から修正できる

Live2Dモデルを作り始めてから、

「前髪を動かしたら額が足りなかった」

「顔を傾けたら首が切れた」

と分かることもあります。

その時点でイラストを追加・修正することは可能です。

Live2Dでは、モデル制作中に修正したPSDを再び読み込んでパーツを更新できます。

そのため、初めて作る段階で「隠れ部分を一つでも忘れたらやり直し」と考える必要はありません。

ただし、何度も絵へ戻ると手間が増えます。

大きく動かす予定の場所は、最初から少し広めに用意しておくと往復を減らせます。

絵師とモデラーが別なら、可動域を先に決める

イラストレーターとLive2Dモデラーが別の人の場合、絵師側だけで必要な描き足し量を決めるのが難しいことがあります。

例えば、

顔を左右へどこまで向けるのか。

髪をどれだけ揺らすのか。

腕を動かすのか。

上半身だけなのか全身なのか。

によって必要範囲が変わるためです。

可能ならモデラーへ希望する動きを伝え、必要なパーツ分けや描き足しを先に確認します。

その指示を元にイラストを作れば、「絵が完成した後で首をもっと伸ばしてください」と戻す作業を減らせます。

描き足す場所を判断するなら「そのパーツをずらす」

どこまで描けばよいか分からなくなったときは、単純な考え方があります。

そのパーツを完成モデルで動かす最大位置まで、頭の中でずらしてみます。

前髪を右へ動かす。

その下から見える場所は描く。

瞳を左へ動かす。

右側に現れる白目は描く。

口を最大まで開く。

その範囲を覆える口内を作る。

顔を上へ動かす。

首が切れない範囲まで首を伸ばす。

腕を伸ばす。

関節から現れる部分を補う。

この考え方なら、「Live2Dだから見えないところを全部描く」という不要な作業を避けられます。

Live2Dは見えない部分まで描く必要がある?

必要になる場所はあります。

ただし、完成イラストで隠れている部分を全部描く必要はありません。

基準になるのは、予定している動きです。

パーツを動かしても見えない場所なら、描く必要性は低くなります。

動かした結果、画面へ出てくる場所なら、今は見えていなくても描いておく必要があります。

そのためLive2Dの描き足しは、

「どこが隠れているか」

から考えるのではなく、

「どのパーツを、どこまで動かすか」

から決めます。

見えない部分を描くこと自体が目的なのではありません。

モデルを最大まで動かしても、途中に空白や切れ目が見えないように必要な材料を用意することが目的です。

出典

Live2D|1.イラストの加工

Live2D|素材分けについて

Live2D|PSDの再インポート

CLIP STUDIO|Live2Dでイラストを動かそう!キャラクターのパーツを切り分ける

CLIP STUDIO|Live2D用のデータをCLIP STUDIO PAINTで作る【後編】

パルミー|Live2Dのパーツ分けを解説!VTuber用イラストを描く上で大事なポイントとは