VTuberモデルの納品時には気付かなかったのに、実際に配信で使ってから「髪から顔がはみ出す」「表情がうまく切り替わらない」といった問題に気付くことがあります。
この場合、無料で修正してもらえるかは一律ではありません。
まず分けたいのは、依頼どおりに作られていない「制作上のミス」なのか、完成後に「もっとこうしたい」と思った追加調整なのかです。
さらに、制作者によって納品後14日、1か月、半年などアフターサポート期間を設けていたり、そもそも納品後修正を原則受け付けていなかったりします。
そのため、問題を見つけたら「納品後だからもう無理」「明らかなミスだから当然無料」と決めず、原因と依頼時の条件から確認します。
最初に「依頼内容と違うのか」を確認する
まず、依頼したときの見積もり、商品ページ、メッセージ、確認動画などを見直します。
判断の基準は、一般的なVTuberモデルならどう動くかではありません。
今回の依頼で何を作る約束だったかです。
たとえば、
「照れ・怒り・涙の3表情を実装する」
という依頼だったのに、涙だけ切り替わらないなら、合意した機能が正常に使えていない可能性があります。
一方、表情3種類で依頼して正常に動いているのに、
「使ってみたら青ざめ表情も欲しくなった」
という場合は新しい要望です。
同じ「表情を直してほしい」でも意味が違います。
無料修正を相談しやすいのは制作上の不具合
実際のLive2D制作者の規約では、納品後の通常リテイクは受け付けなくても、制作者側に原因がある不具合なら修正するケースがあります。
たとえば、
顔を動かすとパーツが大きくはみ出す
本来後ろにある髪が顔の前へ出る
表情切り替えのキーが機能しない
パーツの表示順がおかしい
依頼した差分が正常に表示されない
差分を解除しても一部が残る
といった状態です。
こうした問題は、「もっと好みに合わせたい」という変更ではなく、依頼した機能が正常に使用できるかという確認になります。
ただし、どの程度を不具合とするかはモデルの仕様や契約によって変わります。
気付いた時点で制作者へ現象を伝えます。
「もっとこうしたい」はミスとは別に考える
納品後にモデルを使うと、制作中には気にならなかった部分が気になってくることがあります。
たとえば、
髪をもっと大きく揺らしたい
口をもっと大きく開けたい
顔をさらに横へ向けたい
笑顔をもっと派手にしたい
胸や服にも揺れを追加したい
という希望です。
現在のモデルが依頼時の仕様どおり正常に動いているなら、これは制作ミスではなく調整・仕様変更として扱われる可能性があります。
制作者によっては無料修正期間中なら軽い調整まで含める場合もあります。
反対に、不具合以外の納品後修正はすべて有料という規約もあります。
「無料期間だから何でも変更できる」とは考えず、規約で無料修正の対象まで確認します。
新しい表情・衣装・機能の追加は基本的に別の相談
完成後に、
新しい表情を追加したい
新衣装を増やしたい
髪型を増やしたい
手を振るモーションを付けたい
となった場合は、「納品ミスの修正」とは分けて相談します。
依頼時には含まれていなかった制作物だからです。
既存の表情ボタンが動かないので直してほしい場合と、新しい表情ボタンを増やしたい場合では、必要な作業そのものが違います。
後者は追加料金を見積もってもらう形になることがあります。
納品後の無料期間が残っているか確認する
制作上の問題に見えても、アフターサポートに期間を設けている制作者がいます。
実際のLive2D制作では、
納品後14日以内
2週間以内
1か月以内
半年以内
など、条件は統一されていません。
さらに、
期間内で2回まで
5回まで
制作者側の不具合は回数に含めない
制作者側の欠陥は回数無制限
とするケースもあります。
そのため、問題を見つけたら「次の休みにまとめて連絡しよう」と長く置かず、まず規約を確認します。
期限が設定されているなら、原因の特定が終わっていなくても、
「このような現象を確認したので相談したい」
と早めに連絡しておく方が状況を伝えやすくなります。
納品後の変更不可でも「ミスまで直さない」とは限らない
規約に、
「納品後の修正不可」
「納品後のリテイク不可」
と書かれている場合があります。
これだけを見ると、もう何も頼めないように思えます。
しかし実際には、
「納品後のリテイクは不可。ただしこちらに原因があるミスは修正」
と分けている制作者もいます。
ここでいうリテイクとは、完成した内容について「もっとこうしてほしい」と作り直しを求める意味で使われることがあります。
そのため、「納品後修正不可」という一文だけで判断せず、不具合や制作者側のミスについて別の記載がないか確認します。
自分の環境が原因なら無料修正の対象外になることがある
モデルがうまく動かないからといって、必ずLive2Dモデルそのものに問題があるとは限りません。
たとえば、
カメラが顔をうまく認識していない
VTube Studioの設定が合っていない
パソコンの性能が不足している
依頼時と違うトラッキングソフトを使っている
場合があります。
実際の制作者規約でも、
「指定したトラッキングソフト以外は保証しない」
「PCスペックによる不具合は対象外」
としている例があります。
まず、依頼時に使用予定として伝えたソフトで同じ問題が出るか確認します。
制作者から動作確認動画をもらっているなら、その動画でも同じ箇所に問題があるかを見るのも切り分けになります。
ソフト更新後に起きた問題も制作時のミスとは限らない
