Live2Dモデルを依頼するとき、「どんな動きにしたいですか」と聞かれて困ることがあります。
Live2Dを触ったことがなければ、「顔XYZ」「可動域」「物理演算」「パラメータ」と言われても分からなくて当然です。
初心者が専門用語を覚えてから依頼する必要はありません。
伝えるべきなのは、技術的な作り方ではなく、
普段どう動いてほしいか。
何を揺らしたいか。
特別な表情や動作を何に使いたいか。
です。
さらに参考動画があるなら、「このモデルみたいにしてください」だけではなく、「何分何秒の、髪が遅れて揺れる感じ」のように場所を指定します。
これだけでもモデラー側はかなり判断しやすくなります。
「高可動域でお願いします」だけでは完成イメージが決まらない
Live2Dの依頼でよく見るのが「高可動域」という言葉です。
簡単にいえば、大きく顔や身体を動かせるモデルです。
ただし、高可動域にすれば自動的に自分好みになるわけではありません。
顔をかなり横まで向けたい人もいれば、正面から大きく外れず自然に動いてほしい人もいます。
身体も大きく左右へ動く方がよい人と、雑談中にふらふらしない方がよい人がいます。
そのため、
「高可動域希望」
だけではなく、
「顔を横に向けたとき立体感が出てほしい」
「普段は正面に近い位置で落ち着いて動いてほしい」
のように、見た目で伝える方が分かりやすくなります。
初心者は動きを3種類に分けると伝えやすい
Live2Dの専門用語を知らなくても、動きを3種類に分けると整理できます。
一つ目が、自分の顔に合わせて普段から動く部分です。
顔を左右へ向ける。
上を見る。
首を傾ける。
まばたきする。
目線を動かす。
口を開く。
身体が少しついてくる。
といった動きです。
二つ目が、本人の動きに少し遅れて揺れる部分です。
髪。
リボン。
イヤリング。
服。
しっぽ。
ケモ耳。
などです。
三つ目が、自分で必要なときに出したいものです。
笑顔。
泣き顔。
青ざめ。
ハート目。
帽子の着脱。
手を振る。
決めポーズ。
などです。
最初にこの3種類へ分ければ、「何を希望すればいいのか分からない」という状態から抜けやすくなります。
普段の動きは「どれくらい反応してほしいか」を伝える
顔や身体の動きでは、「動く・動かない」だけではなく、反応の大きさも完成した印象を変えます。
たとえば自分が少し顔を傾けたときに、モデルも大きく傾くようにすることもできます。
反対に、自分が多少動いてもモデルは落ち着いたままにすることもできます。
そのため、
「雑談中によく首を動かすので、モデルは動きすぎない方がいい」
「リアクションを大きく見せたいので、少しの動きにも反応してほしい」
と伝えます。
モデラーへ何度動かすかを指定する必要はありません。
自分が配信している姿を想像して、「小さく自然」「大きく反応」のどちらに近いかを伝えれば十分です。
キャラクターの性格から動きを伝えてもいい
動きの希望を技術ではなく、キャラクターの印象から伝える方法もあります。
たとえば、
落ち着いた大人なので、身体はあまりふらふらさせたくない。
元気なキャラクターなので、顔も身体も大きく反応してほしい。
おっとりしたキャラクターなので、動きは少しゆっくりにしたい。
かわいい印象にしたいので、首を傾ける動きを目立たせたい。
という伝え方です。
Live2D公式のモーション制作資料でも、キャラクターに合わせ、落ち着いた人物なら動きを抑え、若く活発な人物なら身体を大きく動かすなど、動き方を変える考え方が示されています。
「どう動かすか」が分からないときは、「どう見えてほしいか」に置き換えます。
髪は「どれだけ揺れるか」だけでは足りない
Live2Dモデルで印象が変わりやすいのが髪の動きです。
「髪をよく揺らしたい」と伝えるだけでも意味はありますが、もう少しだけ具体化すると伝わりやすくなります。
