元のモデラーに追加依頼できなくても、別のモデラーにLive2Dモデルを修正してもらえる場合はあります。
ただし、「別の人でもLive2Dを使えるから頼める」という話ではありません。
最初に確認するのは、
第三者によるモデル改変が認められているか
編集用のcmo3があるか
イラストまで変更するならPSDなどの元データと改変許可があるか
の3点です。
この3つのどこで止まるかによって、「今のモデルをそのまま修正できる」「元データを受け取れば修正できる」「新しくモデリングし直す」という対応に分かれます。
元モデラーに頼めない理由で対応が変わる
「元モデラーに頼めない」といっても、状況は同じではありません。
たとえば、
現在は新規依頼を受けていない
スケジュールが合わない
活動を終了した
連絡しても返信がない
修正依頼を断られた
という場合があります。
元モデラーと連絡が取れるなら、別のモデラーへ移る前に、
第三者による改変は可能か
cmo3を提供してもらえるか
別モデラーへ渡してよいか
を確認できる可能性があります。
実際に、元モデラー自身が対応できない場合には、他のモデラーへ依頼するためのcmo3を提供すると規約で定めている制作者もいます。
「もうその人には作業を頼めない」と「元のデータや改変許可について相談もできない」は分けて考えます。
別の人が修正するならmoc3ではなくcmo3を確認する
普段VTube Studioなどで使っているモデルフォルダには、moc3というファイルがあります。
しかし、別のモデラーが現在のモデルを開いて編集するときに重要なのはcmo3です。
cmo3はLive2D Cubism Editorでモデルを制作・編集するためのデータです。
moc3は完成したモデルをアプリなどで使うために書き出したデータです。
名前は似ていますが役割が違います。
そのため、
「VTube Studioで今も動いているから、そのデータを別モデラーへ送れば直せる」
とは限りません。
実際に他者制作モデルの改修を受けているモデラーでも、cmo3提出を必須条件にしている例があります。
cmo3を自分が持っているなら次は改変許可を見る
cmo3が手元にある場合でも、すぐ別のモデラーへ送らない方がよいでしょう。
確認したいのが、元モデラーとの利用規約や契約です。
たとえば、
第三者による改変可
他モデラーへの引継ぎ可
cmo3の第三者共有可
といった条件が書かれているなら、別モデラーへの依頼を進めやすくなります。
反対に、
第三者によるリメイク・改変禁止
モデルデータの第三者提供禁止
と書かれている場合があります。
実際のVTuberモデル制作規約にも、著作権譲渡をしていないモデルについて、別のクリエイターによるLive2Dモデル化・リメイク・改変を禁止するものがあります。
つまり、
「cmo3を持っている」
ことと、
「別の人へ渡して直してもらってよい」
ことは別です。
「商用利用可」だけでは別モデラーへ頼めるとは限らない
依頼時に「商用利用可」と書かれている場合もあります。
しかし、これは通常、
配信で広告収入を得る
投げ銭を受け取る
動画でモデルを使用する
などの利用についての条件です。
別のモデラーへcmo3を渡してモデル内部を変更してもらうことまで含んでいるとは限りません。
著作物の利用許諾は、認められた利用方法や条件の範囲内で利用するものです。
そのため、「商用利用できるから別の人が改変しても大丈夫」とは判断しない方がよいでしょう。
自分にcmo3がなくても元モデラーが持っている場合がある
手元にcmo3がない場合は、まず納品時のデータを確認します。
VTuberモデル制作では、
配信用のmoc3一式は納品する
cmo3は元モデラーが保管する
という契約もあります。
そのため、自分が持っていないだけで、cmo3そのものがなくなったとは限りません。
元モデラーと連絡が取れるなら、
「別のモデラーへ修正をお願いしたいのですが、cmo3を提供していただくことは可能でしょうか」
と確認します。
有料になることもあります。
また、cmo3を渡してもらえる場合でも、第三者改変を認める条件を同時に確認します。
