VTuberモデルを自分で作り始めたものの、
「パーツ分けで止まった」
「Live2Dを触ってみたけれど思うように動かない」
「ここから先だけプロに頼みたい」
となることがあります。
途中から依頼へ切り替えることはできます。
ただし、「途中まで作ったデータがある=その続きから必ず作ってもらえる」わけではありません。
重要なのは、何%完成しているかではなく、次の制作者が編集できるデータが残っているかです。
まず確認するのは、今どの段階で止まっているか
自作途中といっても、状態はかなり違います。
| 今の状態 | 途中から依頼 | 判断のポイント |
|---|---|---|
| 一枚絵・イラスト途中 | 可能な場合あり | パーツ分けや描き足しまで受ける人か |
| パーツ分け途中 | 依頼しやすい | PSDの構造・不足パーツを確認 |
| パーツ分け済みPSD | 比較的依頼しやすい | モデリングのみの依頼が可能 |
| Live2Dモデリング途中 | 状態次第 | .cmo3とPSDの確認が必要 |
| 配信用データだけある | 引き継ぎにくい | 編集用データが残っているか |
| VRoidで3D制作途中 | 状態次第 | .vroidが残っているか |
一番引き継ぎやすいのは、「ここから先の工程をまだ始めていない」状態です。
例えば、イラストとパーツ分けまでは自分で終え、Live2Dの動き付けだけ依頼する形です。
実際に、この形式でモデリングのみを受け付けている制作者は多数います。
イラストまで自作したなら、パーツ分けから依頼できることがある
キャラクターの一枚絵までは完成したものの、目、口、髪などを分けていない。
この段階でも、そこで自作をやめて依頼へ切り替えられる場合があります。
Live2Dでは、一枚のイラストをそのまま動かすのではなく、目、まつ毛、口、髪、輪郭、服などを動かす部分ごとに分ける作業が必要です。
これを「パーツ分け」や「素材分け」と呼びます。
一枚絵からパーツ分けまで対応する制作者もいれば、「パーツ分け済みPSDのみ受付」という制作者もいます。
したがって、一枚絵しかない場合は「Live2Dモデリングをお願いします」ではなく、
「このイラストからパーツ分けを含めてお願いできますか」
と相談する方が話が早くなります。
また、顔を横へ向けたときに見える部分など、一枚絵では描かれていない部分を描き足す必要が出ることがあります。
自分で描けるなら追加してもよいですし、加筆までできる制作者へまとめて頼む方法もあります。
パーツ分け済みPSDまで作ったなら、かなり依頼しやすい
Live2Dを自作しようとしてパーツ分けまで終えたものの、モデリングで難しくなった。
この段階は途中依頼へ切り替えやすいところです。
「持ち込みPSDからモデリングのみ」という依頼方法が実際にあります。
ただし、自分ではパーツ分けが完成したと思っていても、そのまま希望する動きを付けられるとは限りません。
例えば、
髪をもっと細かく揺らしたい。
顔を大きく横へ向けたい。
腕を動かしたい。
口を細かく動かしたい。
という場合、現在のパーツ分けでは足りないことがあります。
そのため、依頼前にPSDを見てもらい、「このまま使える部分」「追加で分ける部分」「描き足しが必要な部分」を確認してもらうのが現実的です。
ここで大切なのは、自分でパーツ分けを完成させてから依頼しなければならないと思わないことです。
途中状態で一度見てもらった方が、不要な作業を増やさずに済む場合があります。
Live2Dモデリング途中でも引き継げる場合がある
すでにLive2D Cubismで顔や目などを途中まで動かしている場合も、別のモデラーが続きを作れることがあります。
このとき重要になるのが.cmo3というファイルです。
.cmo3はLive2D Cubism Editorでモデルを作ったり編集したりするときに使うモデルデータです。
自分で制作しているなら、まずこのファイルが残っているか確認します。
加えて、元になったPSDも残しておきます。
Live2Dでは、モデル制作中でもPSDを追加したり、修正したPSDへ差し替えたりできます。
そのため、不足パーツを後から追加して作業を続けること自体は可能です。
ただし、ここからは「ファイルが開けるか」だけで判断できません。
.cmo3があっても、そのまま続きを作るとは限らない
