VTuberの2Dモデルは自作できる?|絵から動かすまでの流れ

VTuberの2Dモデルは自作できます。

ただし、イラストを描いてLive2Dへ入れれば、自動的に自分の顔に合わせて動くわけではありません。

大きく分けると、

イラストを作る。

動く部分ごとに分ける。

Live2Dで動きを設定する。

配信用のデータへ書き出す。

カメラで自分の顔と連動させる。

という工程があります。

最初から髪を細かく揺らしたり、腕や全身を動かしたりする必要はありません。

初めて作るなら、まず「目・口・顔」が動くところまで完成させると、2Dモデル制作の全体像をつかみやすくなります。

普通のイラストとVTuber用の絵は作り方が少し違う

VTuber用の2Dモデルでも、最初はキャラクターイラストから始まります。

違うのは、完成した一枚絵として描くだけではなく、「後から動かす」ことを考えて作る点です。

例えば、前髪を動かすなら、その下に隠れている額まで描いておきます。

瞳を動かすなら、普段は隠れている白目も必要です。

口を開けるなら、口の中も描きます。

顔を傾けるなら、髪に隠れた輪郭や首が見えることもあります。

普通の一枚絵では見えない部分まで用意する必要があります。

最初に「どこまで動かすか」を決める

イラストを描き始める前に、完成モデルで何を動かしたいのかをある程度決めます。

ここを決めずに細かくパーツ分けすると、必要のない作業まで増えてしまいます。

初めてなら、例えば次の程度からでも始められます。

まばたきする。

瞳が左右上下を見る。

口が開閉する。

笑った口と通常の口が変化する。

顔が左右・上下を向く。

首を傾ける。

これだけでも、ウェブカメラなどで自分の顔を読み取って動くVTuberモデルにできます。

髪揺れ、体の揺れ、腕、手、複数衣装、特殊表情などは、その後でも追加できます。

イラストを動く部位ごとに分ける

Live2Dで動かすイラストは、目、口、髪などを別々の画像として扱えるようにします。

これが「パーツ分け」です。

例えば目なら、一枚の「目」という画像にするだけでなく、白目、瞳、まつ毛などを分けます。

口なら、口の線、口内、必要に応じて歯などを分けます。

髪も、前髪、横髪、後ろ髪など、別々に動かしたい部分を分けます。

どこまで細かく分けるかに絶対的な正解はありません。

動かしたい部分を分ける、と考える方が分かりやすいでしょう。

髪の房を1本ずつ揺らしたければ細かく分ける必要があります。

髪をほとんど動かさないなら、そこまで細かくする必要はありません。

パーツ分けは「絵を切るだけ」ではない

すでに完成した一枚絵から作ることもできます。

ただし、単純に目や髪を切り抜くだけでは足りない場合があります。

例えば前髪だけを切り離すと、その下に本来あるはずの額が描かれていません。

腕を体から切り離すと、腕で隠れていた服がありません。

そのため、一枚絵から作る場合は、パーツを切り分けながら、隠れていた部分を描き足します。

最初からVTuber用として描くなら、動く部分を別レイヤーにしながら描く方が後の作業を減らしやすくなります。

Live2Dへ入れる絵はPSD形式にする

パーツ分けしたイラストは、Live2D Cubism Editorへ読み込みます。

モデルとして読み込む画像データにはPSD形式を使います。

PSDとは、複数のレイヤーを保ったまま保存できる画像ファイルです。

Live2D公式では、読み込み用PSDについてRGBカラー、8bit/チャンネルが必要で、色が変わるのを避けるためsRGBが案内されています。

普段使っているイラストソフトがPSDの保存・書き出しに対応しているかを確認します。

PNGの完成画像だけをLive2Dへ入れて、目や口が自動的に別パーツになるわけではありません。

PSDを読み込むと、絵が動くための素材になる

パーツ分けしたPSDをLive2D Cubism Editorへ読み込むと、レイヤーごとに画像が配置されます。

それぞれの画像には、網目状の点と線が付きます。

Live2Dではこれを「アートメッシュ」と呼びます。

例えば口の画像なら、この網目を変形させることで、

閉じた口。

少し開いた口。

大きく開いた口。

と形を変えられるようになります。

目なら、開いた状態から閉じた状態へ変形させます。

「絵を何枚も描いて切り替える」というより、一つの絵を変形させて途中の形を作っていくイメージです。

最初はメッシュを全部手作業しなくてもいい

アートメッシュは自動生成できます。