たとえば、
細かな動きにもすぐ反応してサラサラ揺れてほしい。
頭を大きく振ったときに遅れてふわっと付いてきてほしい。
長い髪なので軽く跳ねるより、重さを感じる動きにしたい。
毛先だけは細かく揺れてほしい。
前髪はあまり暴れず、後ろ髪だけ大きく動いてほしい。
という違いがあります。
同じ髪でも、全部同じ動きをさせる必要はありません。
「この髪型ならどんな揺れが自然ですか」とモデラーへ相談しても構いません。
服やアクセサリーも「目立たせたい場所」を伝える
リボン、ネクタイ、ピアス、ケモ耳、しっぽなども動かせます。
しかし、付いているもの全部を激しく動かすと、配信画面が落ち着かなくなる場合があります。
そのため、
大きなリボンが特徴なのでここはよく揺らしたい。
イヤリングは少しだけ揺れればよい。
しっぽをキャラクターの特徴として目立たせたい。
服は自然に動けばよく、目立たせなくてよい。
というように優先度を付けます。
全部を細かく指定する必要はありません。
「このキャラクターを見たとき、一番目に入ってほしい動く部分」を一つ決めるだけでもモデラーは方向をつかみやすくなります。
「表情」と「普段の顔の動き」を分ける
笑顔についても二種類あります。
自分が実際に笑ったとき、モデルの目や口も自然に笑顔へ変わる方法。
ボタンを押したときだけ、特別な笑顔へ切り替える方法です。
泣き顔、青ざめ、ハート目なども、常に顔認識から出すのではなく、必要なときだけ切り替える使い方があります。
そのため依頼時には、
普段の笑顔は顔に合わせて自然に出したい。
大笑いだけはボタンで出したい。
泣き顔は配信で自分のタイミングで出したい。
と分けて伝えます。
「表情をたくさん付けたい」とだけ伝えるより、実際に配信中どう使うかまで考えると必要なものを選びやすくなります。
「手を振りたい」は普段の動きとは別に伝える
手を振る。
ピースする。
ジャンプする。
決めポーズを取る。
頭を撫でる。
といった動作は、通常の顔追従とは別に作る場合があります。
自分がカメラの前で手を振ったら自動的にモデルも同じ動きをする、とは限りません。
ボタンを押すことで、あらかじめ作ってある「手を振る動作」を再生する方法があります。
そのため、
「配信終了時にバイバイしたい」
なら、それをそのまま伝えます。
モデラー側で、腕差分・パーツ追加・アニメーションなど何が必要か判断してもらえます。
初心者が制作方法まで決める必要はありません。
参考動画は「全部これと同じ」ではなく部分を指定する
動きを言葉にできない場合、参考動画が非常に役立ちます。
ただし、
「このVTuberみたいに動かしたいです」
だけではまだ広すぎます。
一つのモデルにも、
顔。
身体。
目。
口。
髪。
服。
表情。
など多くの特徴があるからです。
参考動画を送るなら、
「0分35秒付近で顔を横へ向けたときの立体感が好きです」
「1分10秒付近の、身体より少し遅れて髪が戻る感じにしたいです」
「このモデルの動き全部ではなく、まばたきの柔らかさだけ参考にしたいです」
のように伝えます。
同じ動画の中でも、どの部分を参考にするかを明示します。
参考モデルは1人に絞らなくてもよい
顔の動きはAのモデル。
髪の揺れはBのモデル。
身体の落ち着きはCのモデル。
という伝え方もできます。
むしろ、「この人と全部同じにしてください」より、自分が好きな部分を分解できます。
たとえば、
顔:大きく向ける。
身体:あまり動きすぎない。
髪:ふわっと遅れて付いてくる。
口:話したとき大きく動く。
という組み合わせです。
それをモデラーが自分のキャラクターへ合わせて設計します。
「自然にお願いします」も人によって意味が違う
依頼時に使いやすい言葉ですが、「自然」という言葉も曖昧です。
