VTuberモデルをスマホで動かすと、カクカクする、端末が熱くなる、モデルを読み込んだ瞬間にアプリが落ちることがあります。
このとき、すぐに「スマホの性能不足」「Live2Dモデルが重すぎる」と決めるのは早いです。
最初に確認したいのは、どのタイミングで問題が起きるのかです。
モデルを選んだ瞬間に落ちるのか。
読み込みはできるが動かすと重いのか。
しばらく使ったあとだけ重くなるのか。
さらに、同じスマホで別のLive2Dモデルを動かしたときにも同じ症状が出るかを比べます。
この2つで、モデル側とスマホ側をかなり切り分けられます。
モデルを読み込んだ瞬間に落ちるならテクスチャを先に確認する
VTube Studioでモデルを選択した瞬間にアプリが終了する場合は、モデル側を疑う理由があります。
VTube Studio公式は、iPhone・Android版でモデル読み込み時にすぐクラッシュする場合、大きすぎるテクスチャが原因である可能性を案内しています。
ここでいう「テクスチャ」は、Live2Dモデルの顔、髪、服などの絵をまとめて配置している画像です。
VTube Studio公式では、16Kのテクスチャや4Kテクスチャを3枚以上使用するモデルは、多くのスマートフォンには重すぎるとしています。
また、通常は4Kテクスチャ1~2枚程度で十分という目安も示しています。
ただし、これはVTube Studioがスマホ版について示している目安です。
すべてのLive2D対応アプリや、すべてのスマートフォンに共通する上限値ではありません。
PCでは動くのにスマホだけ落ちるならモデルが正常とは言い切れない
パソコン版では普通にモデルを使えるのに、スマホでは読み込み時に落ちることがあります。
この状態を見ると、
「PCで正常だからモデルには問題がない」
と思うかもしれません。
しかし、パソコンとスマホでは利用できるメモリや描画能力が違います。
大きなテクスチャなど、PCでは処理できてもスマホには負荷が大きすぎる要素があります。
そのため、
PCでは正常
スマホではそのモデルだけ落ちる
という場合は、スマホで使うことを想定した軽量化が必要か確認します。
同じスマホで別のモデルを動かして比較する
一番簡単な切り分け方法は、同じ端末・同じアプリ設定で別のモデルを使うことです。
たとえば、
VTube Studioの公式モデルは正常
以前使っていた軽いモデルも正常
新しいモデルだけカクつく、または落ちる
という状態なら、スマホそのものより新しいモデル側を確認する理由が強くなります。
逆に、
どのモデルでも重い
公式モデルでも同じようにカクつく
のであれば、モデルを作り直す前にスマホやアプリの設定を確認します。
「このスマホは古いからだろう」「新モデルが豪華だからだろう」と予想するより、同じ条件でモデルだけ入れ替える方が原因を絞りやすくなります。
読み込みはできるが動かすと重いならテクスチャだけが原因とは限らない
モデルは読み込めるものの、動かすとフレームが落ちる場合があります。
この場合は、テクスチャだけでは判断できません。
Live2Dモデルは、顔や髪などを「アートメッシュ」と呼ばれる描画単位で表示しています。
さらに、
クリッピング
ブレンド方式
デフォーマ
ポリゴン
一つのパーツに設定された複数の動き
などが組み合わさっています。
クリッピングとは、たとえば「瞳を白目の中だけに表示する」といった表示範囲を制限する仕組みです。
Live2D公式では、テクスチャやブレンド方式、クリッピングの切り替えが多いモデルでは、描画性能に影響する場合があると説明しています。
また、アートメッシュ、ポリゴン、デフォーマなどの数や構造も負荷へ影響します。
「パーツが多い=重い」とは決められない
高価格なVTuberモデルでは、髪や衣装が細かく分かれているため、
「パーツ数が多いから重いのでは?」
と考えやすいところです。
パーツやアートメッシュが増えることは負荷要因の一つです。
しかし、Live2D公式は、パラメータ数やパーツ数だけから一律の性能目安を示すことはできないとしています。
モデルを動かす端末の性能だけでなく、
テクスチャの大きさと枚数
クリッピング
ブレンド方式
一つのパーツに設定された動きの数
モデル内部の親子構造
なども影響するからです。
したがって、
「500パーツだから大丈夫」
「1,000パーツだから重い」
のような判断はできません。
新しいLive2D表現を多く使うモデルは別の負荷も見る
最近のLive2D Cubismでは、より複雑な見た目を作る機能も増えています。
たとえば、高度なブレンドモードやオフスクリーン描画です。
普通の日本語でいえば、光や色を複雑に重ねたり、パーツをいったん別の場所で描画してから合成したりする仕組みです。
Live2D公式は、これらは従来の機能より描画負荷が大きくなると説明しています。
特にオフスクリーン描画は、使用数や階層によってフレームレートだけでなくメモリ使用量にも影響します。