そのため、最初からすべての点を一個ずつ打つ必要はありません。

ただし、口やまつ毛など大きく形が変わる部分は、メッシュの形によって変形のしやすさが変わります。

自動生成した結果でうまく動かなければ、その部分だけ手で直します。

最初から細部まで完璧に作ろうとせず、「動かして問題が出たところを修正する」と考えた方が進めやすくなります。

デフォーマを使って顔全体を動かす

目や口の形を変えるだけなら、各パーツを直接変形できます。

しかし、顔全体を右へ向けるときに、目、鼻、口、輪郭を一つずつ動かすのは大変です。

そこで使うのが「デフォーマ」です。

簡単にいえば、複数のパーツをまとめて変形・移動させるための枠です。

例えば、

口を動かすための枠。

目周辺を動かすための枠。

顔全体を動かすための大きな枠。

というように重ねていきます。

Live2Dではこの構造を作ることで、顔全体を動かしながら、その中で目や口も別々に動かせます。

ここが、一枚絵を単純に動かす作業から「モデルを作る作業」へ変わる部分です。

パラメータに「閉じる・開く」「左・右」を設定する

次に、自分の顔の動きと結びつけるための動きを作ります。

Live2Dでは、この動きを「パラメータ」という数値で管理します。

例えば「口 開閉」というパラメータなら、

0=口を閉じる。

1=口を開く。

というように設定します。

0と1の間はLive2Dが途中の形を補います。

顔の左右なら、

左を向いた状態。

正面。

右を向いた状態。

を作ります。

目の開閉、瞳の上下左右、口の開閉、顔の左右・上下、首の傾きなど、それぞれに動きを設定していきます。

この「パラメータへ動きを作る作業」が、一般にLive2Dのモデリングやリギングと呼ばれる部分です。

最初のモデルは全部のパラメータを作らなくていい

Live2D公式には、顔の角度、目、眉、口、体、腕、脚など多くの標準パラメータが用意されています。

だからといって、全部作らなければVTuberとして使えないわけではありません。

実際、Live2D公式には初心者向けとして、

首を傾ける。

目を開閉する。

口を開閉する。

という少数の動きだけを持つシンプルモデルも用意されています。

初めてなら、まず目と口と顔周辺を完成させて、実際にカメラで動かすところまで進める方法があります。

腕や全身を作っている途中で挫折し、モデルが一度も動かないまま終わるより、簡単なモデルを一度完成させた方が次の改善点を見つけやすくなります。

髪を揺らしたければ物理演算を追加する

顔が動いたとき、髪も同じ速度でぴったり動くと硬く見えることがあります。

そこで使えるのが物理演算です。

例えば頭が右へ動いた後、髪が少し遅れて付いてくる動きを作れます。

リボンやアクセサリーなどにも使えます。

ただし、これはモデルを動かすための必須工程ではありません。

最初は顔を動かすところまで作り、モデルが正常に動くことを確認してから追加しても構いません。

「髪が揺れないから未完成」というわけではありません。

モデルができたら配信用データへ書き出す

Live2D Cubism Editorで制作している間の編集用データと、配信ソフトで動かすデータは別です。

モデルができたら、配信用に書き出します。

書き出すと、モデル本体となるデータ、各パーツの画像をまとめたテクスチャ、モデルを結び付ける設定ファイルなどが作られます。

物理演算を設定した場合は、その設定データも使用します。

これらをVTube StudioなどのLive2D対応アプリへ読み込んで使います。

編集用データは、後から修正するときに必要になるので消さずに残しておきます。

VTube Studioへ入れて初めて自分の顔と連動する

Live2D Cubism Editorは、キャラクターの動きを作るソフトです。

カメラであなたの顔を読み取って配信時にモデルを動かす役目は、VTube Studioなどのトラッキングアプリが担当します。

VTube Studioでは、ウェブカメラや対応するスマートフォンなどで顔を読み取ります。

例えば、

あなたが口を開ける。

↓

VTube Studioが口の開きを読み取る。

↓

Live2Dモデルの「口 開閉」の値を変える。

↓

キャラクターの口が開く。

という流れです。

自作モデルをVTube Studioへ読み込み、自動設定または手動設定を行い、カメラを調整して自分の顔に合わせて動けば、ひとまず「絵から動くVTuberモデルまで」を一周できたことになります。

絵が描けないと2Dモデルは自作できない?

