VTuber向けの商品を探していると、
「VTuber用」
「Live2D用」
「パーツ分け済み」
「VTube Studio対応」
といった言葉が並びます。
しかし、「VTuber用」と書いてあるからといって、購入後すぐ動かせるモデルとは限りません。
Live2D用のイラストだけを販売している商品もあります。
購入前に見るべきなのは、サムネイルや商品名ではなく「何のデータが納品されるか」です。
2Dモデルなら、.moc3や.model3.jsonなどの動作するモデル用データが含まれているか。
PSDだけなら、たとえ目・口・髪まで細かく分かれていても、基本的にはこれからモデリングするためのイラストです。
「VTuber用イラスト」と「VTuberモデル」は別の商品
まず、大きく3段階に分けると分かりやすくなります。
| 商品 | 主な納品データ | 状態 |
|---|---|---|
| 立ち絵 | PNG・JPGなど | 静止画 |
| Live2D用原画 | パーツ分け済みPSDなど | 動かす準備をした絵 |
| Live2Dモデル | .moc3、.model3.json、テクスチャ等 | モデリング済み |
普通の立ち絵は、一枚のイラストです。
Live2D用のパーツ分けイラストは、目・口・髪などが別レイヤーになっています。
しかし、まだ目をどのように閉じるか、顔をどこまで左右へ動かすか、髪をどう揺らすかといった設定は入っていません。
その動きをLive2D Cubismで設定する作業が「モデリング」です。
モデリングまで終わり、配信アプリなどで動かせる形へ書き出されたものがLive2Dモデルです。
「パーツ分け済みPSD」は完成モデルではない
特に間違えやすいのが「パーツ分け済みPSD」です。
商品画像を見ると、完成したVTuberモデルのようなキャラクターが表示されています。
さらに商品説明には、
Live2D用。
VTuber向け。
目・口・髪をパーツ分け済み。
と書かれています。
ここまで読むと、そのままVTube Studioへ入れられそうに見えます。
しかし、PSDは基本的にイラスト側のデータです。
目、瞳、白目、口、前髪、後ろ髪、体などを別レイヤーにした「モデリングするための材料」です。
商品説明に、
「モデリングは含みません」
「Live2D Cubismでのモデリングは別途必要」
「納品形式:PSD」
などと書かれていたら、その商品だけではキャラクターは動きません。
購入後、自分でLive2Dモデリングをするか、モデラーへ依頼する必要があります。
PSDに目・口・髪が分かれていてもまだ動かない
初心者にはここが分かりにくいところです。
例えばPSDの中に、
右目。
左目。
白目。
瞳。
上まつ毛。
下まつ毛。
口。
前髪。
横髪。
後ろ髪。
まで細かく分かれていたとします。
それでも、それだけではまばたきしません。
Live2Dでは、そのパーツへ、
目を開いた形。
目を閉じた形。
口を閉じた形。
口を開いた形。
顔を右へ向けた形。
顔を左へ向けた形。
などを設定します。
さらに髪の揺れや体の動きなども設定します。
つまり「パーツ分け」と「モデリング」は別工程です。
パーツが分かれているだけでは完成モデルではありません。
完成Live2Dモデルなら納品物にモデル用データがある
購入してVTube Studioなどで動かしたいなら、商品説明の「納品物」や「内容物」を確認します。
完成したLive2Dモデルでは、代表的に次のようなデータを使います。
.moc3
モデルの形・変形・パラメータなどが入った、実際にアプリで使用するLive2Dモデルのデータです。
.model3.json
モデル本体、テクスチャ、物理演算などのファイルを結び付ける設定データです。
テクスチャ画像
キャラクターの見た目に使われる画像です。
.physics3.json
髪・服などの物理的な揺れを設定しているモデルでは使われます。
表情がある場合には、表情用のデータなどが追加されていることもあります。
細かいファイル名を全部暗記する必要はありません。
初心者が購入前にまず確認するなら、
「moc3とmodel3.jsonを含むVTube Studio用モデルデータ一式が納品されるか」
を聞けば判断しやすくなります。
.moc3だけ見つけて判断せず「一式」を確認する
Live2Dモデルは、.moc3一つだけで完結するとは限りません。
VTube Studioではモデル本体だけでなく、設定ファイルやテクスチャなどを同じモデルフォルダ内で扱います。
そのため商品説明に、
「moc3納品」
とだけ書かれている場合は、必要な関連データも一緒にもらえるのか確認した方が安全です。
反対に、
「VTube Studio導入用フォルダ一式」
「書き出しデータ一式」
「そのままVTube Studioへ導入可能」
などと明記され、動作確認も行われていれば、完成モデルである可能性は高くなります。
「VTube Studio対応」は強い手掛かりだが、それだけで決めない
完成モデルでは、
VTube Studio対応。
nizima LIVE対応。
VTube Studio動作確認済み。
などと書かれていることがあります。