ある人にとって自然なのは、小さく落ち着いた動きです。
別の人にとっては、配信で見たときに少し誇張されている方が自然に感じるかもしれません。
そのため、
自然だけど髪はよく揺れてほしい。
全体的に落ち着かせたい。
身体は控えめで、顔だけ表情豊かにしたい。
動きすぎるモデルは苦手。
という一言を追加します。
「かわいい」「滑らか」「生きている感じ」なども同様です。
どこの動きについて言っているのかを一つ加えると具体的になります。
専門用語や数値を無理に指定しなくていい
Live2Dには、顔や身体を動かすためのさまざまな設定があります。
しかし初心者が、
顔の左右はこの数値。
身体はこの数値。
物理演算はこの設定。
と指定する必要はありません。
むしろ数値だけを指定すると、「なぜその設定が必要なのか」が伝わらない場合があります。
依頼者側は、
横を向いた感じを強く出したい。
上下はそれほど大きくなくていい。
首の傾きはよく使いたい。
身体は正面から大きく外れなくていい。
と完成後の見え方を伝えます。
具体的な設定値はモデラーに任せます。
「どこまで動く?」より「配信で何をする?」から考える
まだ希望がまったく浮かばないなら、活動内容から考えます。
雑談が中心なら、長時間見ても落ち着く顔・身体の追従が重要になります。
ゲーム実況でリアクションが大きいなら、表情や顔の反応を大きくする方法があります。
歌配信で上半身を大きく映すなら、身体や髪、衣装の動きが目立ちます。
ショート動画で演出を多く使うなら、表情差分や特別なモーションを追加する意味が出ます。
最初から「高可動域が必要か」を決めるのではなく、自分が何を配信するかから逆算します。
全部盛りにせず優先順位を伝える
Live2Dでは、作ろうと思えば多くの動きや表情を追加できます。
しかし動きを増やせば、それに必要なパーツ・作業・調整も増えます。
そこで依頼時には、
絶対欲しい。
できれば欲しい。
予算が余れば追加したい。
に分けます。
たとえば、
絶対欲しい:自然な顔の動き、髪揺れ。
できれば欲しい:身体を大きく左右へ向ける。
余裕があれば:手振りモーション。
という形です。
見積もり時に優先順位を伝えておけば、「この予算ならここまで」という提案も受けやすくなります。
原画が完成しているなら「その動きが作れるか」を先に確認する
すでにLive2D用のイラストを持っている場合、希望する動きがすべて作れるとは限りません。
腕が一つにつながっていれば、自由な腕の動きを追加するためにパーツを分け直す必要がある場合があります。
髪が大きな一枚になっていれば、細かな毛束を別々に揺らすことは難しくなります。
そのため、
「このPSDで、この動画のような髪の動きはできますか」
とモデラーへ見せます。
できない場合は、原画の描き足しやパーツ分け変更が必要なのか、それとも動きの希望を変更すればよいのか判断してもらいます。
制作途中の動画では「何か違う」で終わらせない
モデリングが進むと、確認用の動画やモデルを見せてもらうことがあります。
ここで、
「何となく違います」
だけでは修正が難しくなります。
たとえば、
顔を右へ向けたときだけ目が小さく感じる。
身体の揺れが自分には大きすぎる。
前髪が細かく揺れすぎて落ち着かない。
口を開いたとき笑っているように見える。
首を傾けたときの動きは好きなので残したい。
のように伝えます。
「嫌なところ」だけでなく、「ここは今のままでいい」も一緒に伝えると、直してほしくない部分まで変わるのを防げます。
最終確認は動画を見るだけで終わらせない
可能であれば、最終段階では自分が実際に使用する環境でも確認します。
VTube Studioなどでは、カメラから読み取った顔の動きとLive2Dモデルの動きを対応させて動かします。
