VTuberモデルのバックアップは、完成したモデルのファイルを1個だけ保存すれば終わりではありません。
PCが壊れたあとに同じ状態で配信を再開したいなら、モデル本体だけでなく、VTube Studioで設定した動きや表情切り替えまで残しておく必要があります。
さらに、将来モデルを修正したいなら、Live2Dの編集用データや元イラストも別に必要です。
考え方としては、
「今の配信を復旧するためのデータ」
と、
「後からモデルを作り直すためのデータ」
を分けて保存すると分かりやすくなります。
PC故障から配信を戻すならモデルフォルダを丸ごと残す
現在使っているVTuberモデルを、新しいPCでも同じように使いたい場合です。
VTube Studioで使うLive2Dモデルは、一つのファイルだけで動いているわけではありません。
モデル本体のmoc3、モデルの各データを結び付けるmodel3.json、画像であるテクスチャ、物理演算設定など、複数のファイルで構成されています。
表情やアニメーションを追加しているモデルでは、それらのデータも使います。
そのため、PC故障に備えるなら、
「moc3だけコピーする」
より、
「VTube Studioで使っているモデルのフォルダを丸ごとコピーする」
方が分かりやすく、抜けを防ぎやすくなります。(GitHub)
特に忘れたくないのがVTube Studioの設定ファイル
モデル本体とは別に重要なのが、VTube Studioで自分用に調整した設定です。
VTube Studioでは、モデルごとの設定を、
モデル名.vtube.json
というファイルへ保存します。
ここには、モデルの設定情報が保存されます。
たとえば、顔の動きとLive2Dモデルの動きをどう対応させるかという設定や、表情を切り替えるホットキーなどです。(GitHub)
このファイルを失ってもLive2Dモデルそのものが消えるわけではありません。
しかし、新しいPCで設定をやり直す手間が発生する可能性があります。
長期間使いながら細かく調整したモデルほど、この設定を失ったときの影響が大きくなります。
そのため、モデルフォルダ内にある.vtube.jsonも含めて丸ごとバックアップします。
VTube Studioの自動バックアップだけではPC故障対策にならない
VTube Studioには設定データの自動バックアップがあります。
モデル設定を変更すると保存され、変更されたモデルについては定期的に安全用コピーも作られます。(GitHub)
これは、
設定を変えたらおかしくなった
ファイルを誤って編集した
といったトラブルでは役立ちます。
しかし、VTube Studioの自動バックアップも同じPC側に保存されているなら、
SSDが故障した
PCが起動しなくなった
PCを紛失した
といった場合には、元データとバックアップを一緒に失う可能性があります。
アプリ内の自動バックアップと、PCとは別の場所へ保存するバックアップは分けて考えます。
後からモデルを修正するならcmo3も別に残す
現在のモデルをそのまま配信するだけなら、通常は配信用のデータを使います。
しかし、将来、
顔の動きを作り直す
可動域を広げる
髪や服の揺れを修正する
別のモデラーへ引き継ぐ
といった変更をしたくなるかもしれません。
そのとき重要になるのが、Live2D Cubism Editorでモデルを編集するためのcmo3です。
cmo3は制作・編集用のモデルデータで、moc3はアプリなどで使用するために書き出したモデルデータです。(Live2D)
そのため、
配信用フォルダが残っている
moc3も残っている
という状態でも、cmo3を失えば元のモデリング作業をそのまま続けることが難しくなります。
cmo3を納品されている人は、配信用フォルダとは別に保存しておきます。
cmo3をもらっていない人は無理に探す必要はない
VTuberモデルを依頼した人の中には、最初からcmo3を納品されていない人もいます。
その場合は、自分のPCを探しても当然見つかりません。
まず依頼時の納品内容を確認します。
元モデラーがcmo3を保管しているなら、将来の修正をその人へ依頼できる場合があります。
必要なら、
cmo3を後から納品してもらえるか
別のモデラーへ渡すことが認められているか
を確認します。
「バックアップしなければ」と思っても、契約上自分が受け取っていないデータまで勝手に取得できるわけではありません。
新衣装や髪型変更を考えるならPSDも重要
Live2Dの元データだけ残しても、将来すべてを変更できるとは限りません。
新しい衣装を作る。
髪型を変える。
新しいアクセサリーを追加する。
元イラストのパーツを描き直す。
こうした変更では、イラスト側のデータも重要になります。
Live2D公式では、モデル制作時に、後から編集しやすい「素材分け用PSD」と、Cubismへ読み込むための「インポート用PSD」を分けて管理する方法を案内しています。(Live2D)