Live2Dモデルには、パーツ名、メッシュ、変形させるための仕組み、親子関係、動きの設定など、多くの制作情報が入っています。
作り方はモデラーによって違います。
そのため、新しく依頼された人が途中データを開いた結果、
「この部分はそのまま使える」
「顔だけ作り直した方がよい」
「構造から直すより、一からモデリングした方が早い」
と判断することがあります。
実際、他の制作者が作ったモデルの改修を受け付けているサービスでも、.cmo3とPSDを確認してから見積もり、大幅なリメイクでは通常のモデリングと同程度になる場合があります。
途中まで自分で作ったからといって、依頼料金も必ず半分になるわけではありません。
「自分が50%作ったから、残り50%だけ払えばいい」とは考えない方がよいでしょう。
残した部分を理解し、直しながら続ける方が、一から作るより時間がかかる場合もあります。
.moc3しかない場合は話が変わる
ファイル名が似ているので、ここは特に注意が必要です。
.cmo3は制作・編集するためのモデルデータです。
一方の.moc3は、完成したモデルを配信アプリなどで使用するために書き出したデータです。
VTube Studioなどへモデルを入れたことがある人なら、.moc3や.model3.jsonなどが入ったフォルダを持っていることがあります。
しかし、これは元のモデリング作業をそのまま再開するための編集用データとは役割が違います。
そのため、
「VTube Studioではモデルが動いているから、このフォルダを渡せば続きを作ってもらえる」
とは限りません。
自作中なら、配信用フォルダだけを保存するのではなく、.cmo3と元のPSDを残しておくことが重要です。
PSDも「完成版だけ残せばいい」とは限らない
Live2D公式では、素材を編集するためのPSDと、Live2Dへ読み込むためのPSDを分けて管理する方法が紹介されています。
例えば、自分で髪をパーツ分けするとき、切り抜く前のレイヤーやマスクまで残っているデータがあれば、後から修正しやすくなります。
一方、Live2Dへ読み込むために全部整理・結合したPSDしか残っていないと、追加加工に手間がかかることがあります。
途中で依頼へ変える可能性が少しでもあるなら、
「作業用の元データ」
「Live2Dへ読み込んだPSD」
「現在の.cmo3」
を上書きして一つにしてしまわず、残しておく方が引き継ぎやすくなります。
途中データを渡す前に「完成部分」を説明する
ファイルだけ送って、
「途中まで作ったので続きをお願いします」
では、新しい制作者もどこから触ればよいのか分かりません。
例えば、
目の開閉までは完成。
口は途中。
顔の左右はまだ。
髪揺れは未着手。
このパーツは作ったが、うまく動かない。
ここだけは今の動きを残したい。
という情報があるだけでも判断しやすくなります。
うまく説明できない場合は、現在のモデルを動かした動画を送る方法もあります。
「どこまで完成したか」より、「何を残したいのか」「どこから任せたいのか」を伝えた方が見積もりしやすくなります。
途中のモデルにこだわらず、作り直した方がいい場合もある
せっかく自分で作ったのだから、全部残したくなるかもしれません。
しかし、必ずしも引き継ぐことが得とは限りません。
例えば、
パーツ分けから大きく不足している。
顔の構造を作り直さないと希望する動きにならない。
モデリングの親子関係やパラメータ構成を大きく変更する必要がある。
自分でも何をどう作ったのか分からなくなっている。
こうした状態なら、一部だけ残して作り直す方が分かりやすくなる場合があります。
依頼するときは、
「このデータを絶対に続きから使ってください」
と決めてしまうより、
「使える部分は残し、難しければ作り直す場合の見積もりも知りたい」
と伝える方が比較できます。
途中まで作った時間を惜しんで、かえって高い修正費を払う必要はありません。
自分で描いたイラストなら話は比較的単純
イラストもLive2Dも全部自分で作っているなら、第三者の作品を勝手に変更する問題は通常ありません。
自分のPSDや.cmo3を制作者へ渡し、続きをお願いできます。
ただし、モデルの中に購入素材や他人が制作した衣装、髪型、装飾などが含まれている場合は別です。
第三者へ制作データを渡せるか、改変できるかを、その素材の利用条件で確認します。
イラストだけ他の人へ依頼していた場合は許可を確認する
