Live2Dのパーツ分けはどこまで必要?|動かしたい範囲から決める

Live2Dのパーツ分けには、「全部で何個にすれば正解」という決まった数はありません。

目、口、髪、体を細かく分けるほど動きは作りやすくなりますが、使わない動きのために何でも分ければよいわけでもありません。

判断するときは、

「完成したモデルで、この部分を別々に動かしたいか」

から逆算します。

口を開閉したいなら口を分ける。

瞳を動かしたいなら白目と瞳を分ける。

前髪の毛束を別々に揺らしたいなら毛束を分ける。

逆に、常に一緒に動けばよい部分なら、まとめられる場合があります。

パーツ数を先に決めるのではなく、欲しい動きを先に決めるのがLive2Dのパーツ分けです。

まず「パーツ分け」は何のためにするのか

普通の一枚絵は、目も髪も服も一つの完成した絵として見えれば成立します。

Live2Dでは、その絵の一部分を変形したり移動したりしてキャラクターを動かします。

そのため、

目だけ閉じる。

瞳だけ左右へ動かす。

口だけ開く。

前髪だけ揺れる。

腕だけ上げる。

といった動きを作るなら、それぞれを独立して扱える状態にしておく必要があります。

これがパーツ分けです。

逆に考えると、「別々に動かす必要がない場所」を必要以上に細かく分けても、必ずモデルが良くなるとは限りません。

まばたきだけでも目は一枚では足りない

顔の中でも、特にパーツ分けが必要になりやすいのが目です。

Live2D公式の基本例では、

まつげ。

目玉。

白目。

を分けています。

左右の目もそれぞれ別に扱います。

なぜ分けるかというと、まばたきと視線移動では動く場所が違うからです。

まばたきでは、まぶたやまつげが動きます。

視線を左右へ移すときは、白目の上を瞳が移動します。

つまり、

「目を閉じるだけ」

と、

「目を閉じて、さらに瞳まで左右上下へ動かす」

では必要な分け方が変わります。

ハイライトを瞳とは違う動きにしたいなら、ハイライトを別にする方法もあります。

逆に、瞳とハイライトが常に完全に一緒に動けばよいなら、必ずしも別々に細分化する必要はありません。

表情を付けたいなら眉は左右で分ける

眉は小さなパーツですが、表情に大きく関わります。

困った顔では眉尻を下げる。

怒った顔では眉を寄せる。

驚いた顔では眉を上げる。

こうした動きを作ります。

左右の眉を別々に動かすなら、当然左右を分けます。

さらに形そのものを細かく変形できますが、眉の線を何本ものパーツへ分割しなければならないわけではありません。

Live2D公式でも、眉は大きく変形させる部品ではないため、単体に分かれていれば基本的には扱えるとしています。

必要な表情を作れるところまで分ければ十分です。

口は「開けばいい」のか「形まで変えたい」のかで変わる

口も、希望する動きによって必要な素材が変わります。

Live2D公式の基本例では、上と下の唇を分け、さらに口の中を別にしています。

口を閉じた状態では見えない口内も、開いたときに必要になります。

最低限、

閉じる。

開く。

という動きを作るだけなら、構造は比較的シンプルにできます。

一方、

笑った形。

への字の形。

「あ」「い」「う」のような口の形。

歯が見える状態。

舌が見える状態。

まで作りたいなら、必要な素材や調整が増えます。

「口パクをするから何十パーツ必要」と決めるのではなく、完成後にどんな口を見せたいかで決めます。

顔を左右へ向けたいなら顔周りの準備が増える

正面の顔でまばたきと口パクをするだけなら、比較的少ない分け方でも成立します。

しかし、顔を左右へ向けたい場合は話が変わります。

Live2Dでは、顔を実際の3Dモデルのように回転させるのではなく、正面の絵を変形させて「右を向いているように見せる」「左を向いているように見せる」という表現を作ります。

