VTuberモデルの口が閉じない、目が半開きになる、笑っていないのに笑顔になる。
こうした症状が出たとき、最初から「Live2Dモデルの作りがおかしい」と決めつける必要はありません。
原因は大きく、
顔の読み取り
VTube Studioの設定
表情・アニメーションによる上書き
Live2Dモデルそのもの
に分かれます。
判断するときに重要なのは、見た目だけを見るのではなく、自分の顔を動かしたときにVTube Studioの数値がどこまで正常に動いているかを順番に見ることです。
最初に「自分の顔を正しく読めているか」を見る
口がおかしいなら、まず自分が口を開閉したときに、VTube Studioが読み取っている「口の開き」の値が変化しているか確認します。
目なら、左右の目を開けたり閉じたりしたときに、それぞれの目の開閉値が動くかを確認します。
この時点ですでに、
口を閉じても値が下がらない
目を開けているのに閉じた値になる
片目だけ大きく数値が飛ぶ
といった状態なら、まだLive2Dモデルの形を疑う段階ではありません。
カメラや顔トラッキング、キャリブレーション側から確認します。
PCやカメラを変えた後ならキャリブレーションをやり直す
VTube Studioにはカメラのキャリブレーションがあります。
Webカメラを使う場合は、正面を向き、普段の自然な表情で行います。
ここで口が少し開いていたり、目を細めていたりすると、その状態を基準に調整してしまう可能性があります。
以前は正常だったモデルが、
PCを変えた
カメラを変えた
トラッキング方法を変えた
あとからおかしくなったのであれば、まずキャリブレーションから確認します。
片目だけおかしいなら「両目の連動」も確認する
目の問題では、
片目だけ勝手に閉じる
横を向くと片目が閉じる
ウインクがうまく取れない
ということがあります。
VTube Studioには、左右の目の開閉を連動させる設定があります。
横を向いて片目がカメラから見えにくくなったとき、見えている側の目を使って両目の開閉を制御する方法もあります。
正面では正常なのに横を向いたときだけ目がおかしくなるなら、Live2Dモデルを直す前にこの設定を確認します。
読み取り値は正常なのにモデルの動きが弱いなら割り当てを見る
自分が口を大きく開けると、VTube Studio側でも口を開いた値までしっかり動いている。
しかしモデルではほとんど口が開かない。
この場合は、顔の読み取りより、その値をモデルへどう渡しているかを確認します。
VTube Studioでは、
自分の顔から取得する入力値
Live2Dモデルへ渡す出力値
を対応させています。
たとえば口なら、顔から読み取った「口の開き」を、Live2Dモデルの「口の開閉」へ割り当てます。
この出力範囲が狭ければ、自分では大きく口を開けてもモデルは少ししか開かないことがあります。
反対に広すぎれば、少し口を開いただけでモデル側が大きく開きすぎることがあります。
口が閉じない場合は「閉じたときの値」を先に見る
口の問題でよくあるのが、
しゃべっていないのに半開き
口を閉じてもモデルの口だけ少し開いている
という症状です。
まず自分が完全に口を閉じた状態で、VTube Studioが認識している口の開きの値を見ます。
そこで数値自体が高いなら、入力側の基準や感度を調整する余地があります。
入力値はきちんと閉じた状態になっているのに、モデルだけ半開きなら、次に出力設定や表情設定を確認します。
この順番なら、原因のないところを何度も調整せずに済みます。
口がピクピクするならスムージングを見る
口や目が細かく震えるように動く場合があります。
この場合、カメラが取得した細かな数値変化を、そのままモデルへ反映しすぎている可能性があります。
VTube Studioでは、動きを滑らかにする「スムージング」を調整できます。
スムージングを強めると細かな震えを減らせます。
ただし、強くしすぎると自分が口や目を動かしてからモデルが反応するまでに遅れが出ます。
「震えを消すために最大まで上げる」のではなく、揺れが気にならなくなるところまで調整します。
数値が動いているのに口・目が動かないなら別の設定に上書きされていないか見る
