VTuberモデルを依頼するとき、最初の文章で専門的な仕様を全部決める必要はありません。
依頼先が最初に知りたいのは、
何を作ってほしいのか。
何に使うのか。
どこまで自分で用意しているのか。
いくらくらいを考えているのか。
いつ必要なのか。
どんなモデルにしたいのか。
です。
この情報があれば、制作者は「対応できるか」「いくらくらいになるか」「希望時期までに作れるか」を判断できます。
逆に、Live2Dの専門用語をたくさん並べても、何をしたいのか分からなければ見積もりはしにくくなります。
依頼文は完成した仕様書ではありません。
「決まっていること」と「まだ分からないので相談したいこと」を分けて伝える文章だと考えると書きやすくなります。
最初に依頼先のテンプレートがないか確認する
依頼文を書く前に、制作者のプロフィールや販売ページを確認します。
Live2D制作者の中には、自分専用の依頼テンプレートを用意している人がいます。
たとえば、
予算。
納期。
希望プラン。
使用ソフト。
参考資料。
手元にあるイラスト。
などです。
この場合、自分で別の依頼文を作るより、指定されたテンプレートへ回答します。
制作者によって知りたい情報が違うからです。
キャラクターデザインから作る人と、モデリングだけをする人でも必要な情報は変わります。
まず「指定の依頼方法があるか」を見て、それがなければ自分で依頼文を作ります。
最初に「何を頼みたいか」を書く
一番先に伝えたいのは制作範囲です。
たとえば、
キャラクターデザインから全部お願いしたい。
Live2D用イラストとモデリングをお願いしたい。
パーツ分けしたイラストはあるのでモデリングだけお願いしたい。
今あるLive2Dモデルへ新衣装を追加したい。
といった内容です。
初心者で工程が分からなければ、
「VTuberを始めたいのですが、何を依頼すればよいか分からないため相談したいです」
でも構いません。
ただし、その場合でも現在持っているものを書きます。
一枚絵がある。
キャラクターデザインだけある。
パーツ分け済みのPSDがある。
何もない。
これだけでも、どこから制作する必要があるか判断してもらえます。
用途は「VTuberで使います」より一段具体的に書く
用途は、モデルをどこで何に使うのかです。
たとえば、
YouTubeでゲーム配信と雑談をする。
収益化した配信で使う。
動画投稿にも使う。
SNSの画像にも使う。
将来グッズを作る可能性がある。
と書きます。
「VTuber活動に使います」だけでも意味は通じますが、予定している使い方まで書いた方が利用条件を確認しやすくなります。
グッズ制作など、まだ決まっていないことは、
「現時点では未定ですが、将来行う可能性があります」
で構いません。
決まっていない予定を「使いません」と断定する必要はありません。
使用ソフトが分かれば書く、分からなければ相談希望でいい
VTube Studioなど、モデルを実際に動かすソフトが決まっているなら伝えます。
しかし、VTuberをこれから始める人なら、使用ソフト自体が分からないこともあります。
この場合は、
「配信用ソフトはまだ決めていないため相談したいです」
と書けば十分です。
知らない専門用語を調べて、よく分からないまま指定する必要はありません。
依頼文で大切なのは「全部答えること」ではなく、「分からない項目がどれかも相手に分かること」です。
予算は最初に書いてよい
「予算を書くと、その金額いっぱいまで請求されるのでは」と考えて、書かない方がよいのか迷うことがあります。
しかし、実際のLive2D制作では、依頼テンプレートで予算上限を聞く制作者がいます。
モデルは、
キャラクターデザインから作るか。
上半身か全身か。
どこまで動かすか。
表情をいくつ付けるか。
衣装差分があるか。
によって制作範囲が大きく変わります。
予算が分かれば、その範囲で何を優先するか提案してもらえます。
たとえば、
「上限10万円で考えています」
「8万~12万円程度を希望しています」
という書き方ができます。
予算が本当に分からないなら、
「希望内容の場合、どの程度の予算が必要か見積もりをお願いします」
でも構いません。
ただし、上限があるなら先に伝えた方が、予算を大きく超える仕様を組んでから削る手間を減らせます。
希望納期と「実際に使う日」を分けて書く
納期については、
「○月○日にデビューします」
だけで終わらせない方がよいでしょう。
モデルが完成したあとには、自分の環境で動かして確認する時間も必要です。
そのため、
モデルを受け取りたい日。
実際に使い始める日。
を分けて伝えます。
たとえば、
「希望納品日は○月○日ごろです。○月○日の初配信で使用予定です」
とします。
納品日自体はまだ決まっておらず、デビュー日だけ決まっているなら、
「○月○日から使用したいのですが、制作スケジュール上いつまでの納品が可能でしょうか」
と相談できます。
「なるべく早く」「急ぎです」だけでは、制作者も間に合うか判断できません。