これは重要な手掛かりです。
特に「VTube Studioで動作確認済み」と明記され、実際の可動動画まで掲載されていれば、購入後の使用イメージを確認しやすくなります。
ただし、商品タイトルだけを見て決めない方がよいでしょう。
販売サイトではタグや説明文に「Live2D」「VTube Studio」「VTuber」といった言葉が使われていても、販売物自体はパーツ分けPSDというケースがあります。
最終確認は「納品データ」です。
動いているサンプル動画があっても、販売内容は別に確認する
販売ページにキャラクターが動いている動画があれば、
「このモデルが買える」
と思いやすくなります。
しかし、サンプルとしてモデリング後の完成形を見せながら、販売物はPSDだけという可能性もあります。
逆に、サムネイルには立ち絵しかなくても、実際には完成Live2Dモデルが付属している場合もあります。
画像や動画は「仕上がりを見るもの」。
納品物の欄は「自分が受け取るもの」。
と分けて確認します。
「イラスト+モデリング」のセット商品もある
販売・依頼サービスによっては、
キャラクターデザイン。
パーツ分けイラスト。
Live2Dモデリング。
まで一括で扱う商品もあります。
この場合も基本料金へどこまで含まれるかを確認します。
例えば商品ページ全体では「Live2Dモデル制作」と書いてあっても、
基本料金はイラストのみ。
モデリングは追加オプション。
という料金設定もあります。
逆に、
イラスト制作。
パーツ分け。
モデリング。
VTube Studio用書き出し。
まで基本料金へ含むサービスもあります。
「何ができるサービスか」ではなく、「今表示されている料金で何が納品されるか」を見ます。
「モデリング込み」という言葉も納品物まで見る
「モデリング込み」と書いてあれば、基本的には動き付けまで行われる商品です。
それでも購入前には、
書き出し済みモデルデータまで納品されるか。
どのアプリで動作確認しているか。
表情切替などの設定が済んでいるか。
を確認します。
購入者側でCubism Editorを開いて何か書き出す必要があるのか、それともVTube Studioへ入れるだけなのかで、初心者にとっての使いやすさは大きく変わります。
.cmo3が付く商品は何が違う?
完成Live2Dモデルの商品には、配信で使う書き出しデータだけを販売するものと、編集用の元データまで付けるものがあります。
Live2D Cubism Editorでモデルを編集する元データの一つが.cmo3です。
これがあれば、利用条件とCubism側の環境が許す範囲で、モデルの構造を後から確認・編集しやすくなります。
一方、.moc3などの書き出しデータしかない場合、VTube Studioで使うことはできても、Cubism Editorで元のモデリング工程へ戻って自由に作り直せるとは限りません。
そのため、
「配信で使えればよい」
なら書き出し済みモデルで足ります。
「将来、別のモデラーに大きく改修してほしい」
「自分でモデリングを勉強して直したい」
なら、編集用データが含まれるかも確認します。
「オリジナルデータ」と「書き出しデータ」が別料金の場合もある
販売サイトによっては、
書き出しデータ。
オリジナルデータ。
を別価格で販売している場合があります。
一般に、書き出しデータはアプリで使う完成モデル側、オリジナルデータはCubismで編集するための元データ側を指すことがあります。
ただし、この名称は商品ごとに中身が異なる可能性があります。
「オリジナルデータだから全部入っているだろう」と推測せず、実際のファイル内容を確認します。
「立ち絵付きモデル」なら立ち絵とモデルの両方が入ることもある
完成Live2Dモデルの商品には、
モデルデータ一式。
背景透過立ち絵PNG。
三面図。
キャラクター設定資料。
などを一緒に付けているものがあります。
この場合、PNGが入っているからイラスト商品というわけではありません。
見るべきなのは、「PNGがあるか」ではなく「モデルデータもあるか」です。
完成モデル+立ち絵。
パーツ分けPSD+立ち絵。
立ち絵だけ。
では、すべて商品内容が違います。
3Dモデルなら確認するファイルが変わる
ここまではLive2Dの2Dモデルを中心に説明しました。
3D VTuberモデルでは見るファイルが変わります。
VRoidなどで作った人型3Dアバターでは、.vrmという形式が広く使われています。
VRMは3Dアバターを対応アプリ間で利用するためのファイル形式です。
そのため、
PNG・JPGだけ。
立ち絵だけ。
という商品は3Dモデルではありません。
一方で.vrmが納品され、そのVRMが自分が使う配信・トラッキングアプリに対応しているなら、3Dアバターとして利用できます。
ただしFBXやBlenderデータだけの商品では、利用するVTuberアプリ向けに追加設定が必要な場合があります。
3Dでも考え方は同じです。
「3Dっぽい画像が載っているか」ではなく、「自分が使うアプリへ読み込めるモデルデータが納品されるか」を確認します。
完成モデルでも可動範囲は商品ごとに違う
完成Live2Dモデルと分かった後にも確認が必要です。