cmo3がない場合は「修正」ではなく再モデリングになることがある
自分にもcmo3がなく、元モデラーからも入手できない場合は状況が変わります。
現在のLive2Dモデルの続きを開いて修正するのではなく、元のイラストから新しくモデリングし直す方法を検討します。
実際のLive2Dサービスでも、
cmo3がある場合は既存モデルへのパーツ追加・改変
cmo3がない場合は通常のLive2Dモデリングとして受注
と分けている例があります。
つまり、
「口の動きを少し直したいだけ」
と思っていても、編集元となるcmo3がなければ、元のモデリングを引き継いだ軽微な修正として扱えない場合があります。
PSDが残っていれば作り直せる可能性がある
cmo3がなくても、パーツ分け済みのPSDが残っていれば、新しいモデラーへモデリングを一から依頼できる可能性があります。
PSDは、目、口、髪、服、腕などのイラストパーツが分けられたデータです。
この場合は、
現在のモデルを修正する
のではなく、
現在のイラストを使って新しいLive2Dモデルを作る
という考え方になります。
前のモデルで使われていた顔の変形や髪の揺れなどの設定がPSDに残っているわけではありません。
そのため、新しいモデラーが改めて動きを作ります。
PSDまでない場合はイラスト側から確認する
cmo3もなく、パーツ分けPSDも持っていない場合は、さらに前の段階から考える必要があります。
たとえば、完成した立ち絵だけが残っている場合です。
その立ち絵を再度Live2D用にパーツ分けできるか。
不足している部分を書き足せるか。
それを別のイラストレーターが行ってよい契約なのか。
を確認します。
場合によっては、元のキャラクターデザインを使い、新しくLive2D用イラストから作り直す方が現実的になることもあります。
モデリングだけ直す場合と絵まで直す場合は分ける
別のモデラーへ頼むときは、「何を直したいのか」を具体的に分けます。
たとえば、
顔の横向きがおかしい
口の動きを直したい
髪の揺れを弱くしたい
体の可動域を広げたい
といった修正なら、主にLive2Dモデリング側の問題です。
一方、
髪型を変えたい
新衣装を追加したい
腕のイラストを書き足したい
目のデザインそのものを変えたい
となれば、イラスト側にも変更が発生します。
この場合は、元モデラーの条件だけではなく、元イラストレーター側の権利や契約も確認します。
イラストレーターとモデラーが別人なら、特に分けて考える必要があります。
別の絵師が元キャラクターを描き直す場合も許可を確認する
文化庁は、同じキャラクターについて異なるポーズや服装をデザインすることは、元作品を変更して別作品を作る「翻案」に当たることが多く、著作権者の許諾が必要になると説明しています。
そのため、
「元モデラーがいないから、新しい絵師とモデラーに全部直してもらおう」
という場合も、元キャラクターの具体的なデザインを誰が制作し、誰が著作権を持っているか確認します。
自分がお金を払って制作を依頼したことだけで、すべて自由に描き直せるとは限りません。
元モデラーと連絡が取れない場合は契約記録を先に探す
一番判断に困るのが、
元モデラーが活動終了した
SNSアカウントが消えている
メールを送っても返事がない
という場合です。
このときは、連絡がつかないことだけを理由に別モデラーへデータを渡さない方がよいでしょう。
まず、
依頼時の商品ページ
利用規約
見積書
メール
DM
納品時の説明
を確認します。
そこに、
第三者改変可
他モデラーへの引継ぎ可
改変禁止
などが明記されていれば、それが判断材料になります。
以前の利用規約を保存していない場合は、現在公開されている規約や販売ページも確認します。
連絡が取れない=許可を取らなくてよい、ではない
権利者と連絡が取れない場合でも、著作権や利用条件が自動的になくなるわけではありません。
文化庁には、権利者や連絡先が分からず許諾を得ることが難しい場合の裁定制度があります。
ただし、これは所定の権利者探索や申請、補償金などを伴う制度です。