豪華なモデルだから必ず重いわけではありませんが、こうした処理を多数使ったモデルでは、スマホなど制約の大きい環境で確認する意味があります。
ファイル容量だけ見てもモデルの重さは判断できない
納品されたモデルフォルダを見て、
「300MBもあるから重い」
と判断したくなることがあります。
しかし、フォルダ全体の容量だけでは実際の描画負荷は分かりません。
配信用フォルダに、
使っていない画像
説明画像
表情ファイル
アイコン
などが含まれている場合もあります。
反対にファイル容量が小さくても、描画時の切り替えや複雑なモデル構造によって負荷が出ることがあります。
まず見るべきなのは、フォルダ全体のMB数より、テクスチャの解像度・枚数と実際の動作です。
長時間後だけ重くなるならスマホ側の発熱も分けて考える
起動直後は問題ないのに、30分、1時間と使っているうちに端末が熱くなり、モデルがカクつくことがあります。
この場合は、
「最初からモデルを処理できない」
状態とは分けます。
VTube Studio公式も、スマートフォンが長時間の使用で熱くなることについて案内しています。
特にスマホ側で、
Live2Dモデルを表示する
カメラ映像を表示する
顔を認識する
といった処理を同時に行えば負荷が増えます。
そのため、最初は正常で端末が熱くなってから悪化する場合は、モデル軽量化だけでなくスマホ側の処理を減らして変化を見る必要があります。
PCへ顔認識だけ送りたいならスマホでモデルを表示しない
スマートフォンで顔を読み取り、そのデータをパソコン版VTube Studioへ送って配信する方法があります。
この使い方なら、スマホ側でLive2Dモデルそのものを表示しておく必要はありません。
VTube Studio公式も、PCへ顔認識データを送る場合はスマホ側のモデルを外すことで負荷を減らせると案内しています。
カメラプレビューも消せます。
VTube Studioには、これらをまとめて切り替える「ストリーミングモード」もあります。
この状態にすると問題が消えるなら、
「このスマホではモデルを表示しながら顔認識する負荷が大きかった」
と切り分けられます。
モデルそのものを軽量化する必要がない可能性もあります。
アンチエイリアスを切って変化を見る
VTube Studioには、モデルの輪郭を滑らかに表示するアンチエイリアスという設定があります。
見た目をきれいにする代わりに描画負荷が増えます。
VTube Studio公式でも、スマートフォンではアンチエイリアスを推奨していません。
モデルは正常に読み込めるが動きが重い場合は、一度OFFにして違いを確認します。
これで改善するなら、まず設定側で負荷を下げられます。
FPSを下げて軽くなるなら描画負荷を疑う
FPSとは、1秒間に画面を何回描き直すかを表す数字です。
高ければ動きが滑らかになりますが、その分だけ端末は多く描画します。
VTube StudioではアプリのFPSを設定できます。
高いFPSから下げると明らかに軽くなる場合は、端末側の描画負荷が関係していると考えやすくなります。
「60FPSで重いが30FPSなら問題なく動く」なら、モデルが完全に壊れているわけではありません。
端末とモデルの組み合わせで処理能力に余裕がない状態と考えます。
顔認識のFPSとモデル表示のFPSは別
スマートフォンでは、顔を読み取る速さと、Live2Dモデルを画面へ描画する速さは別に設定されます。
VTube Studio公式でも、顔認識カメラのFPS設定はアプリ自体の描画フレームレートとは別だと説明しています。
そのため、
「モデルがカクつくから顔認識のFPSだけ下げれば必ず直る」
とも限りません。
何を下げたら改善したのかを一つずつ確認します。
画質を下げれば済む問題とモデル修正が必要な問題を分ける
設定を変更して問題なく動くなら、そのまま使う選択肢があります。
たとえば、
アンチエイリアスOFFなら正常
FPSを下げれば正常
スマホ側のモデル表示を消せば正常
という場合です。
一方、
そのモデルを選択するだけでアプリが落ちる
別の軽いモデルは同じスマホで問題なく動く
画質設定を下げても新しいモデルだけ極端に重い
なら、モデル制作者へ軽量化を相談する理由があります。
制作者へ最初に確認したいのはテクスチャ
スマホでモデルを読み込んだ直後に落ちる場合は、制作者へテクスチャについて確認します。
たとえば、
「PC版では正常ですが、スマホ版VTube Studioでこのモデルを読み込むとアプリが終了します。テクスチャの解像度と枚数を確認していただけますか」
という伝え方です。
VTube Studio公式は、スマートフォンでは特に大きなテクスチャがクラッシュ要因になり得ると案内しています。
制作者側で小さいテクスチャへ書き出し直すだけで対応できる場合もあります。
ただし、自分で元データを持っていない場合は、ファイルを勝手に縮小するより制作者へ相談した方が安全です。
テクスチャを小さくすると画質は必ず悪くなる?