同じ「完成モデル」でも、
顔の左右だけ動く。
上下左右まで大きく動く。
体も動く。
髪が揺れる。
腕のポーズが変わる。
表情差分がある。
といった違いがあります。
完成モデルであることと、自分が欲しい動きを全部持っていることは別です。
購入前にサンプル動画やプレビューがあるなら、実際の動きを見ます。
「動く/動かない」ではなく、「どこまで動くか」を確認します。
表情差分やキーバインドも確認する
商品画像では、
泣き顔。
怒り顔。
ハート目。
上着OFF。
メガネON。
など複数の状態が掲載されていることがあります。
これらが購入モデルで実際に切り替えられるのか確認します。
またVTube Studio上ですでにショートカットキーまで設定されている商品と、自分で設定する商品があります。
初心者で「購入してすぐ使いたい」なら、
表情設定済み。
VTube Studio設定済み。
導入説明付き。
という商品は扱いやすくなります。
「汎用モデル」と「一点物」も購入前に分ける
完成モデルでも、販売方法には違いがあります。
「汎用モデル」「量販モデル」は、同じモデルを複数人が購入して使う商品です。
安く始めやすい反面、同じ姿のVTuberが他にも存在する可能性があります。
「限定1点」「一点物」は販売数を一人に限定している商品があります。
ただし、「一点物=著作権も購入者へ移る」という意味ではありません。
著作権や改変権、再配布の可否は別に利用規約を確認します。
配信収益化できるかもモデルとは別問題
完成モデルを購入したからといって、必ず商用利用できるとは限りません。
確認したいのは、
YouTube等の収益化配信に使えるか。
企業活動で使えるか。
グッズへ使えるか。
モデルを改変してよいか。
他のモデラーへ修正依頼してよいか。
作者名の表記が必要か。
再配布・転売は禁止か。
といった利用条件です。
「ちゃんと動くモデルか」と「自分の活動方法で使ってよいか」は別に確認します。
購入後の修正を誰へ頼めるかも確認する
モデルを長く使うなら、後から、
髪色を変えたい。
衣装を増やしたい。
表情を追加したい。
動きを改善したい。
となる可能性があります。
販売者によっては、
購入後の改変自由。
作者への依頼のみ可。
第三者モデラーへの改変依頼可。
改変不可。
など条件が違います。
特に編集用データが付かないモデルでは、第三者による大幅な修正が難しい場合もあります。
購入時の姿だけでなく、「後から育てられるモデルか」も確認しておくと選びやすくなります。
初心者なら購入前にここを見る
商品ページを開いたら、まず「納品物」を探します。
PSD・PNGだけなら、イラスト商品である可能性が高くなります。
.moc3、.model3.json、テクスチャ等を含むモデルデータ一式なら、Live2D完成モデル側です。
次に、
VTube Studioなどで動作確認済みか。
実際の可動動画があるか。
どこまで顔・体が動くか。
表情や衣装差分が付くか。
商用利用できるか。
汎用モデルか一点物か。
編集用データまで付くか。
を確認します。
これだけでも「イラストだけ買ってしまった」という失敗をかなり避けられます。
説明が曖昧なら購入前に何と聞く?
専門用語が分からなくても、難しい質問をする必要はありません。
販売者へ、
「購入後、VTube Studioへ入れてそのまま顔追跡で動かせるモデルデータ一式が含まれていますか?」
と確認すればよいでしょう。
さらに将来編集したいなら、
「Live2D Cubismで編集できる元データも含まれますか?」
と確認します。
この2つを分けて聞けば、
使うための完成データ。
編集するための元データ。
のどちらが付くか確認できます。
結局、VTuberモデルとイラストだけの商品はどう見分ける?
商品名ではなく、納品データで判断します。
PNG・JPGだけなら立ち絵などの静止画です。
パーツ分け済みPSDなら、Live2D用に準備されたイラストですが、まだ完成モデルではありません。
.moc3、.model3.json、テクスチャなどの書き出し済みデータがあり、VTube Studioなどで動作確認されているなら、完成Live2Dモデルと判断しやすくなります。
そして、後からLive2D Cubismで本格編集したいなら、.cmo3などの編集用データまで含まれるかを別に確認します。
最も大切なのは、
「VTuber用と書いてあるから買う」
ことではありません。
「自分が買ったあと、次に何をしなければならない商品なのか」
を見ることです。
購入後すぐ配信したいなら、モデリング済み・対応アプリ動作確認済みのモデル。
自分でモデリングしたいなら、パーツ分け済みPSD。
イラストとして使いたいなら、立ち絵。
この違いを確認してから選べば、目的と違うデータを買う失敗を避けやすくなります。
出典
Live2D公式|VTuberになりたい!nizimaでモデルを選ぶ際の3つのチェックポイント
Live2D|組み込み用データ
VTube Studio|Loading your own Models
nizima|購入ガイド
nizima|用語集
VRM Consortium|「VRM」って何?どんなことができる?