VTube Studioの設定画面ではパラメータの値が動いている。
それなのにモデルの口や目は動かない。
この場合は、顔トラッキング以外の機能が同じLive2Dパラメータを動かしていないか確認します。
VTube Studioでは、
顔トラッキング
アニメーション
表情
物理演算
などが同じLive2Dパラメータに影響する場合があります。
たとえば表情ファイルで口の値を固定していると、顔トラッキングで口を閉じても、表情側の設定が優先されることがあります。
症状が出たら一度、現在オンになっている表情やアニメーションを解除して確認します。
特定の表情を出したときだけ口が閉じないなら表情ファイルを疑う
通常の顔では口が正常に閉じる。
しかし「笑顔」「怒り」「照れ」などをオンにすると口が半開きになる。
この場合は、カメラや口の感度より表情設定を確認した方が早くなります。
Live2D公式では、表情の「口 開閉」の値を半開きに設定していると、リップシンクしても完全に口が閉じなくなることがあると説明しています。
つまり、
通常時は正常
特定の表情だけ異常
なら、モデル全体のトラッキング設定を変更する前に、その表情に「口の開閉」が含まれていないかを確認します。
表情を出すと目が閉じない場合も同じ考え方
驚いた顔などで目を大きく開く表情を作るとき、目の開閉パラメータ自体を表情に含めることがあります。
その設定によっては、表情中にまばたきをしても目が完全に閉じなくなる場合があります。
反対に、目を細める表情の値が強すぎると、通常のまばたきまで不自然に見えることがあります。
通常時には正常にまばたきできるのに、特定の表情だけ目がおかしいなら、VTube Studio全体の目の感度を変更する前に、その表情の設定を確認します。
笑うと目まで勝手に細くなるなら割り当ても見る
口を笑顔にしただけなのに、目まで笑顔目になることがあります。
これはLive2Dモデル側で意図的に連動させている場合もありますが、VTube Studioの入力と出力の設定によって起きる場合もあります。
VTube Studioでは、「笑っている度合い」といった顔の読み取り値を、どのLive2Dパラメータへ渡すか設定できます。
笑顔の入力が、
口の形
目の笑顔
の両方へ割り当てられていれば、口元を笑わせたときに目も変わります。
それが意図した仕様なのか、不要な割り当てなのかを確認します。
新しいモデルなら自動設定が正しく割り当てているか見る
VTube Studioでは、新しくモデルを読み込んだときに自動設定を行えます。
Live2Dの標準的なパラメータ名・IDで制作されているモデルなら、自動的に目や口などを対応させられます。
しかし、制作者が独自のパラメータ名やIDを使っているモデルでは、自動設定だけでは正しく割り当てられない場合があります。
購入・納品直後から、
口だけまったく動かない
目だけ反応しない
別の部分が動く
のであれば、モデルそのものの不具合と決めつける前に、VTube Studio側の入力と出力の対応を確認します。
自分の顔の読み取りも出力も正常ならLive2Dモデル側を疑う
ここまで確認して、
自分の口を閉じれば入力値も閉じる
出力するLive2Dパラメータも正しく動く
表情やアニメーションにも上書きされていない
それでも口の形がおかしい
という場合です。
ここで初めて、Live2Dモデル内部の作りを疑います。
Live2Dでは、「口 開閉」などのパラメータに対して、閉じた形・開いた形などをモデラーが制作します。
そのため、数値が正しく0から1へ動いていても、モデル側で作られた形そのものがおかしければ、VTube Studioの感度調整だけでは直せません。
目も「値は正しいのに形がおかしい」ならモデリング修正になる
目についても同じです。
VTube Studioでは、
目を開いたときは開いた値
目を閉じれば閉じた値
まで正常に変化している。
しかし、
閉じたときにまぶたがずれる
目の線が崩れる
片目だけ形が変になる
のであれば、入力設定よりLive2D側の形を確認する段階です。
この場合、編集用のcmo3を使ってモデラーが修正する内容になる可能性があります。
マイクを使ったリップシンクをオンにしたときだけ変なら別に確認する