「DMが返ってこないから別の人に修正してもらいたい」という場面で、そのまま自由に改変できるようになる仕組みではありません。
まずは契約上すでに認められている利用範囲を確認するのが先です。
元モデラーに断られた場合も理由を見る
元モデラーへ相談したものの、修正を断られることもあります。
ただし、
「自分では作業できない」
という意味なのか、
「第三者による改変も認めない」
という意味なのかでは結果が違います。
前者なら、
別モデラーへの改変を許可してもらう
cmo3を提供してもらう
という形で引継ぎできる可能性があります。
後者なら、その契約のまま別モデラーが現在のモデルを改変するのは難しくなります。
単に「依頼を断られた」で終わらせず、第三者への引継ぎまで禁止されているのか確認します。
別モデラーを探す前に手元のデータを確認する
いきなり「修正してくれるモデラー」を探すより、先に手元のデータを確認した方が話が早くなります。
特に見るのは、
cmo3
パーツ分けPSD
現在配信に使っているモデル一式
元モデラーとの利用規約・契約記録
元イラストレーターとの利用条件
です。
別モデラーへ相談するときは、
「他の人が作ったモデルですが直せますか」
だけではなく、
「cmo3あり、PSDあり、第三者改変について元モデラーから許可あり」
というように伝えられると、受けられる作業か判断してもらいやすくなります。
修正依頼では「どこまで残したいか」も伝える
別のモデラーに頼む場合は、現在のモデルを全部作り替えたいとは限りません。
たとえば、
顔の動きだけ直したい
体の動きだけ追加したい
今の表情は残したい
新衣装だけ追加したい
元のモデルの雰囲気は変えたくない
という希望があります。
他者制作モデルの改修サービスでも、cmo3やPSDの状態、利用許諾、修正範囲を見て見積もる例があります。
つまり、「別モデラーへ移る=全部作り直す」とは限りません。
データと許可がそろっていれば、必要な部分だけ改修できる可能性があります。
元モデラーに頼めない場合は4つの状態で判断する
自分の状況を次のように分けると判断しやすくなります。
| 状態 | 考えられる対応 |
|---|---|
| cmo3あり・第三者改変可 | 別モデラーへ既存モデルの修正を相談 |
| cmo3なし・元モデラーとは連絡可能 | cmo3提供と改変許可を相談 |
| cmo3なし・PSDあり・改変可能 | 別モデラーによる再モデリングを検討 |
| cmo3なし・PSDなし・権利条件も不明 | 契約・権利確認から始め、必要ならイラスト制作から再検討 |
特に大切なのは、「元モデラーに頼めない=新しいモデラーを探せば終わり」ではないことです。
新しいモデラーが作業を受けられるかは、
技術的に編集できるデータがあるか
そのデータを渡して改変してよい契約か
の両方で決まります。
別の人に修正してもらえるかは「許可→cmo3→PSD」の順に見る
元のモデラーへ頼めなくても、別の人にLive2Dを修正してもらえる場合はあります。
最初に、元の契約で第三者による改変が許可されているかを確認します。
次に、現在のモデルを編集できるcmo3があるかを確認します。
モデリングだけではなくイラストまで変更するなら、PSDなどの元イラストと、その改変条件も確認します。
cmo3と許可がそろっていれば、別モデラーへの引継ぎを相談できます。
cmo3がなくてもPSDがあり、利用条件上問題なければ、現在のイラストを使って新しくモデリングし直せる可能性があります。
cmo3もPSDもなく、元制作者とも連絡できず、契約上の改変範囲も分からないなら、勝手に進めるのではなく、まず過去の規約や契約記録を確認する必要があります。
「別のモデラーを探すこと」より先に、
今のモデルを別の人が触ってよい状態になっているか
を確認するのが最初です。
出典
株式会社Live2D|ファイルの種類と拡張子
株式会社Live2D|組み込み用データ
文化庁|誰でもできる著作権契約マニュアル 第1章1(2)
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