また、PSDを再度読み込むことで、既存パーツの変更や新しいパーツの追加をモデルへ反映できます。(Live2D)
そのため、PSDを納品されているなら、これも重要なバックアップ対象です。
PSDは一つだけとは限らない
自分でモデルを制作している場合は、PSDを一つだけ残せばよいとは限りません。
Live2D公式では、
素材分け用PSD
インポート用PSD
を分ける方法を案内しています。
素材分け用PSDは、線画や塗り、レイヤー構造などを残して後から編集しやすくする側のデータです。
インポート用PSDは、Live2D Cubismへ読み込みやすいよう、各パーツを整理したデータです。(Live2D)
自作モデルなら、将来の描き直しまで考えて両方残しておく意味があります。
依頼モデルの場合は、契約上納品されているものだけを保存します。
Cubismの自動バックアップも外部保存の代わりにはならない
Live2D Cubism Editorにも自動バックアップ機能があります。
現在の公式マニュアルでは、PRO版について、既定では5分ごとに自動保存し、バックアップ総量が一定量を超えると古いものから削除される仕組みになっています。(Live2D)
これは制作途中にCubismが落ちた場合などには便利です。
しかし、こちらもPC内だけにある状態なら、
PC故障
ストレージ故障
盗難
などへの備えにはなりません。
制作中の自動バックアップとは別に、完成したcmo3やPSDをPC外へ保存します。
購入した素材も元データを残しておく
VTuberモデルでは、
衣装素材
髪型素材
アクセサリー
表情素材
背景や配信用アイテム
などを購入して使う場合があります。
こうした素材についても、再ダウンロードできるとは限りません。
販売終了やショップ閉鎖が起きる可能性もあります。
そのため、手元に保存することが利用条件上認められている購入素材は、購入時の元ファイルも保管しておくと安心です。
ただし、購入素材のバックアップを他人と共有してよいという意味ではありません。
自分用の保存と、第三者への提供は別の問題です。
利用規約や依頼時のやり取りも残しておく
モデルファイルそのものではありませんが、長期間VTuber活動をするなら、権利関係が分かる資料も残しておいた方が後で判断しやすくなります。
たとえば、
依頼時の利用規約
著作権の扱い
商用利用の条件
グッズ利用の条件
別モデラーによる修正の可否
購入素材の利用条件
などです。
数年後に、
この衣装を別の絵師へ直してもらってよいか
このモデルでグッズを作ってよいか
cmo3を別のモデラーへ渡してよいか
と確認したくなったとき、データだけ残っていても契約内容が分からなければ判断できません。
ファイルと一緒に、後から利用条件を確認できる資料も保管しておくと整理しやすくなります。
自分で作ったモデルなら制作途中の版も残す価値がある
自作している場合は、完成版だけではなく、節目ごとの制作データを残しておく方法もあります。
たとえば、
初期モデリング完成時
表情追加前
新衣装追加前
大幅修正前
などです。
Live2D公式でも、PSDについて別名保存し、更新時に番号を変えて管理する方法を案内しています。(Live2D)
完成版だけを上書きし続けるより、修正前の状態へ戻しやすくなります。
バックアップ先は同じPCの別フォルダでは足りない
ここがPC故障対策では一番重要です。
Cドライブから同じCドライブの別フォルダへコピーしても、SSD自体が壊れれば両方失います。
IPAは重要なデータのバックアップ方法として、
運用中のデータを含め3つ持つ
2種類の異なる媒体を使う
そのうち1つを別の場所へ置く
という「3-2-1ルール」を理想的な方法として紹介しています。(情報処理推進機構)
VTuberモデルなら、たとえば、
普段使うPC
外付けSSDやHDD
クラウドストレージ
のように保存先を分ける考え方です。
高価なモデルや、同じキャラクターで長期間活動する場合ほど、一か所だけに置かない意味が大きくなります。
クラウドだけに頼る必要もない
クラウドストレージは、PCそのものが故障してもデータが別の場所に残る点で便利です。
WindowsではWindows BackupからOneDriveへ指定フォルダを同期でき、Microsoftも外付けドライブとクラウドの両方をバックアップ方法として案内しています。(Microsoft サポート)
Macでも、AppleはTime Machineを使った外付けストレージへの自動バックアップを提供しています。(Appleサポート)
ただし、重要なのはサービス名ではありません。
PCだけ。
外付けドライブだけ。
クラウドだけ。
という一か所依存を避けることです。
Windowsのバックアップを使っていてもVTube Studioの保存場所を確認する