納品直後は問題なく動いていたモデルが、しばらくして急におかしくなる場合もあります。
この場合は、モデル制作時の不具合だけでなく、
VTube Studioなどの更新
Live2D関連ソフトの更新
パソコンやカメラ環境の変更
設定ファイルの変更
なども確認します。
「納品後3か月たって突然動かなくなった」というだけでは、制作時から存在していたミスなのか、後から環境が変わったのかは分かりません。
制作者へ相談するときも、
「昨日までは正常だった」
「ソフト更新後から発生した」
といった経緯を伝えます。
承諾前に気付いたなら取引を完了する前に伝える
まだ納品承諾をしていないなら、先に制作者へ連絡します。
ココナラでは、正式な納品後に「当初合意した内容と相違ないか」を確認し、相違があれば差し戻して相談する仕組みです。
ただし、この差し戻しは新しい仕様を追加するためのものではありません。
SKIMAも、納品物を確認して問題がなければ納品承諾する流れです。
そのため、
「注文した衣装差分が動かない」
という問題を見つけているのに、
「いったん承諾してあとから頼めばいい」
と急いで取引を完了する必要はありません。
承諾前に分かったものは、承諾前に確認します。
すでに承諾した後でもまず連絡してよい
承諾した後で初めて気付く不具合もあります。
特にLive2Dモデルは、実際に長く配信して初めて気付く表示崩れがあります。
たとえば、
ある角度でしかパーツがはみ出さない
特定の表情を出して横を向いたときだけ崩れる
差分を続けて切り替えたときだけ元へ戻らない
といったものです。
承諾済みだからといって、自分で勝手にモデルデータを修正する前に制作者へ相談します。
制作者によっては、納品後の不具合修正をアフターサポートとして明記しています。
反対に、サポート期間が終了していれば有料になる可能性もあります。
修正依頼では「ミスです」と断定しなくてよい
原因が分からない段階で、
「そちらの制作ミスなので無料で直してください」
と決めつける必要はありません。
現象をそのまま伝える方が切り分けやすくなります。
たとえば、
「VTube Studioで顔を右へ大きく向けると、左側の前髪と顔の間に隙間ができます」
「泣き顔を解除したあとも涙のパーツだけ残ります」
「納品時にお願いした衣装切り替えキーを押しても反応しません」
という伝え方です。
可能なら、
発生している画面の動画
スクリーンショット
使用しているトラッキングソフト
どの操作で発生するか
毎回起きるのか
も伝えます。
これなら、制作者側もモデル不具合なのか設定問題なのか確認できます。
「納品時からあった」と分かる状態を残しておく
不具合を見つけたら、修正前に動画や画像を残しておきます。
たとえば顔を動かした瞬間に髪が大きく外れるなら、その操作が分かる短い動画を保存します。
依頼時の見積もりやメッセージも消さずに残します。
「この表情を実装する」
「VTube Studio用として制作する」
「納品後○日までは無料修正」
といった合意内容が確認できるからです。
契約書がなくても、依頼サイトの商品説明やメッセージで合意した内容が判断材料になることがあります。
「無料修正期間を過ぎた=絶対に直してもらえない」とも限らない
無料期間が過ぎてしまった場合でも、まず相談することはできます。
制作者によっては、
期間後は有料
スケジュール次第で対応
制作上の欠陥なら期間後も対応
など条件が違います。
逆に、期間内ならどんな修正も無料になるわけでもありません。
大切なのは、
いつ見つけたか
何が起きているか
依頼内容に含まれていたか
原因がどちら側にあるか
規約でどこまで保証しているか
を合わせて見ることです。
契約上の問題になったら「無料修正回数」だけで判断しない
モデル制作は、単なる商品の購入ではなく、依頼者の希望に合わせて成果物を作る契約になることがあります。
文化庁は、成果物の完成を目的とする取引は「請負」に当たることが多く、請負では納品後も成果物に関する責任を負うと説明しています。
また、制作業務の契約では、何を作るのか、どこまで修正するのか、リテイク条件などをあらかじめ明確にしておくことが重要とされています。
そのため、大きな不具合があるのに、
「無料修正は2回使い切ったから一切対応しない」
という問題が起きた場合も、単純に回数表示だけで法的結論が決まるとは限りません。
ただし、実際にどのような権利があるかは、依頼内容、規約、契約形態、これまでのやり取りによって変わります。
制作者との話し合いで解決できない大きなトラブルになった場合は、依頼したプラットフォームのサポートや、必要に応じて法律相談を利用します。
納品後のミスは「不具合・環境・追加変更」のどれかを分ける
VTuberモデルの納品後に問題を見つけても、無料修正できるかは「納品後だから」という一点だけでは決まりません。
最初に、
依頼した内容が正常に実装されていない
モデルの表示・動作に制作上の不具合がある
自分のソフト・カメラ・パソコン環境に原因がある
正常に完成しているが後から変更したくなった
のどれなのかを分けます。
前の二つなら、制作者のアフターサポート対象になる可能性があります。
後から生まれた追加希望なら、有料修正や新規依頼になる可能性があります。
そのうえで、納品後の無料対応期間、回数、使用ソフトの保証条件を確認します。
問題を見つけたら「無料で直してもらえますか」とだけ聞くのではなく、どの操作をすると、どこが、どうおかしくなるのかを動画や画像と一緒に早めに伝えるのが、最も判断しやすい方法です。