実際に必要になる日を伝えます。
希望は「絶対欲しい」「できれば欲しい」に分ける
モデルの希望を全部一列に並べると、見積もりが膨らむことがあります。
そこで、
絶対に欲しい。
予算内なら欲しい。
なくても大丈夫。
に分けます。
たとえば、
絶対欲しい
・顔を左右へしっかり向けたい
・髪を自然に揺らしたい
・笑顔と泣き顔を使いたい
予算内なら欲しい
・手振り
・上着の着脱
・追加の表情
という形です。
これなら予算を超えた場合も、「何を削るか」を制作者と相談できます。
最初から全部を必須にするより、自分が一番欲しいものが伝わります。
「かわいく」「よく動く」だけなら参考を一つ足す
デザインや動きの希望を、完全に言葉で説明する必要はありません。
たとえば、
落ち着いた雰囲気。
かわいい感じ。
サイバー系。
和風。
よく動くモデル。
髪がふわっと揺れるモデル。
などでも方向は伝わります。
さらに参考画像や動画があるなら添えます。
ただし、
「このVTuberと同じにしてください」
ではなく、
「この動画の顔を横へ向けたときの立体感が好きです」
「この衣装の色の組み合わせを参考にしたいです」
のように、どこを参考にしているのかを伝えます。
自分が何を気に入ったのか分からなければ、そのこと自体を書いて相談しても構いません。
キャラクターが未定でも「決まっていない」と書けばいい
VTuberモデルを依頼したいものの、まだキャラクターが完成していない場合があります。
その場合は、
「キャラクターデザインから相談希望です」
と書きます。
さらに、
青を使いたい。
猫モチーフにしたい。
落ち着いた男性にしたい。
露出の多い衣装は避けたい。
など、今決まっているところだけ伝えます。
髪型・服装・名前・性格まで無理に埋める必要はありません。
空欄にするより、
「髪型は相談希望」
「服装はおまかせ可能」
と書いた方が、どこまで提案してよいのか伝わります。
モデリングだけ頼むなら原画の状態を書く
すでにイラストがある場合は、何のデータを持っているか書きます。
たとえば、
一枚絵のみ。
レイヤー付きPSDあり。
Live2D用にパーツ分け済み。
以前使っていたLive2Dモデルの編集データあり。
などです。
特にモデリングだけを依頼する場合、パーツの分け方によって作れる動きが変わることがあります。
自分で「このPSDなら問題ない」と判断するより、見積もり時にデータを確認してもらいます。
イラストを別の人が制作した場合は、Live2D化や必要な加工を別の制作者へ頼んでよい条件になっているかも確認しておきます。
最初の依頼文で専門用語を並べなくていい
Live2Dについて調べると、
顔の角度。
物理演算。
パラメータ。
高可動域。
などさまざまな言葉が出てきます。
しかし、初心者がそれを全部指定する必要はありません。
たとえば、
「横顔に近いところまで顔を向けたい」
「髪は頭を動かしたあとに少し遅れて揺れてほしい」
「身体はあまり動きすぎない方がいい」
のように完成したときの見え方を伝えます。
どう実装するかはモデラーに任せます。
分からないことを専門用語で無理に確定するより、「こう見せたい」と伝えた方が希望を共有しやすくなります。
依頼文では「決まっていないこと」も情報になる
依頼前に全部を決められないことは珍しくありません。
たとえば、
表情差分を何個付ければいいか分からない。
全身まで必要か迷っている。
予算内でどこまで動かせるか知りたい。
衣装差分を最初から作るか迷っている。
という状態です。
これは空欄にせず、そのまま書きます。
「表情数は相談したいです」
「全身と上半身で見積もりがどの程度変わるか知りたいです」
「予算内で顔の動きを優先したいです」
のようにします。
「相談したい」という情報があれば、制作者も提案できます。
長い自己紹介より見積もりに必要な情報を先に置く
依頼だからといって、自分の活動への思いを長く説明する必要はありません。
もちろん挨拶はします。
ただし、そのあとに、
依頼したい内容。
用途。
予算。
納期。
希望。
資料。
を早めに置きます。
制作者が最初のメッセージを読んで、
何の依頼なのか。
対応できそうか。
いつまでなのか。
どのくらいの規模なのか。
を把握できる文章にします。
細かな世界観やキャラクター設定は、必要なら資料として別に添えられます。
最初から利用条件も確認しておく
モデルが完成してから、
収益化配信には別料金だった。
グッズには使えなかった。
編集用データは納品されなかった。
実績公開されるとは知らなかった。
となるのは避けたいところです。
そのため、予定している利用があれば依頼段階で伝えます。
たとえば、
収益化配信。
動画投稿。
SNS。
グッズ制作。
法人・チームでの利用。
などです。
さらに必要なら、
クレジット表記。
実績公開の時期。
編集用データの納品。
将来の衣装追加。
別モデラーによる修正。
について確認します。
全部の権利を取得する必要があるという話ではありません。
自分が予定している使い方が認められているかを確認します。