Windows Backupでは、デスクトップ、ドキュメント、画像、動画、音楽など指定したユーザーフォルダをOneDriveへ保存できます。(Microsoft サポート)
一方、VTube StudioのモデルデータはVTube Studio自身のデータフォルダ内に置かれています。
その場所がWindows Backupで同期しているフォルダの外なら、Windowsのバックアップを設定しただけでVTuberモデルまで自動的に保存されているとは限りません。
VTube Studioの「データフォルダを開く」から実際の保存場所を確認し、モデルフォルダをバックアップ対象へ入れるか、別途コピーしておきます。(GitHub)
一番確実なのは「元の納品物」と「現在使用中」を分けること
モデルを受け取ったら、最初に届いたZIPやフォルダをそのまま残しておく方法があります。
そして、実際にVTube Studioへ入れて設定を変更しているデータとは分けます。
たとえば保存先を、
「納品されたまま」
「現在VTube Studioで使用中」
「編集用cmo3・PSD」
「購入素材・利用規約」
と分けておきます。
こうすると、
設定を壊したので最初の状態へ戻したい
PC故障後に現在の設定まで復元したい
別のモデラーへ元データを渡したい
という目的ごとに使うデータを判断しやすくなります。
PCが壊れた後に確認するのは「モデルがあるか」だけではない
PC故障後、新しいPCへ移行するときは、
モデルが表示される
だけで復旧完了とは限りません。
表情切り替えは動くか。
ホットキーは残っているか。
顔の動きの調整は以前と同じか。
物理演算は正常か。
追加した表情やアニメーションが残っているか。
まで確認します。
VTube Studioではモデルの設定が.vtube.jsonに保存されるため、このファイルを含めたモデルフォルダを残しておくことが重要です。(GitHub)
VTuberモデルは4種類に分けて残すと分かりやすい
バックアップする対象を考えるときは、「拡張子を全部覚える」必要はありません。
まず、今すぐ配信を再開するためのVTube Studioモデルフォルダを丸ごと残します。
次に、VTube Studioで時間をかけて調整した設定も、そのフォルダ内の.vtube.jsonごと残します。
将来修正したいなら、納品されているcmo3やPSDなどの元データを別に保存します。
さらに、購入素材や利用規約、依頼時の契約内容など、後から権利を確認する資料も残します。
そして、これらをPCの中だけに置かないことです。
最低でも、PCとは別の保存先を用意します。
特に失いたくないモデルなら、PC・外付けストレージ・クラウドなど複数の場所に分けておくと、PC故障だけでVTuber活動のデータをすべて失うリスクを下げられます。
VTube StudioやCubismの自動バックアップは便利ですが、PCそのものが壊れたときに備えるバックアップとは役割が違います。
「アプリが保存してくれているから大丈夫」ではなく、「このPCが今日起動しなくなっても別のPCで戻せるか」で考えるのが、VTuberモデルを残すときの基準です。
出典
株式会社Live2D|ファイルの種類と拡張子
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株式会社Live2D|組み込み用データ
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株式会社Live2D|自動バックアップ機能
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株式会社Live2D|素材分けについて
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株式会社Live2D|インポートPSDの作り方
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株式会社Live2D|PSDの再インポート
Live2D公式資料を見る
DenchiSoft|VTube Studio Wiki「Getting Started」
VTube Studio公式Wikiを見る
DenchiSoft|VTube Studio Wiki「VTube Studio Model File」
VTube Studio公式Wikiを見る
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)|日常における情報セキュリティ対策
IPAの資料を見る
Microsoft|Back up and restore with Windows Backup
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