VTuberを始めるからといって、最初から顔や体が動くモデルを用意する必要はありません。
キャラクターの一枚絵を配信画面に表示し、声で配信するところから始めることもできます。
動くモデルが必要になるかどうかは、活動期間やチャンネル登録者数ではなく、「自分の表情や反応をキャラクターにもリアルタイムで伝えたいか」で考えると分かりやすくなります。
ゲーム画面や話の内容が中心なら、一枚絵のままでも始められます。
一方、笑う、驚く、困る、首をかしげるといった反応までキャラクターに見せたいなら、一枚絵ではできることに限界が出てきます。
一枚絵だけでもVTuber配信は始められる
配信ソフトのOBS Studioには、画像を配信画面へ表示する機能があります。
そのため、背景を透明にしたキャラクター画像を1枚用意し、ゲーム画面や配信背景の上に置くだけでも配信はできます。
この段階では、キャラクターはまばたきもしませんし、口も動きません。
それでも、
「まず配信そのものをやってみたい」
「VTuber活動を続けられるか分からない」
「モデル制作より先に、話すことや動画制作を試したい」
という段階なら、先に一枚絵で始める意味があります。
動くモデルを完成させるまで活動を始められないわけではありません。
動くモデルが欲しくなるのは「反応を見せたい」とき
一枚絵で困るのは、画像が止まっていること自体ではありません。
自分が配信中にしている反応と、画面上のキャラクターが切り離されていることです。
たとえばゲーム中に驚いて大きな声を出しても、画面上では同じ表情のままです。
雑談中に笑っていても、困っていても、考え込んでいても、一枚絵だけでは視聴者から見える姿は変わりません。
これを変えたいと思ったところが、動きを追加する一つの境目です。
ただし、その時点で必ずLive2Dモデルを作る必要はありません。
口が動けば十分なら一枚絵から少しだけ進めればいい
「完全に止まっているのは寂しい。でも顔の向きまで動かす必要はない」
という場合があります。
この場合は、一枚絵と本格的な動くモデルの中間があります。
たとえば、
通常の顔と口を開けた顔の2枚を用意し、マイクに声が入ったときだけ口を開けた画像へ切り替える方法です。
さらに目を閉じた画像を用意すれば、簡単なまばたきも加えられます。
このように数枚の画像を音声に合わせて切り替える方式は、「PNGTuber」と呼ばれることがあります。
顔の向きを細かく追いかけるわけではありませんが、「今しゃべっている」ということは画面から分かるようになります。
一枚絵では物足りなくなったからといって、すぐ大きなモデル制作へ進む必要はありません。
表情を自動で伝えたいならLive2Dを考える
数枚の画像を切り替える方式でも、笑顔、驚き顔、困った顔などを用意することはできます。
ただし、自分の顔の動きに合わせて細かく変化するわけではありません。
配信者が笑ったらキャラクターも笑う。
口を開けたらキャラクターの口も開く。
顔を傾けたらキャラクターも傾く。
こうした動きをリアルタイムで反映させたい場合に、Live2Dなどの動くモデルが意味を持ってきます。
Live2Dでは、イラストの目、口、髪、顔、体などを別々の部品として扱い、それぞれに動きを設定します。
さらにVTube Studioなどの顔の動きを読み取るソフトを使うことで、自分の表情や顔の向きをキャラクターへ反映できます。
つまりLive2Dが必要になるのは、「VTuberだから」ではなく、キャラクターの反応そのものを配信内容の一部にしたいときです。
配信中に画像を切り替えるのが邪魔になったときも境目
表情違いの一枚絵を何枚か用意すれば、キー操作で笑顔や驚き顔に変えることもできます。
最初はそれで十分な場合があります。
しかし、ゲームを操作しながら配信していると、
「驚いたから驚き顔に変える」
「笑ったから笑顔に戻す」
という操作そのものが邪魔になることがあります。
自分で表情を切り替えることに意識を取られ始めたなら、自動で反応する仕組みに替える理由になります。