「全部自作」と考えるなら、自分でイラストも用意することになります。

ただし、2Dモデル制作そのものは工程を分けられます。

例えば、

イラストだけ他の人へ依頼して、Live2Dの動き付けは自分で行う。

パーツ分け済みの、利用条件を満たしたイラストを使ってモデリングを練習する。

自分でイラストとパーツ分けまで行い、難しいモデリングだけ依頼する。

という方法もあります。

「絵が描けないからLive2Dを自分で触れない」ということではありません。

どの工程を自分で担当したいかを分けて考えられます。

いきなり自分の本番モデルを作る必要はない

初めてLive2D Cubismを開くと、パラメータ、アートメッシュ、デフォーマなど、知らない言葉が一気に出てきます。

そこで自分の本番イラストを使い、最初から高品質なモデルを作ろうとすると、パーツ分けの間違いに後から気付くことがあります。

Live2D公式では、学習用のサンプルモデルを無料で公開しています。

編集用のモデルデータを確認できるものもあるため、

この目はどう分かれているのか。

顔を動かす枠はどう重なっているのか。

どの動きにどのパラメータを使うのか。

を実際のモデルで確認できます。

最初はサンプルを動かして構造を見る。

次に簡単な自作モデルを完成させる。

その後に本番モデルを作る。

という順番もあります。

FREE版だけでも自作を試せる

Live2D Cubism Editorには、PRO版とFREE版があります。

FREE版は無料で使い続けられ、基本的なモデル制作を試せます。

一方、使える画像パーツ、動き、デフォーマ、テクスチャなどに上限があります。

そのため、髪や服を細かく分けた高機能モデルを作ろうとすると制限に当たる可能性があります。

最初の練習ではFREE版を使い、

自分でパーツ分けできるか。

Live2Dの操作を続けられそうか。

簡単なモデルを一体完成させられるか。

を確認できます。

本格モデルで制限を超えるようになってからPRO版を検討する方法もあります。

自作で一番難しいのは「絵を描くこと」だけではない

絵が描ければ、2Dモデルを簡単に作れるとは限りません。

Live2Dでは、

どこを別パーツにするか。

どういう順番で重ねるか。

どの部品をどの枠で動かすか。

顔を横へ向けたときに各パーツをどう変形させるか。

といった別の考え方が必要です。

逆に、イラストを自分で描いていなくても、パーツ分け済みデータを使えばLive2Dのモデリング自体は学べます。

「絵の技術」と「動かす技術」は分けて考えた方が分かりやすくなります。

自作を続けるか依頼へ切り替える境界

途中まで作ってみて、

絵を描くのは楽しいがLive2Dが難しい。

Live2Dは楽しいがパーツ分けが苦手。

顔までは作れたが、高可動域にするところで止まった。

ということもあります。

その場合、全部を諦める必要はありません。

イラストだけ自作してモデリングを依頼する。

逆にイラストを依頼してモデリングだけ自作する。

途中まで作った編集データを見てもらい、続きから依頼できるか相談する。

という分け方があります。

一度自分で簡単なモデルを作れば、「何が自分でできて、何を頼みたいか」も分かりやすくなります。

VTuberの2Dモデルは自作できる?

できます。

ただし、最初の目標を「プロが作ったモデルと同じもの」にすると、必要な作業が急に増えます。

初めてなら、

パーツ分けしたイラストをLive2Dへ入れる。

目と口を動かす。

顔を傾けたり左右へ動かしたりする。

配信用に書き出す。

VTube Studioで自分の顔と連動させる。

ここまでを一度完成させることを目標にできます。

髪揺れ、細かな表情、腕、手、全身、高い可動域は、その後でも追加できます。

2Dモデル自作で重要なのは、最初から全部できることではありません。

「絵を描く→分ける→動きを作る→書き出す→自分の顔で動かす」という一連の流れを一度最後まで通すことです。

そこまでできれば、自分で続きを作るのか、一部だけ依頼するのかも判断できるようになります。

出典

Live2D|1. Illustration Processing(イラスト加工の公式チュートリアル)

Live2D|PSD作成上の注意点

Live2D|パラメータについて

Live2D|標準パラメータリスト

Live2D|物理演算について

Live2D|Data for Embedded Use(配信用データの書き出しに関する公式資料)

Live2D|PRO版とFREE版の機能比較

Live2D|サンプルデータ集

DenchiSoft|VTube Studio Getting Started(Live2Dモデルを顔追跡で動かす公式マニュアル)