テクスチャの解像度を下げると、理屈の上では画像の情報量は減ります。
しかし、必要以上に大きなテクスチャを使用している場合、スマホ画面や通常の配信サイズでは見た目の差がほとんど分からないこともあります。
VTube Studio公式も、スマートフォンで過大なテクスチャを使用しても表示品質の向上につながらないとして、小さく書き出すよう案内しています。
大切なのは「一番大きい画像を使うこと」ではなく、実際に表示する大きさに対して十分な解像度を使うことです。
テクスチャを直しても重いならモデル構造を見る
テクスチャを適正化しても動作が重い場合は、次にモデル内部の描画負荷を確認します。
Live2D公式が負荷要因として挙げているのは、
アートメッシュの数
ポリゴンの数
デフォーマの数
デフォーマの階層
一つのパーツに設定された動きの数
クリッピング
ブレンド方式
などです。
さらにCubism 5.3以降の高度なブレンドやオフスクリーン描画を多く使うモデルでは、その使用数や階層も確認対象になります。
この段階は利用者がVTube Studioの設定だけで直す部分ではありません。
モデル制作者へ、
「スマホ利用を前提にモデル側の負荷を確認できますか」
と相談します。
「軽量化版」を作ってもらう方法もある
PCでは高画質版を使い、スマホ用に軽量版を用意する方法も考えられます。
たとえば、
テクスチャを小さくする
不要な高負荷表現を減らす
スマホでは使わない差分を整理する
といった対応です。
必ず一つのモデルデータをPCとスマホの両方で同じ条件にする必要はありません。
特に「PC配信では問題ないが、スマホ単体配信でも使いたい」という場合は、どちらの環境を優先するか制作者へ伝えます。
Live2D公式も、モデルを実際に使用する環境の中で、制約が厳しい環境を想定して制作・確認することを推奨しています。
モデルが重すぎるかは症状の出るタイミングで判断する
VTuberモデルがスマホで重い・落ちるときは、「豪華なモデルだから重い」「スマホが古いから仕方ない」と最初から決めない方が原因を見つけやすくなります。
モデルを読み込んだ瞬間に落ちるなら、まずテクスチャを確認します。
同じスマホで他のモデルは正常なのに、一つのモデルだけ重いならモデル側を確認する理由が強くなります。
どのモデルでも長時間後に熱くなって重くなるなら、スマホ側でモデル表示やカメラプレビューなど余計な処理をしていないか確認します。
読み込みはできるが動かすと重い場合は、アンチエイリアスやFPSなど設定を下げて比較し、それでも特定モデルだけ重いならモデル構造の軽量化を相談します。
つまり、
「モデルのファイル容量が大きいか」
だけではありません。
「いつ問題が出るか」「他のモデルならどうか」「設定を下げたら変わるか」
の3つを比べることで、スマホを買い替える前にモデル側を直すべきか、設定変更で使えるのかを判断しやすくなります。
出典
VTube Studio|FAQ
VTube Studio|Loading your own Models
VTube Studio|VTube Studio Settings
VTube Studio|Introduction & Requirements
Live2D|SDKでモデルを扱うときのパフォーマンスについて
Live2D|Cubism 5.3 新機能を使用したモデル制作時の注意点
Live2Dクリエイターズフォーラム|Unityで動かす上でのLive2Dパラメータ数やパーツ数の目安
Live2DViewerEX|最適化