VTube Studioには、カメラによる口の読み取りだけでなく、マイクの音を使ったリップシンク機能もあります。
対応したモデルでは、音量や声の成分から口の開きや「あ・い・う・え・お」の形を動かすこともできます。
そのため、
カメラだけなら口は正常
マイクによるリップシンクをオンにすると不自然
という場合は、通常の口トラッキング設定ではなく、リップシンク側を確認します。
音量・声の成分の影響を強くしすぎていないか。
必要なLive2Dパラメータへ正しく割り当てられているか。
マイクをオフにした状態との違いを見ると原因を分けやすくなります。
「前は正常だった」のか「最初からおかしい」のかも重要
同じ症状でも、いつから起きたかで確認先が変わります。
納品された最初から口の形がおかしいなら、
VTube Studioの初期設定
モデル側のモデリング
の両方を確認します。
以前は正常だったのに、
PCを変えた
カメラを変えた
VTube Studioの設定を変更した
表情を追加した
あとからおかしくなったのであれば、その変更箇所から確認した方が早くなります。
特に別PCへ移行した場合、モデルファイルは同じでもVTube Studio側の設定状態が以前と違うことがあります。
原因は「入力→出力→モデル」の3段階で見る
口・目・表情がおかしいときは、次の順番で見れば原因をかなり絞れます。
| 確認した状態 | 主に見る場所 |
|---|---|
| 自分の顔と入力値が一致しない | カメラ・顔トラッキング・キャリブレーション |
| 入力値は正常だが出力が極端 | VTube Studioの割り当て・範囲・スムージング |
| 特定の表情中だけおかしい | 表情・アニメーションの上書き |
| マイク使用時だけ口がおかしい | 音声リップシンク設定 |
| 出力値まで正常なのに形が崩れる | Live2Dモデル側のモデリング |
最初から数値を片っ端から変更する必要はありません。
「どこからおかしくなるか」を一段ずつ見る方が安全です。
モデラーへ修正依頼する前に確認結果を伝える
Live2Dモデル側の問題だと思ったら、モデラーへ、
「口がおかしいです」
だけで伝えるより、確認した結果まで伝えます。
たとえば、
「口を閉じるとVTube Studioの入力値は閉じた状態になります。出力の口開閉パラメータも0まで動いていますが、モデルの口だけ完全に閉じません」
という形です。
あるいは、
「通常時は正常ですが、笑顔の表情をオンにしたときだけ目が閉じなくなります」
と伝えます。
これなら、VTube Studio設定を見るべきなのか、表情ファイルを見るべきなのか、cmo3を開いてモデルを直すべきなのかをモデラー側も判断しやすくなります。
口・目・表情がおかしいときは最初にモデルを作り直そうとしない
VTuberモデルの動きに違和感があっても、すべてがLive2Dモデル本体の不具合とは限りません。
顔の読み取り。
入力と出力の対応。
感度や滑らかさ。
表情による上書き。
音声リップシンク。
その先に、Live2Dモデルそのものがあります。
特に重要なのは、
「自分の顔を正しく読み取れているか」
「その値が正しくLive2Dパラメータへ渡っているか」
「渡った値に対してモデルの形が正しく変わるか」
の3段階です。
入力からおかしければトラッキング側。
入力は正常で出力がおかしければVTube Studio設定。
数値はすべて正常なのに見た目だけ崩れるならLive2Dモデル側。
この順番で確認すれば、自分で設定を直せる問題なのか、モデラーへ修正を依頼する問題なのかを判断しやすくなります。
出典
DenchiSoft|VTube Studio Wiki「Getting Started」
DenchiSoft|VTube Studio Wiki「VTS Model Settings」
DenchiSoft|VTube Studio Wiki「VTube Studio Settings」
DenchiSoft|VTube Studio Wiki「Interaction between Animations, Tracking, Physics, etc.」