そのため、

顔の輪郭。

目。

瞳。

眉。

鼻。

口。

耳。

髪。

などを、それぞれ顔の向きに合わせて変形させます。

Live2D公式でも、顔の左右・上下の動きはモデル制作の重要な工程として扱われています。

顔を大きく動かしたいほど、周囲のパーツを独立して調整できる方が作りやすくなります。

「目と口だけ動けばよいモデル」と「顔を左右上下へしっかり向けたいモデル」で、同じパーツ分けにする必要はありません。

髪は「前・横・後ろ」が出発点

Live2D公式の基本例では、髪を

前髪。

横髪。

後ろ髪。

に分けています。

左右に横髪があるなら左右も分けます。

これだけでも、頭が動いたときに髪を遅れて揺らすような表現ができます。

ここからどこまで細かくするかは、求める揺れ方次第です。

前髪全体が一緒に揺れればよいなら、大きく一つにまとめる方法があります。

前髪の中央だけ違う方向へ揺らしたいなら、中央部分を別にします。

左右の毛束を別々に揺らしたいなら、それぞれ分けます。

アホ毛だけ大きく揺らしたいなら、アホ毛を独立させます。

つまり、「髪は何パーツ必要か」ではなく、

「どの髪を、ほかの髪とは違う動きにしたいか」

で決まります。

髪を細かく分けすぎても使わなければ意味がない

細かく分けるほど、髪を複雑に揺らせるようになります。

しかし、分ければ作業も増えます。

イラスト側ではパーツを別々に描きます。

モデリング側では、それぞれに変形を設定します。

揺れを付けるなら、そのパーツごとに調整も必要になります。

配信画面の端に小さく表示するモデルなのに、前髪を十数本の毛束へ分けても、その違いがほとんど見えない可能性があります。

反対に、顔を大きく映す雑談配信で髪の動きを見せたいなら、細かく分ける意味が出てきます。

見える大きさも、パーツ分けを決める条件の一つです。

体は最初から全部細かく分けなくてもいい

Live2D公式の基本例では、体は

首。

胴体。

腕。

足。

に分ければ十分なレベルで動かせるとしています。

腕についても、上腕・前腕・手まで分ける方法を示しながら、チュートリアルでは上腕・前腕までで制作しています。

つまり、体も必要な動きによって変えられます。

ゲーム配信で上半身を小さく表示し、

身体が少し左右に傾く。

呼吸で少し上下する。

程度なら、細かな腕の可動まで必要ないかもしれません。

一方、

腕を上げる。

手を振る。

指を動かす。

ポーズを変える。

ということをしたいなら、その動きを作るために腕や手をさらに分けます。

「全身モデルだから細かく分ける」でもない

全身まで描かれているモデルでも、足をほとんど動かさないなら、下半身を極端に細分化する必要はありません。

反対に、上半身モデルでも、

手を振る。

袖を揺らす。

ネックレスを揺らす。

肩をすくめる。

といった動きを細かく付けるなら、パーツ数は増えます。

全身か上半身かと、パーツ分けの細かさは別の話です。

見るべきなのは、画面に描かれている範囲ではなく、その中で何を独立して動かすかです。

服も「揺らしたいもの」だけ分ける

衣装も同じ考え方です。

Live2D公式では、リボンのように揺らしたいものは別パーツにし、襟やカーディガンなども分ければ動きを付けやすい一方、まとめても問題ないと説明しています。

たとえば、

リボンを揺らしたい。

ネクタイを揺らしたい。

フードのひもを揺らしたい。

大きな袖を腕より遅れて動かしたい。

こうしたものは独立させる意味があります。

反対に、胸元の小さな模様が服と完全に同じ動きをするなら、必ず別にする必要はありません。

「装飾品だから分ける」のではなく、「服とは違う動きをさせるから分ける」と考えます。

表情差分もパーツを増やす理由になる

Live2Dでは、通常の顔だけでなく、

照れ。

涙。

青ざめ。

怒りマーク。

ハート目。

ぐるぐる目。

などの表情を追加することがあります。