その対応範囲は設定で調整できます。
つまり、モデリング自体は気に入っていても、
自分では少し動いただけなのにモデルが動きすぎる。
口が思ったほど開かない。
首が傾きすぎる。
と感じる場合は、モデリングの作り直しではなくトラッキング設定側で調整できることがあります。
逆に、髪の揺れ方や横向きの形そのものが違うなら、モデリング側の相談になります。
「モデルの作り」と「自分の顔への反応設定」を分けて考えます。
初心者ならこの形で伝えれば十分
依頼時に専門的な仕様書を作る必要はありません。
次のような内容なら、初心者でも伝えられます。
「ゲーム配信と雑談で使用します。
顔は左右へしっかり向けたいですが、身体は普段あまりふらふらせず落ち着いた感じが希望です。
髪はこの参考動画の○分○秒のように、頭を動かした後から少し遅れてふわっと付いてくる感じが好きです。
大きなリボンがキャラクターの特徴なので、ここは髪より少し目立つくらい揺らしたいです。
普段の笑顔は顔に合わせて自然に出して、泣き顔と青ざめは必要なときに切り替えて使いたいです。
余裕があれば配信終了時に使う手振りも付けたいです。
予算内で難しい場合は、顔の動きと髪揺れを最優先にしたいです。」
これだけあれば、
使用目的。
普段の顔・身体。
揺れ。
表情。
特別な動作。
優先順位。
が分かります。
モデラー側がそれをLive2Dの具体的な仕様へ置き換えられます。
何も分からなければ「分からない」と伝えていい
Live2Dモデルを初めて作るなら、実際に使った経験がないため、何が必要か分からないのは自然です。
現在の制作サービスでも、「仕様未定から相談可能」「具体的な動きが分からなければ提案する」としている制作者がいます。
そのため、
「初めてなので、一般的な雑談配信に必要な動きが分かりません」
と伝えて構いません。
そのうえで、
動きすぎるモデルは苦手。
表情は豊かにしたい。
髪はよく揺れてほしい。
くらいの好みを伝えます。
何も分からない状態で、ネットで見つけた「顔XYZ・体XYZ・高可動域・物理演算全部」と機械的に注文するより、自分がどう見えたいかを伝えた方が目的に合った提案を受けやすくなります。
サンプル動画を見るときは「自分が欲しい部分」を探す
依頼先を探すときも、単に「よく動く」「高可動域」という説明だけを見ない方がよいでしょう。
サンプル動画を見ながら、
顔の向き。
身体の動き。
髪の揺れ。
口。
目。
表情。
を別々に見ます。
「この人の髪は好きだけど身体は自分には動きすぎる」
と感じることもあります。
その場合は、そのままモデラーへ伝えて構いません。
サンプルは「このモデラーが何を作れるか」を見るだけでなく、自分が何を好きなのか見つける材料にもなります。
依頼時に決めるのは設定値ではなく完成時の見え方
Live2Dの動きを依頼するとき、初心者がモデラーと同じ専門用語を使えるようになる必要はありません。
「角度はいくつ」「物理演算の数値はいくつ」と指定するのはモデラー側の仕事です。
依頼者が伝えるのは、
普段どんな雰囲気で動いてほしいか。
どの部位を目立たせたいか。
どう揺れてほしいか。
どんな表情をいつ使いたいか。
どんな特別な動作が欲しいか。
どれを最優先にするか。
です。
言葉だけで難しければ、参考動画の該当時間を付けます。
そして制作途中の確認では、「何となく違う」ではなく、「どこが・いつ・どう違う」と伝えます。
Live2D依頼で必要なのは、モデリング技術を説明することではありません。
自分が配信画面の中でどう動いて見えたいのかを、モデラーが判断できる形にすることです。
そこまで伝われば、細かな制作方法はモデラーへ任せられます。
出典
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