「実績公開」はデビュー前なら特に確認する
制作者は完成モデルを制作実績としてSNSやポートフォリオへ掲載する場合があります。
まだデビュー前で、姿を公開したくない場合は、
「○月○日までは実績公開を控えてほしいです」
と依頼時に伝えます。
実際のLive2D制作サービスでも、公開日の希望や実績非公開を事前に伝えるよう案内している例があります。
「言わなくてもデビューまで非公開だろう」と思わず、公開時期が重要なら確認します。
依頼先に送るならこの程度で十分
初回問い合わせなら、次のくらいから始められます。
「はじめまして。VTuber用Live2Dモデルの制作について相談したく、ご連絡しました。
【依頼したい内容】
キャラクターデザイン、Live2D用イラスト、モデリングまで一括でお願いしたいです。
【用途】
YouTubeでゲーム配信・雑談配信に使用予定です。収益化も予定しています。グッズ制作は現在未定です。
【現在用意しているもの】
キャラクターの完成デザインはありません。青系・猫モチーフ・落ち着いた雰囲気を希望しています。参考画像を添付します。
【予算】
上限○万円程度で考えています。
【希望時期】
○月○日ごろまでの納品を希望しています。○月○日から配信で使用する予定です。
【希望】
最優先:顔を左右へ自然に向けられること、髪が自然に揺れること
予算内なら:泣き顔、手振り
服装や細かな装飾は相談しながら決めたいです。
【確認したいこと】
この内容で制作可能でしょうか。予算内で難しい場合は、どこまで対応できるかご提案いただけると助かります。
不足している情報がありましたらお知らせください。よろしくお願いいたします。」
これで完成した仕様書ではありません。
この文章を基に、制作者と内容を詰めていきます。
モデリングだけなら依頼文を変える
すでにLive2D用イラストが完成しているなら、キャラクター説明を長く書くより、現在のデータを伝える方が重要です。
たとえば、
「はじめまして。VTuberモデルのLive2Dモデリングについて相談です。
【用途】
YouTubeの収益化配信で使用予定です。
【用意しているデータ】
Live2D用パーツ分け済みPSDがあります。イラスト制作者にはモデリング依頼について確認済みです。
【希望】
顔は左右へ大きめに動かしたいです。身体は落ち着いた動きが希望です。髪は参考動画のように少し遅れて揺れる感じを希望しています。
【予算】
○万円まで。
【希望納期】
○月○日ごろ。使用開始予定は○月○日です。
【確認したいこと】
PSDを確認いただき、この希望が実現可能か、見積もりとあわせて教えていただけますでしょうか。」
という内容で相談できます。
予算を超えたときに何を残すかまで考える
依頼文で意外に大切なのが、予算オーバーした場合の判断です。
全部欲しいと書いて見積もりが予算を超えた場合、
何を削るか。
どこへ予算を使うか。
を決める必要があります。
そこで、
「予算を超える場合は、表情差分より顔の可動を優先したいです」
「衣装差分は後からでも構いません」
と伝えられると、制作者から代替案を出してもらいやすくなります。
依頼文の「希望」は単なる欲しいもの一覧ではありません。
自分が何を優先するのかを伝える部分です。
依頼文の完成条件は「全部埋まった」ではない
初心者が依頼文を書くと、
キャラクター設定を全部作らなければ。
必要なパーツ数を調べなければ。
Live2Dの可動域を理解しなければ。
納品ファイルの種類を全部指定しなければ。
と考えてしまうことがあります。
しかし、それでは依頼する前に制作知識をかなり学ぶ必要が出てしまいます。
最初の問い合わせで必要なのは、そこまでではありません。
依頼先が、
自分の仕事の範囲か。
予算に収まりそうか。
日程的に受けられるか。
どんな追加確認が必要か。
を判断できれば、次の相談へ進めます。
分からない項目は「相談希望」。
絶対に外せないものは「最優先」。
予算次第のものは「できれば」。
この3つを使い分ければ、専門知識がなくても依頼文を作れます。
VTuberモデルの依頼文は「判断材料」を渡す文章
依頼文で一番大切なのは、丁寧で長い文章を書くことではありません。
制作者が判断するための情報を渡すことです。
最低限、
何を依頼するか。
何に使うか。
何を持っているか。
予算はいくらか。
いつ受け取り、いつ使うか。
絶対に欲しいものは何か。
まだ相談したいことは何か。
を伝えます。
そして、依頼先に専用テンプレートがあるなら、その項目を優先します。
全部決まっていなければ、「未定」「相談希望」と書けば構いません。
VTuberモデルの依頼文は、自分一人でモデル仕様を完成させるための文章ではありません。
制作者と一緒に仕様を決め始めるための最初の資料です。
この考え方なら、Live2Dの専門知識がなくても依頼を始められます。
出典
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