これらを通常時とは別に表示・非表示したいなら、独立した素材として用意します。

腕のポーズを丸ごと切り替える場合も同じです。

Live2D公式では、複数の腕を切り替える場合、それぞれ別パーツとして用意する方法が示されています。

つまり、パーツ分けが増える理由は「動かす」だけではありません。

「表示を切り替える」ものも分ける対象になります。

動くと見える場所は分けるだけでなく描き足す

パーツ分けを考えるときに、数以上に重要なのが「隠れている部分」です。

前髪を動かすなら、前髪の後ろにある額が必要です。

瞳を動かすなら、普段は瞳に隠れている白目まで描いておきます。

顔を動かすなら、顔の後ろに隠れている首を広めに描きます。

腕を動かすなら、腕に隠れていた胴体も必要になる場合があります。

パーツだけ細かく分けても、動いた先に何も描かれていなければ隙間が見えてしまいます。

Live2D公式も、大きく動く部分や他の部品が動いたときに見える場所は、あらかじめ多めに描き足すよう案内しています。

したがって、良いパーツ分けとは「レイヤー数が多いこと」だけではありません。

動かしたときに必要な絵が裏側まで用意されていることも含まれます。

依頼するなら「何パーツにしてください」より動きを伝える

イラストレーターへLive2D用の絵を依頼するとき、

「100パーツにしてください」

「200レイヤーにしてください」

と指定しても、自分が欲しいモデルになるとは限りません。

同じ100パーツでも、どこに使われているかで動きは変わるからです。

むしろ伝えたいのは、

顔を左右上下へしっかり向けたい。

髪を細かく揺らしたい。

手を振りたい。

腕のポーズを切り替えたい。

リボンを揺らしたい。

全身ではなく上半身だけ動けばよい。

といった完成後の動きです。

すでにモデラーが決まっているなら、イラストを描き始める前に必要なパーツ分けをモデラーへ確認する方法もあります。

実際の制作サービスでも、「どれくらい動かしたいか」「特に動かしたい場所」を事前に確認し、それによってパーツ分けを変える例が見られます。

迷ったら3段階で考える

最初から豪華なモデルを作る必要はありません。

欲しい動きによって、次のように考えられます。

欲しい動きパーツ分けの考え方
まばたき・口パク中心目・眉・口・顔を中心に分ける
顔を左右上下へ動かしたい顔周り・耳・髪・首まで独立して調整しやすくする
髪を自然に揺らしたい前・横・後ろから、必要な毛束を追加で分ける
上半身も動かしたい首・胴・腕を分ける
手を振りたい腕・前腕・手まで独立を検討する
衣装や装飾を揺らしたい服と違う動きをする装飾を分ける
表情・ポーズを切り替えたい切り替える素材を別に用意する
全身を大きく動かしたい下半身も動かす単位ごとに分ける

重要なのは、この表を全部採用することではありません。

自分が欲しい行だけを選び、その動きに必要な部分を分けます。

パーツ数ではなく「別々に動くか」で決める

Live2Dのパーツ分けを考えると、

「最低何パーツ必要なのか」

「プロのモデルは何百パーツあるのか」

という数字が気になるかもしれません。

しかし、キャラクターデザインも必要な動きも違うため、数だけ比較しても自分に必要な分け方は決まりません。

判断はもっと単純です。

一緒に動けばよい部分は、まとめられる。

別々に動かしたい部分は、分ける。

表示を切り替えたいものも、分ける。

動いたときに見える裏側は、描き足す。

この考え方で十分です。

最初に「何パーツ作るか」を決めるのではなく、

「完成したVTuberに何をさせたいか」

を決めます。

そこから逆算すれば、自分のLive2Dモデルに必要なパーツ分けの範囲が見えてきます。

出典

Live2D|イラストの加工

Live2D|素材分けについて

Live2D|標準パラメータリスト

Live2D|顔の動きの自動生成

Live2D|ポーズ切り替えがあるモーションを作る

パルミー|Live2Dのパーツ分けを解説!VTuber用イラストを描く上で大事なポイントとは