「絵はイラストレーターに依頼し、Live2Dだけ自作していた」というケースもあります。
この場合、新しいモデラーへPSDを渡し、必要に応じてイラストへ描き足しやパーツ修正をしてもらうことになります。
元のイラストの契約で、Live2D化や改変、第三者へのデータ共有が認められているか確認してください。
文化庁も、同じキャラクターの別ポーズや衣装などを制作する行為は、著作権上の「翻案」に当たることが多いと説明しています。
実際、モデリングのみを受ける制作者の中にも、イラストレーターから改変許可を取ることを受付条件にしている人がいます。
「自分がお金を払って描いてもらったイラストだから自由に編集できる」とは限りません。
他のモデラーが途中まで作った場合は、さらに確認が必要
自作ではなく、
最初のモデラーへ一部依頼した。
その後、自分でも触った。
別のモデラーへ続きを頼みたい。
というケースでは、最初のモデラーとの契約も確認します。
編集用の.cmo3を持っていても、第三者が改変することまで認められているとは限りません。
実際に他モデラーのモデル改修を受け付けるサービスでも、「元のモデラーによる編集許可」を確認している例があります。
ファイルを持っていることと、別の人へ編集を頼めることは別問題です。
3Dモデルでも「編集用データ」が重要
同じ考え方は3Dにも当てはまります。
例えばVRoid Studioで自作している場合、編集を続けるためのデータは.vroidです。
一方、配信アプリなどで使うために書き出したVRMファイルは、VRoid Studioへそのまま戻して再編集することができません。
VRMはBlenderなど別の3Dソフトで扱うことはできますが、それは「VRoid Studioの途中作業へ戻れる」という意味ではありません。
3Dを途中から依頼したい場合も、
「今動いている3Dファイルがあるか」
ではなく、
「どのソフトで作り、編集用の元データが残っているか」
を先に伝える必要があります。
Blenderなど別の3Dソフトで自作している場合も、同じように元の制作ファイルを残しておくことが重要です。
依頼前に渡せるデータを一度まとめる
途中から依頼するときは、完璧に整理してから相談する必要はありません。
まず今あるものを把握します。
Live2Dなら、元イラスト、作業用PSD、Live2Dへ読み込んだPSD、.cmo3、現在動いている配信用モデルなどです。
3Dなら、使った制作ソフトと編集用ファイル、書き出したVRMなどです。
さらに、現在の動きを撮った動画や「ここから先をお願いしたい」という説明があると判断してもらいやすくなります。
その状態で、
「このデータを使って途中から続けられるか」
「直した方がよい部分はあるか」
「途中データを使う場合と一からモデリングする場合で、どちらが現実的か」
を聞けばよいでしょう。
自作途中から依頼へ変えるなら、完成させようとしすぎなくていい
自作を始めた以上、できるところまで完成させてから人に頼もうと思うかもしれません。
しかし、依頼することを決めたなら、無理に作業を進めない方がよい場合があります。
特にLive2Dでは、途中のPSDやモデリング構造が、その後の作業へ影響します。
自分では正しいと思ってパーツを統合したり、構造を大きく変えたりすると、新しい制作者が修正する作業を増やすことがあります。
「もう自分だけでは難しい」と感じた地点で、一度データを見てもらう。
その結果、
今のPSDから続ける。
パーツ分けだけ直す。
.cmo3の使える部分だけ残す。
最初からモデリングし直す。
という判断をしてもらう方が現実的です。
自作から依頼へ切り替えること自体は失敗ではありません。
重要なのは、途中まで作ったものを無理に全部残すことではなく、今あるデータのうち「次の工程でも使えるもの」を見極めることです。
出典
Live2D|ファイルの種類と拡張子
Live2D|PSDのインポート
Live2D|PSDの再インポート
Live2D|素材分けについて
nizima by Live2D|クリエイター向けオーダーメイドガイド
文化庁|文化芸術活動に関する法的問題についてよくあるご質問
VRoid|VRoid Studioに関するデータのファイル形式について
VRoid|VRMファイルの編集方法/VRMファイルはVRoid Studioで再編集できますか?