反対に、雑談や動画中心で、必要なときだけ表情を変えれば足りるなら、手動切り替えを続けても構いません。
必要なのは豪華なモデルかどうかではなく、自分の配信方法に合っているかです。
全身を使った活動ならLive2Dではなく3Dを考える
「動くモデルが欲しい」と考えたときに、必ずLive2Dを選べばよいわけでもありません。
Live2Dは、顔の向き、まばたき、口の動き、髪の揺れ、上半身の傾きなどを表現するのが得意です。
一方、
ダンスをする。
腕や脚を大きく動かす。
身体全体を使った企画をする。
立体的な空間の中を動く。
といった活動をしたい場合は、3Dモデルの方が目的に合うことがあります。
そのため、
一枚絵
↓
Live2D
↓
3D
と必ず順番に進むものではありません。
やりたい活動によっては、一枚絵で配信を始め、必要になった時点で直接3Dを検討することもあります。
後でLive2Dにしたいなら一枚絵を頼む段階で伝える
一枚絵から始める場合に、先に考えておきたいことがあります。
「気に入ったら、このキャラクターをあとでLive2Dにしたい」と考えているかどうかです。
通常の一枚絵は、完成した見た目がきれいになるように描けば成立します。
しかしLive2Dでは、目、まぶた、瞳、口、前髪、後ろ髪、顔、首、服などを別々に動かす必要があります。
そのため、動かす部分ごとに絵を分けておかなければなりません。
さらに、静止画では髪の後ろに隠れている顔や、閉じた口の内側など、動かしたときに見える場所を追加で描く必要が出る場合があります。
完成した一枚の画像だけを持っていても、あとから簡単に目や口だけを取り出せるとは限りません。
すでに一枚絵を持っているからといって、そのまま低い手間でLive2Dモデルにできるとは考えない方が安全です。
将来同じキャラクターを動かしたい可能性が高いなら、イラストを依頼するときに、
「最初は一枚絵として使うが、将来Live2D化する可能性がある」
と伝えておく方法があります。
実際にどこまで部品を分けて納品してもらえるか、追加料金が必要かは依頼先によって違うため、制作前に確認します。
「一枚絵かLive2Dか」の二択にしなくていい
VTuberを始めようとすると、「ちゃんとした動くモデルを作ってからデビューしなければ」と考えてしまうかもしれません。
しかし、必要な動きは活動内容によって違います。
| 今やりたいこと | 用意する姿 |
|---|---|
| まず配信できるか試したい | 一枚絵 |
| キャラクターを画面に置いてゲームや話をしたい | 一枚絵 |
| 話していることだけ分かればよい | 口の開閉など数枚の画像 |
| 笑顔などを必要なときだけ見せたい | 表情違いの画像を手動切り替え |
| 自分の表情や顔の動きをリアルタイムで見せたい | Live2Dなどの動くモデル |
| ダンスや大きな全身動作を見せたい | 3Dモデルを検討 |
重要なのは、最初から一番高機能なものを用意することではありません。
今の配信で「動かないためにできないこと」が実際に出てから、その不足を埋める方法を選べます。
一枚絵で始めて困っていないなら、そのまま続けても構いません。
口の動きだけ欲しくなったなら、数枚の画像を追加する方法があります。
自分の表情までキャラクターに伝えたいと思ったところで、Live2Dを検討すればよいでしょう。
VTuberを始める条件は、「最初から動くモデルを持っていること」ではありません。
まず何を配信したいのかを確かめ、その内容を伝えるために動きが必要になったときにモデルを増やしていく方が、必要なものを判断しやすくなります。
出典
OBS Project|Image Sources (OBS Studio)
Live2D|Live2D Cubism Editor (Live2D Cubism)
Live2D|PSDのインポート (Live2D)
Live2D|PSD作成上の注意点 (Live2D)
DenchiSoft|VTube Studio Manual (GitHub)